あの声がホトトギスだということにおしておけ、という句。ええ加減だが、子規は1889年から子規(ホトトギス)と号した。この句は1894年の作。つまり、彼はホトトギスの声を知らないで雅号にしたのだ。ホトトギスの声がはっきりとわかったのはこの句を詠んだ2年後であった。
 新書本の『ねんてんさんの名句百選』はボクが覚えている句を鑑賞したもの。見開きで1句を鑑賞している。この句についてボクは、「それにしても、子規と名乗ったとき、実際は時鳥を知らなかったのである。その軽さ、いいではないか。」と書いている。定価900円+税、潮出版刊。