再生医療の保険適用について | 再生医療なんでもブログ

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再生医療は、これまで治療法のなかった難病やケガに対して、新しい医療をもたらす可能性があり、大きく期待されています。しかし、再生医療はまだ新しい医療であるため、保険適用の範囲は限られています。この記事では、再生医療の保険適用の現状と今後の見通しについて解説します。
 
## 再生医療の保険適用の現状
 
現在(2023年4月)、厚生労働省の承認を得て、健康保険が適用される再生医療は19種類に留まっています¹。これらの再生医療は、その治療の有効性と安全性が確認され、国に認められたものです。保険適用される再生医療には、以下のようなものがあります。
 
- 造血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病
- 膝関節の外傷性軟骨欠損症
- 離断性骨軟骨炎(変形性膝関節症を除く)
- 重症熱傷の皮膚再生
- 先天性巨大色素性母斑の皮膚再生
- 表皮水疱症の皮膚再生
- CD19陽性再発または難治性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病
- CD19陽性再発または難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫
- 角膜上皮幹細胞疲弊症の角膜再建
 
保険適用される再生医療の場合、医療費は全国共通の基準(診療報酬)が設定されており、年齢等によって自己負担の金額は0~3割となっています。例えば、100万円の医療費であれば、3割負担の場合は30万円が自己負担です。もし医療費の自己負担額があまりに高額の場合は、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分をあとで払い戻す「高額療養費制度」というものがあります。
 
## 再生医療の保険適用の今後
 
一方で、多くの再生医療が国による有効性や安全性などの確認中の段階にあるため、今後は保険適用の範囲が広がっていく見込みです。国も保険適用を早く進めたい方針で、そのための法整備も行なっています。具体的には、以下のような制度があります。
 
- 条件及び期限付き承認制度
  - 有効性が推定され安全性が確認されたものについては、「条件および期限付き」で早期に承認、保険適用できる制度です。承認後にあらためて有効性と安全性の検証がなされる必要があります。現在、この制度で承認されている再生医療は以下の4種類です³。
    - 脊髄損傷
    - 虚血性心疾患による重症心不全
    - 慢性動脈閉塞症(閉塞性動脈硬化症及びバージャー病)における潰瘍
    - 胸髄損傷
- 先進医療制度
  - 厚生労働省が承認していない治療や薬を使う診療で、健康保険の適用外となる自由診療ですが、安全性や有効性など一定の条件を満たして「先進医療」と認められた場合は、健康保険との併用が認められています。この場合、再生医療の部分は自由診療として自己負担になりますが、それ以外の部分で保険適用を受けることができます。現在、この制度で認められている再生医療は以下の4種類です⁴。
    - 顎骨又は歯槽骨欠損の再生
    - 肝硬変
    - 糖尿病
    - インスリン依存性糖尿病
 
これらの制度により、再生医療の保険適用のハードルが下がり、患者の負担が軽減されることが期待されます。しかし、これらの制度にも条件や期限があり、すべての再生医療が保険適用されるわけではありません。また、自由診療で受けられる再生医療については、国によって治療の有効性と安全性が確認されていないことに注意が必要です。