一昨冬に母と旅をした。
「星のや 東京」といえば知っている人も多いと思う。
大都会東京のど真ん中で、日本の良さを感じさせる「和」を空間の随所に仕掛けてあるホテルだった。
各フロアにお茶の間ラウンジがあり、
自由に過ごしてくださいと聞いたので母とのぞくと、
「どうぞこちらへおかけください。お茶でもどうぞ」といってくれたのは20歳そこそこのかわいらしい女性スタッフ。
母と並んでカウンターに座った。
普通に湯呑で熱いお茶とおしぼりという定番サービスを思い浮かべて待っていたそのとき、思いがけない光景が目に入る。
鉄瓶と急須と茶筒。
そしてごく小さいサイズの湯呑み。
それが私たちのために用意されているのだと気づくのに少し時間がかかったけれど、まるで映画のワンシーンのようなゆっくりとした時間が流れ始めた。
彼女は鉄瓶からお湯を移し湯冷ましを作っている間に、木製のスプーンで、茶葉の量を見極めて丁寧に急須に入れる。
なにやら儀式のようなゆっくりとした動きを対面カウンターごしに見るのがすごく面白くて彼女の一挙手一投足に釘付けになった。
静寂な空間にお茶を作る音だけが響く。
へぇ~~~っ・・沸騰したお湯をすぐに注がないんだぁ・・?
なんでそんなに小さい湯呑みなわけ??
いろんな疑問が次々に沸き上がる。
そんなこちらの心の喧騒を知ってか知らずか彼女の
まるでショーのような一連の動作が続く。
終わってようやく出されたお茶はとても崇高な空気感をまとい、とっておきの逸品という風格を漂わせてそこにいた。
なんだか有難い気持ちになりながら、
母と目配せし合って
おもむろに一口のむ。
「え。なにこれ?おいしい・・・」
普段とくにお茶が好きなわけでもなく思い入れもない私だったので
逆に自分の反応に驚いた。
あれ?お茶ってこんなにおいしかったっけ??
聞けば彼女たちは研修で煎茶と抹茶と珈琲の美味しい入れ方を教わるのだそうだ。
「温度がコツなんですよぉ~」
ときいてハッとした。
私がどうしていままでお茶を美味しいと思えなかったのかを初めて悟った瞬間だった。
そういえば
私って
猫舌・・・・。
そう、猫舌とは・・・
ググってみると
「熱いものを飲食できないこと。そういう人」
・・というアレ。
つまりですね
外食時はもちろん、家ででてくるお茶もたいていは熱々。
まず最初の一口でやけど。
たとえ「茶葉が高くて上等なものを使っているから美味しいんですよ」と聞いたとしても、私はその熱さにとうてい太刀打ちできないので、すぐには飲まない。というより・・
飲めない。だって熱いから。
あとで飲もう・・と思って大抵そのまま忘れる。
味わうどころか、ぬるいお茶や冷めきったお茶を惰性で飲む癖がついていたんだわ・・・。
お茶ってなんのためにあるのかなぁ?
・・って思うくらい認識できてなかったかも。
そりゃぁ 美味しくないハズ〜。それに加えて・・
子供のころから「あなたは食事中、全然お茶を飲まないねぇ?お茶嫌いなの?」と言われ続けて半世紀。
私もうっかりそう思っていたかも・・・あららら~~人生損してた!?
お茶の間ラウンジでの、この飲み方のスタイルはどうやら「煎茶」と呼ぶらしい。
温度を低めにするとお茶の旨味がひきたつからおいしく感じるのだそう。
初めて知ったこの事実。
つまり
熱々のちょっと手前の温度で出来上がる
そして煎茶碗がままごとの湯呑みのように小さいので、冷める暇もなく最後まで美味しい温度で飲みきれる、ということ
今まではヤケドするのが嫌で、なるべく少なく・なるべく早く・舌の上は素通りさせる勢いでズズッ・・・と飲み込むのが私のお茶のやり過ごし方。飲み方。
ええええ。
じゃ、じゃぁ・・・二杯目も三杯目も私の舌にちょうどいい温度で美味しいお茶が飲み続けられるってことですか~~~~!!!!
結論・・
煎茶碗は小さいことに意味がある。
旨味のあるお茶が飲める。
適温で。
これは私にとって世紀の大発見(ふるっ・・)
今までの「お茶のない人生」を返して~~~!!なくらい悔し嬉しかった。
全国の猫舌のみなさ~ん!!
煎茶をのもう!
お茶ってこんなに美味しいんだ・・ってわかるよ~~!!!
って叫びたい。
そのくらい感動したのです。
え・・もう知ってる??
あら。。。
すでにご存知ならすみません・・・・(恥)
しかも上記、意味間違ってますけどね・・正確には、ただ「煎茶が美味しい」のではなく「煎茶のお作法で飲むとお茶が適温だからなんの茶葉でも美味しい」ですけどね。
猫舌さんに朗報なのはソコなんです。
この道35年のベテランバイヤーであるオットと全くの素人である嫁。二人の落差から垣間見える、骨董をめぐる発見とは?
骨董はパワースポット!
https://1lejend.com/stepmail/kd.php?no=IRnMqyflEv
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葉山彩子
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生家が代々続く骨董屋だったわけでもなく、短大卒業後の仕事は保育士、もちろんのこと骨董品のことはほとんど知らず鑑定なんかできません。
そんな私がなぜ会社社長になったのか?