一生に一度あるかないか | ALBERO*penna

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タイトルを変更しました。
日々の暮らしを少しでも快適なものに、
お洒落心も忘れずに。

先日珍しく夫から食事の同伴の打診がありました。

お誘いくださったのが私も存じ上げる方で、以前よりご挨拶の機会をうまく取れずに気になっていたこともあり、ではわたくしもと返事を。

急なことでもあり、

平日は仕事もあり、

気の利いた手土産も用意できなかったことを申し訳なく思いつつ、

迎えの車に同乗して向かった先は京都の西。


夜の暗がりにそもそも方向音痴なので、西に向かい、そして川沿いを上りつつあることは認識していましたが予想はまったく出来ず。

夫は途中から思い当たりソワソワしていたそうです。


夫と私の終業後からの嵐山ですのでもうすっかり日も暮れてしまい、

またこの時期の喧騒が嘘であるかのようにひっそりと静まりかえって不思議な心地がしました。


嵐山、言わずと知れた吉兆。

後から散々夫には嫌味を言われましたが

運も実力のうち⁉︎

滅多と同席しない夫関係の食事で

比良山荘の次は嵐山吉兆という、私の引きの強さと言ったら。


お庭の景色が存分に楽しめる大広間でしたが、とっぷりと暮れており、また紅一点でまさかの上座、お招きくださった方の前で粗相のないようにと必死で余所見をする余裕はありませんでした。


写真を逐一撮るのも気が引けて、

結果残せたのはほんの数品。

しかも相変わらず下手なので悲しくなります。



蛤と胡麻豆腐のお椀。

ここで塩加減の好みの確認をしてくださいます。

普段薄味の我が家には気持ち強めではありましたが、何よりこちらの基本の味を体験すべく以降もそのままでお願いしました。




京都平井牛シャトーブリアンのしゃぶしゃぶ。

この厚さは初体験です。



見事な八寸。


このように各自に盛って下さいます。



すはまと桜餅。

見たところ単なる葉でしかなく不安になりましたが食べればちゃんと塩漬け、でも歯切れよく、けして道明寺と餡の邪魔になることなく綺麗にまとまっています。

菓子のことを熱く語るのは少し失礼かもしれませんが、

とにかく驚いたので。

今まで食べた桜餅ではピカイチです。


他に向付、焚物は筍、

焼物は真魚鰹に百合根

ご飯には赤鶏と花山椒のすき焼き風を、卵でとじて丼のようにしても。

随所に春を感じる食材や素材が使われており、室礼などもまた然り。

入店してから出るまでの時間すべてが日本の四季の美を堪能すべく演出された極上のエンターテイメントだと考えれば、本当に素晴らしいひとときでした。


ちなみにお酒はヴーヴクリコ

お肉に合わせてジュヴレイシャンベルタンV.Vなど。


一生に一度でいいから行ってみたい、と夫婦で話していた吉兆、嵐山本店。

この年になりますと驚く程の美味に出会うことは中々難しくなりますが、単なる美味しさだけでなく、その過ごす時間がいかに満ち足りたものであるのか。

最近はイノベーティブ、フュージョンといった料理が持て囃されもして、丁寧なだけでは話題にならない今の時代。

人は常に刺激を求めるものですから仕方ないのかもしれません。

ただ夫や私は

こういったスタイルが非常に好みのようです。

美味しいだけなら他にもある。

けれど食事を楽しむこと、その全てを評価するのであればこちらは私の今まで知る中で秀逸です。


一生に一度と思っていたけれど実現した今、

毎月吉兆積立でも始めようかと思う私です。

季節毎の吉兆を体験してみたい。