先日の木曜日のセミナーは

便秘についての話がとても面白かったです。

 

便秘ってのは単純ではなく

腸のどこの機能が不足しているのか

あと犬と猫で便秘のメカニズムが異なったり

人間だとやはり動物の便秘とは異なってたり

 

あと、人間のデータでは

便秘は死ぬ病気と認定されてるそうですな。

人間は動物と違って寿命が長いので

便秘は長い目でみると命にかかわるみたいです。

 

時間があるときにまたまとめて復習しようかと思います。

内容が濃すぎてまとまらなさそう。

 

 

さて、今回は前十字靭帯断裂の話。

 

前十字靭帯断裂は

基本的には手術が必要な病気ですし

うちでも手術をします。

年1くらいで手術してます(巡り合う事の多い手術ではありません)。

 

それほど難易度の高い手術ではないのですが

やらない病院がほとんどです。

 

診断も完全に切れているとそれほど難しくないのですが

先日も前十字靭帯断裂のオペをしましたが、

膝を固めるために支えている2本の靭帯のうちひとつが切れると

こうやって膝がずれるのよ。

動画で右側のスネの骨がカクって上に飛び出すでしょ。


ちなみに前は自分の手術動画を録画してたんだけど、

保存してた外付けHDDが飛んでしまって

セミナー動画や病院で撮影した手術動画などが全部なくなってしまった。

 

手術前に自分の手術動画をみて復習をしてから手術に挑むとすごい楽。

勉強会でその動画を編集してシェアをするのも良いかなとか思ってますが

やる気がないからやらないと思う。

 

で、この動画みたいなスネの骨のズレがあると完全に断裂してるから

診断は簡単。

ただ、完全に切れてないと診断はちょっと難易度があがります。

 

こうやってズレないから、

レントゲンで時間をあけて撮影をして

膝のなかに水がが待ってくると

大概前十字靭帯の損傷(不完全断裂)です。

 

"整形専門"とうたってる病院でも能力の低い整形外科担当の先生にあたると

下手するとこれを診断できなくて膝蓋骨脱臼(いわゆるパテラ)と診断して

膝蓋骨脱臼のオペをしちゃいます(と、セミナーで講師が言ってました(笑))。

 

とくに中高齢の世の中のわんこの前十字靭帯断裂は

一般動物病院では結構な確率でパテラと言われているらしい。

 

他院でパテラと診断されてたらまず私は疑いのまなざしを送ります。

 

この整形専門の誤診はマジもんな話です。

実際私もそういうのを経験しました(笑)。

('ω')「先生、膝が悪くて今度整形専門の先生のところでオペするんですよ」

この時その膝を触ると例のスネの骨がずれる。

(*'▽')こりゃ歩けないわなぁ。おー、今度十字靭帯のオペかーー。

2~3か月後・・・

('ω')「先生、時間かかったけどリハビリにしょっちゅう通院して、パテラオペしてようやく安定して歩けるようになったんですよー」

(*'▽')・・・セミナーで聞いた話そのまんまやんけぇ。

十字靭帯のオペを最初からしてれば、リハビリ長期間しなくてもすぐ歩けるようになったはずなのに・・・。

 

ちなみにパテラをオペしたところで

前十字靭帯の部分断裂は修復されないので歩けないんですが

結局パテラをオペしたことによって

膝を包帯でぐるぐる巻きにしてたり

しばらく余計に痛くなって歩けなくなって

強制安静状態になることで膝関節が安定化して

診断とオペが間違ってたとしても

結果的に治ってしまったりします。

 

そう、前十字靭帯断裂って

安静にして居れば治ってしまったりします。

 

ただ、その安静もガチガチな安静ね。

 

で、体型の標準以下な小型犬だと

結構な確率で安静にできていれば治ってしまうんです。

だから、いきなりオペはすすめません。

 

小型犬で太ってない場合は

うちではまず絶対安静状態にして

痛み止めなしで1~2週間様子見をします。

で、足をつけるようになってくるならばそのまま安静継続で

1か月もするとだいたい膝関節が安定してきてあるけるようになってきます。

 

ただし、

2週間で改善の兆候がなかったり

太ももの筋肉が異常に減ってきたり

高齢だったりする場合は

うちでもオペしちゃいます。

 

ちなみに、うちで手術する条件として

(2次診療病院じゃないから、オペはうちよりも専門病院をお勧めするよ)

 

・大型犬ではないこと(20Kg以上)

・太ってない事

・半月板が大きく損傷してない事(膝を曲げ伸ばしをしてパキパキ言ってたら半月板損傷の可能性大)。

・リウマチのような関節炎を起こしてない事。

・フリスビーやアジリティーなどをする犬ではない事。

 

無論、大型犬の場合は

TPLOという骨を切ってつなぎなおしてスネの骨の角度をかえることで

あるけるようになるだいたい50万くらいする手術をしたほうが

成績は良いしすぐ歩けるようになるのでそっちをおすすめします。

 

TPLOは器具さえそろっていれば難易度が低い手術で

マニュアル通りにやるだけで成功するのです。

(よほどへたくそでなければ、一度習えば手術の初心者でもできると言われています)

 

が、

うちでその機械を入れたとして

TPLOをしてくれるわけではないので

うちでやる予定はありません。

(うちが有名になって年2回以上TPLOやることになるんだったら、

7~8年で元が取れるので全然機械買ったっていいです)

なんせ数百万投資しないといけないので

整形外科や十字靭帯手術をうたってないと

無理な話よね。

 

うちでやる手術は

すんごい丈夫な糸を使った手術。

 

関節包外法といって

切れた十字靭帯の代わりになるように糸をスネの骨と膝関節の中を通して

太ももの骨のはしっことつなげて足を安定化させる手術をします。

 

その後1週間くらいリハビリをしながら過ごして退院します。

 

うちら一般動物病院で前十字靭帯断裂の手術をするならこれ。

 

難易度は決して高くないから

きっとあなたの近所でもこの関節包外法で手術してる動物病院は結構あります。

専門病院でえらい金額を出してやってもらわなくても

問い合わせてみるとやってくれると思うよぉ~~。

(やれる動物病院だからといって手術が成功するかどうかは知りませんので責任は負いません)

 

ではまた明日会いましょう~~~。