Fintechのお奨め本

12月3日(月)

 小生の友人で現在米国大手ブロックチェーン企業コインベース日本代表の北澤直さんの新著が出たので早速勉強の為読みました。そのタイトルは「誰がFintechを制すのか」。IT音痴のロートルにも分かりやすく、あっという間に読み終えました。北澤さんとは前職のお金のデザイン時代から日本の生活者による新たなお金の流れを目指す想いで意気投合してきた仲間ですが、そもそもは日米の弁護士資格を有する秀才で元バンカーのエリートで、イケメンですが庶民的なギャグを言うギャップが魅力です。現在は米最大の仮想通貨交換所の代表・フィンテック協会理事、まさに日本のフィンテックのリーダーです。
 本書はフィンテックというばくっとした概念についてとてもリアルな話から、学術的な見解まで有識者の様々なご意見が紹介されていてとても勉強になりました。私に理解できることできないことがありましたが、フィンテックは既存の枠組みでは十分に対応しきれていない課題を抜本的に改善してくれると感じました。

 一つはプライシングです。日本人はとりわけリスクや機会損失のプライシングが苦手だと思います。本書ではメルカリの社長にインタビューを実施していますが、メルカリによる使いやすいプラットフォームの提供により、多くのユーザーが自らプライシングを行うようになりました。またアリババのジーマ信用も取り上げられていますが、プライシングする対象が従来の枠組みの外に拡大しています。経済において重要なプライシング機能が今後フィンテックにより格段に進化していくと感じました。

 二つ目は流動化です。メルカリもしかりですが、本書でも触れているエアーbnbやウーバーも既存インフラを流動化する仕組みの提供です。またP2Pの普及はユーザーや投資家を流動化しました。本書の中でヤンキー官僚の方が紹介された、発展につれて中央集権型から分散型社会への「液状化」が進む、という話も印象的でした。液状化する社会では「個人に委ねられる部分が多くなって、多くのことを自分で決めなきゃいけなくなると書かれています。個人責任が重要になるということでしょう。
 そして最も心に刺さったのは、フィンテックの第1線で活躍されている方々が「ユーザー目線」を一番大切にしているという点です。まさに顧客本位の業務運営です。一方で液状化する社会の中で判断力が問われるようになる個人をフィンテックがエンパワーしてくれる。フィンテックは個人が主役となるプラットフォームを提供し、一段の民主化の後押しをしてくれるものかもしれません。
 本書では、10名ほどの有識者の様々なご意見を紹介しており、多様な角度からフィンテックを知ることに役立ちます。読後のご意見は人それぞれになるかと思いますが、これからフィンテックを勉強したい方にもお勧めです。