カワチさんとの別れ | 卵巣癌と診断されて

卵巣癌と診断されて

2021年6月に卵巣癌と診断。ステージ1C3期。2人の子供(6歳、4歳)を持つ40歳ママです。同じ悩みを持つ方の参考になればと思い、発覚から治療までを記録します。

私が入院中

病室で隣のベッドがカワチさん(仮名)だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とても明るい性格に惹かれ、

私から声をかけた

 

 

カワチさんは76歳

 

 

私の祖父母は他界しているので、

自分の祖父母と重ねてしまった部分も

あったのかもしれない

 

 


カワチさんは年齢問わず

誰にでも明るく同じように接する人で

すぐに友達になった

 


 

カワちゃん、saimiちゃんと呼び合う関係で

退院後もちょくちょく電話して話していた

 


 

カワチさんは、転院することが決まっていたけど、

転院先の病院が満床だったので、

空きがでるまで自宅で在宅診療を受けていた

 


 

農家を営んでいたカワチさんから

『美味しい野菜が採れたからとりにきて』

と連絡があり

自宅へ伺ったこともある




自宅なのに点滴が付いていたけど、

相変わらず明るくて、

 

 


『自宅に帰ってきたら元気になっちゃった。

 むくみもとれて、髪もフサフサになったよ』

 と喜んでいた

 

 

ほっそりしたカワチさんにびっくりしたけど、

入院中と変わらず明るく元気な姿に安堵した

 


 

その後、私は抗がん剤の治療や母が来たりして

カワチさんとの電話が数週間空いてしまった

 


 

そういえば、カワチさんと話してないと思い

電話をかけると留守電になった

 

 


入院が決まったのだと思っていた

 


 

数日経っても折り返しがなく、

再度電話しても留守電だった

 


 

おかしいと思い、

数日後に電話したら




『現在この電話は使われておりません』

 とアナウンスが流れた

 


 

嫌な予感がした。


 

固定電話の番号がわからず、

すぐに手紙を送った

 


 

毎日ポストをみては

返信が来ることを祈った

 


 

10日経っても返信が来ず、

いてもたってもいられなくなり

自宅へ行くことにした

 


 

カワチさん家に到着するまでに、



『もし、

 カワチさんが私と会いたくなくて

 返信をくれなかったのだとしたら、

 訪問は迷惑かもしれない』 

 と思ったけど、

 


 

迷惑だったらそれでいい、

どう思われようと

声が聞きたいと思った

 

 


息が出来なくなるほど緊張しながら

カワチさんの自宅へ着くと

 

 


自宅の前に旦那さんがいた

 

 


『カワチさん、いらっしゃいますか?』

 


 

旦那様

『あ、、、手紙くれた子だよね。

 娘に返信するように言ってたんだけど、

 まだ書いてなかったんだね』

 

 


『カワチさんはご自宅ですか?』

 

 


旦那様

『実は、1ヶ月前に亡くなったんだよ。

 寝たきりで過ごして、

 痛み止めの注射ぐらいしか打てなくて

 そのまま亡くなったんだよ』

 


 

言葉を失って

泣き崩れた

 

 

カワチさんは生前、

『私は癌には負けない』

 

『80歳までは生きたいんだよね、

 まだまだやりたいことがある』

 

『医療は進歩しているから、

 きっと直してくれる薬がある』

 


ずっとそう言ってた

 

 


あまりにも明るくて元気だから

カワチさんは大丈夫だと思ってた

 


 

数日おきに電話したのに、

電話が途絶えた時点で

私はどうして電話しなかったんだろう

 

 


もっと話ししたかった

  

 


電話すれば元気な声が聞けると思ってしまう

 

 


悲しくて悲しくて

心の整理ができない

いまだに信じられない