さて。

耳道切除の2回目です。

 

耳道切除は症例集でホームページに載せておこうかね。

 

前回は犬の全耳道切除について簡単にお話をしましたが

 

本日タイムリーに私が登録している

アメリカ?の獣医外科のチャンネルで全耳道切除をおこなっていましたが

耳の穴を形成せずに閉じていました。

瘻管にならないのかなぁ???

 

そもそもなんで全耳道切除をしていたかわからんかったけどさ。

知りたい方はVetdojoで検索してみてください。

 

今回は猫さんの耳道切除について。

猫さんでも耳道切除はします。

実はほとんどがポリープや腫瘍がらみだったりします。

 

猫さんの耳汁があふれてきたきたり

チーズみたいな耳汁というか膿が出てきたりするパターンがあるわけですが

結構しこりが絡んでます。

 

そのしこりが見やすい位置にあれば観察しやすいんですが、

鼓膜の奥からしこりが出てくるパターンなんかは、

しこりの発見までは時間がかかります。

 

ある程度大きいしこりが見つかったら耳膿汁なんかは悠長に掃除してる暇なんてなくて、

さっさと切除しちゃったほうがいいんです。

 

だって、ガンだったら下手したら手遅れになるもん。

 

そこでしこりだけ切除するのもありだけど、

大概とりきれなくて再発するので

(あとえらい出血します)

耳道切除をしながら一気に切除をします。

 

と、いうわけで。

今回は耳汁が治まらなくて

定期的にお掃除をしてたけど

結局ポリープが出てきて

大きくなってきたから切除をしたパターンでした。

 

こうやって穴を確保しておきます。

 

犬の軟骨が腐った慢性外耳炎と違って、

すぐ終わります。

 

炎症がひどくないから、出血の制御がしやすいんだよね。

 

この猫さんは術後の後遺症でおおおい顔面神経麻痺も起こらず

腐ったような軟骨も無かったので、

結局翌日に退院しました。

 

耳道の腐った犬では大体2~3日入院管理をしてから退院します。

(もしくは毎日通院します)

 

ちなみに、

耳道を皮膚と縫う時には5-0という細い糸と小さい針を使って縫合します。

狭い場所なので縫いつけてしまうと隣の糸が縫いにくいことがあるので、

糸を贅沢に使って穴の全周に糸をかけてから一つ一つ丁寧に

こうやって時計のようにチクチク糸をかけてから

あとで糸を結ぶのよ。(イラストでは糸が短そうですが実際はかなり糸を残します)

ちなみに、

術後の写真は穴との縫合部位は奥になってしまってるから全然見えないんだよね。

 

ある程度の長さを保って結びやすいように糸を設置していくので

糸が多めに必要なのねー。

 

ちなみにこの糸は普段使ってる糸より針が細いので高めな糸ですが。

別に倍値段する糸ではないので遠慮なく多めに用意しておきます。

 

細かい縫合だったり臓器に糸をかけたりするときに5-0って使ったりするからねー。

(胆嚢切除の時にも胆嚢をひっぱるために5-0の糸を使ったりします)

 

 

で。

 

内科管理ですが

初期までなら

基本ステロイドです。

 

獣医業界にはステロイド+抗生物質の合剤が

すごい流通していますが

私が言っているのはステロイドだけの製剤。

 

人間でも外耳炎でステロイド点眼を耳用に出されたりもします。

 

で。

私が使ってるのは

人間用のアルコール+ステロイドローション。

 

動物でも皮膚に塗布用のそういうのはありますが、

点耳には使いにくい・・はず。

 

耳汁でばい菌が沢山いても、

耳洗浄+ステロイド+アルコールで

かなり良くなります。

 

しかも、よほど重度でなければ週1回~2週に1回の点耳で済みます。

 

処方してる獣医さんは知ってるはずなんだけど、

抗生物質を使うと菌が減るけど、

結局耐性菌になって効かなくなるんよ。

 

でもステロイド+アルコールのこの製剤は

よほど耳汁や膿な状況でなければ耳道内の菌を減らせます。

 

おそらくなんだけど、

この薬は

ステロイドは外耳炎を抑えて(アルコールでちょっとは消毒効果があって)

外耳道の環境をよくすることで

耳の状態を改善しているんじゃないかなと思ってます。

実際、耳垢がふえたり耳の脂が増えたりするのは

耳垢腺が炎症で活発に分泌をするからといわれていて

その炎症を抑えてあげることで耳垢も分泌脂も減少して

菌も減ることで

正常な耳に近づくのかなと思ってます。

 

なので、よほどひどくなければこの薬だけで

耳垢の分泌も制御出来ちゃいます。

 

抗生物質で治してるとばかり思ってたので

この話を聞いたときは半信半疑でしたが

実際に使用してみるとほとんどの子で長期制御が可能になるし

軟骨がちょっと固くなってきている子も

この薬を使用することで柔らかくなってきて

全耳道切除まで至らない子もいます。

 

なので、

耳の軟骨が腐る前に外耳炎は制御したいですな。

 

ちなみにこの薬でも進行しちゃう子はいますから、

きっと進行してしまった耳道の環境整備は

そんな単純じゃないんでしょうなぁ。

 

そういう場合は耳洗浄+点耳で管理しますが

結局進行して手術にいたるケースは少なくありません。

 

それではまた木曜日に会いましょう~~。

 

今日は全然休めなかった・・・。