「歯を抜いて恐いものものなし冬景色」(冨士眞奈美)。
 冨士さんのこの句、よく分かるなあ。若い日、歯痛に悩まされ、抜いたときの爽快感は格別だった。もっとも、その抜歯が次第に増え、今では抜こうにも抜ける歯がなくなっている。やれやれ、だ。
 今日の句、写真の『俳句いまむかし』(毎日新聞出版)から。表紙やカットは南伸坊さんである。