はつ夏を小さな骨の鳥が飛ぶ
哄笑という噴水の崩れかた
あさやけのプラタナスこそ五月の木
コップの水に薄暑をうかべ退屈す
甲斐一敏氏追悼
五月の雲に乗りそこねたか芳一は
木村さんは1947年生まれ、日野草城などを研究する学究派タイプの俳人である。「小さな骨の鳥」「薄暑をうかべ」などという表現に、知的に対象(世界)を再構成しようとする意志がよく出ている。私は「あさやけのプラタナス」の爽やかな風景に彼の知の快さを感じる。もし掲出した彼の句に心が動いたら、彼の俳句とエッセー集『水の容(かたち)』(創風社出版)を手にしてほしい。