裏窓の明るく広く散る紅葉
まじないのかかった船に白鳥来
ふわふわのおが屑小春日の匂い
マフラーの巻き方変えてジュース飲む
くんくんのクン立ち止まる冬すみれ
この作者は、現在、俳句グループ「猫街」のリーダーである。彼女との付き合いはずいぶん長くて、今ではすっかり身内の者という感じになっている。で、身内の者として今回の新作を見ると、彼女の代表作「右京から左京に渡るホッカイロ」ほどの大胆さやユーモアを感じない。取り合わせの二者が近すぎる気がする。たとえばおが屑と小春日はあまりにも近い。やよいさん、跳んで欲しいよ!
ちなみに、まじないのかかった船はよく分からない。くんくんのクンも。クンは犬か鼻? これらのやや難解な句があるかぎり、作者は跳べるはず。ある種の難解さは未知を開く力である。