機関銃熱キ蛇腹ヲ震ハスル  三鬼

 三鬼は『航跡』より前に句集『旗』(昭和15年3月)
を出している。この『旗』には「戦争」と題した俳句が
あり、それは戦火想望句と呼ばれている。『現代俳句ハン
ドブック』の川名大の解説によると、三鬼は戦争の現実
は「無季俳句本来の面目を輝かせる絶好の機会」と見た
らしい。三鬼のその実践が連作「戦争」だった。ところ
で、三鬼は『旗』の末尾の「自伝」で「新興俳句運動の
初期から、横の連鎖を計つて来た」と書いている。彼は
新興俳句運動の運動者を自覚していた、ということだろ
うか。