ほかほかの猫の頭の日向ぼこ

学ばないわたしと学ぶ猫の冬

年の瀬に托鉢通るラブホテル

盛り上がる海のてっぺん冬の船

雪になる一歩手前を駆け抜ける

 

 作者は下関市に住む高校教員。最近、地元の人たちと句会を始めているらしい。かつて梅光学院大学の講座に行ったとき、彼女と話したが、それはもうかなり昔という感じ。とまれ、下関といえば彼女の顔がまず浮かぶ。

 今回の句では猫の句がおかしい。ことに私と猫の対照に笑ってしまった。ラブホテルにも。「海のてっぺん冬の船」はいつも海を見ている人のとらえた風景だろう。私は不意に少年時代を思い出した。そのころ、船はまさにこの句の感じだった。

 作者は1964年生まれだが、今まさに充実期、という気配が作品に漂っている。