祖父母宅には振り子時計、所謂ボンボン時計が二つ、床の間と仏間にありました。
カチコチと時を刻み、半刻で一回、正時にはボーン、ボーンと回数なって時間を知らせてくれる古い柱時計です。
叔父がずっと使っていて祖父母宅に残されていた目覚まし時計はまさにカッチンコッチンと秒針が音を刻む、ジリリリリリーッ!と恐ろしくうるさく鳴る代物でしたが、これも愛らしくて素敵な時計でした。
母は合理的な性格なのか、婚約指輪なんて普段身につけないからと腕時計を代わりに買って貰っており、それはSEIKOの、紺碧の文字盤にシルバーのブレスレットタイプの手巻き式のものでした。
昔、私が小学校に上がるか上がらないかの記憶の中に、金色のオメガ型(ギリシャ文字の)というのか、地平線に掛かる半円の虹というのか、そんな形をした置き時計がありました。
ある日調子が悪くなったその時計を理系の父が修理を試みたらしく分解してしまい、ぽつりと一言、「やっぱり時計は無理やな」と駄目にしてしまった姿を覚えています。
冷静に考えると私は物の記憶と音の記憶にとても愛着を覚えているようです。
現代の時計よりも古いものを好むのはこういった記憶、思い出があるからかもしれません。
母の腕時計のブレス部分が金属疲労でか、或る日突然折れてしまい、似た時計を探し始めたことが更に私のヴィンテージへの興味へと繋がったのだろうと思います。
幸いか、或いは悲しむべきか、
女性用ヴィンテージ国産時計はあまり人気がないようで、有名な舶来物のように偽物がたくさん出回るでもなく、驚くほど安価でネットやマーケットに出回っています。
まさに玉石混淆、宝探し状態とも言えますが。
私がネットで探して入手する際に注意しているのが、もちろんフェイス、所謂文字盤の状態もありますが、まずは裏蓋の画像があるかどうかです。
裏蓋には製造年、キャリバー、ケースの素材についての情報が刻まれていて、それらの情報を元に判断するので、裏蓋が確認できなければどれ程最初の提供写真が気に入ったとしても購入することはありません。
では製造年やキャリバー情報が正当であろうかの確認をどうするのかと言えば、いくつかのサイト情報と照らし合わせているのです。
まずひとつ目がこちら。
時計師の資格も簡単に取得できるものではありませんがCMWはさらに別格です。
こちらでは多くのお修理例を公開されていてSEIKOも勿論。
私はオタク気質を自覚しておりまして、
SEIKOだけでなくほぼ全てのブランド、修理例を読破しています。
次にこちらの「資料集」セイコーキャリバー早見表、これも都度覗きます。
今のところ入手した時計のキャリバーと早見表のデータ、石数はまったく齟齬がないので、実はかなり信用しています。
最後に、
一番重要視しているのは写真から受ける印象です。
私自身がもう然程若くなく、祖父母や両親、身内が所有するもの、譲られたもの、自身で何十年も前に購入したもの、色々あります。
そしてそれらは大切に使っていればどう経年変化するのか、どう劣化するのかを身を持って知っています。
例えば叔父の目覚まし時計や母の腕時計は、確かに古くなり駄目になる箇所もありましたが、決してボロボロにはなっていない。
たとえブレスレットが金属疲労で折れたとしても時計のフェイスは綺麗なまま、です。
結局、前オーナー、あるいは過去のオーナーが大切に扱っていたか、その全てが現状に現れているのだと思います。
明らかに手荒な扱いを受けたものは選ばない。
不自然にペカペカと真新しい印象を受けるものも選ばない。
あとは、希少価値のある時計を蒐集しているわけではないので高過ぎる、割高過ぎるものにも手を出しません。
また、幸い身近にオーバーホールをお願いできる時計店があるとはいえ、販売、出品時点で動作確認が出来ていないものも手を出しません。
下手な修理や「イジリ」がされていると優秀な時計師でもお手上げとなる可能性があるからです。
古いものは欠損した部品が入手、再生不能であることも多いので、精度はともかく、24時間の動作確認済みであることも条件にしています。
自分の好みのデザインを見つけたら
まずは同種の出品、販売品を片っ端から比べてみる。
デッドストックなら有難いですが、
でなければワンオーナーで大切にされていたようなものを選ぶ。
あまり参考にはならないかもしれませんが
それが私のヴィンテージ時計を選ぶ基準になっています。
私のヴィンテージSEIKOだけでも8本あってオーバホール済みはたったの3本😅
他の5本はメンテナンス歴不明ですがどれもちゃんと動く!
それだけでもSEIKOって凄い。
と思う私です。
いや、古いロレックスやらその他もあるけど、それらは夫所有なので動くかは不明。
私の影響かはさて置き、
私がヴィンテージを熱く語ったからかは別として、妹と職場の友人は60年代〜70年代のオメガの手巻きを数本購入しました、
機械式のファンが増えるのは嬉しい😊
現代の機械式はどうにも「ゴツい」ものが多くて、昔のような、願わくば更に洗練されたデザインがあれば良いのになぁと思っています。
古い時計に惹かれるものが多いけれど、
それは決して現代の物作りを否定している訳ではありません。
「今」に投資しなければその未来はないと思っています。
残念なことに私にはその投資力がないので、他の誰かが担ってくだされば嬉しいな。
ですので私は手元にある時計でまだ動くものをメンテナンスして使っていこうと思います。
ただそれにもそれなりに費用がかかるので😅
オーバーホールしたら私が使っても良いとの許可🤣が出ている夫所有の時計が次のメンテナンス候補ですが、「舶来物」はさらに高い費用なので未だ実施できず…
スイス製自動巻。
時刻の合わせ方もまったく不明。
でもちゃんと動く可愛いコです。