100歳の句

海鰻とは当字めきゐて穴子

ながむしは嫌ひそれほど長くなきも

蠅はゐず蠅虎のゐる暮し

草は引き芝生は刈るといふことに

青蛙ペンキ塗られし覚えなし

   ※

 後藤比奈夫さんの100歳代の句集『あんこーる』(2017年)から。海鰻の句に顕著なように彼は言葉(ことに文字)への関心の強い人だった。言葉が彼の俳句的発想の核だった、と言ってよい。その感覚が彼をアーバン季語の俳人にした。彼は典型的な都市暮らしの俳人だった。