今日の「毎日新聞」社説は「失態続く菅首相 当たり前の政治はどこへ」という見出しをつけて菅首相を批判している。8人での会食を失態と指摘したあとで、「インターネット番組に出演した際、冗談口調で「ガースーです」と愛称で自己紹介したのにも、あぜんとした人が多いだろう。/若者の視聴者が多い点を意識したのだろうが、今、若者も含め国民が求めているのは、リーダーの心のこもった真摯(しんし)な言葉だ。」と書いている。

 このくだり、いいのだろうか。冗談口調は冗談として受け入れる、それがいいのではないか。スガをひっくり返してガスとし、それを長音にするのは、若者言葉の特色にならったものだが、それを首相がするとオヤジギャグ的になる。聞き手はひっくり返っておおげさに驚けばよい。きっとして、真面目に自己紹介してください、と詰め寄っては対話や談話は始まらない。「毎日新聞」の社説は「真摯な言葉」を求めて詰め寄っている。冗談には冗談で返す、その余裕というか言葉の力の発揮を社説は欠いているのではないか。

 社説では、「時間をかけて記者会見を開き、国民に丁寧に説明する機会も極めて少ない。」と首相の説明不足を突いている。この点は賛成だ。学術会議の任命拒否問題、GoToトラベルへのこだわりなど、ガースーとして訥々としゃべればよいのに、と私は思っている。〈訥々とした言葉の文化〉の醸成をガースーに期待したい。