小川弘子―外は夏

マクベスが繁みに隠れああ進行

シェイクスピア生死不明の水馬

太陽と木馬のタオル夏の闇

大揚羽飛んで葉の揺れまだ続く

MRI指輪外して外は夏

 

城田怜子―あんパンの空洞

向日葵よ今日は私の初月給

アイビーの実を眺め空眺め

キスなんて化石なのかな青葉雨

あんパンの空洞だけが笑わない

青梅雨に夕刊届く口笛も

「私は今一番好きな、わざとクーラーのない強い日差しのサンルームでもう二時間も座っている。窓の外の厚い繁みで何事か起こり」と京都市の小川さん。シェイクスピアが窓の外の繁みに確実にいるのだ。兵庫県宝塚市の城田さんの作ではあんパンの空洞が気になる。その「笑わない」というのはどういうことだろう。自分をまともに相手してくれるということ? そうだとすると面白いなあ。