何かのメディアで明石家さんま主演舞台が1月にあると年末だったかに聞いて
「え?それは行くしかなくない?」と、迷いなくソッコーでチケットを取った
『斑鳩の王子 -戯史 聖徳太子伝-』


お話も知らない、劇場も知らない、共演者もチェックしていない、、、
わかっているのは明石家さんまの舞台ってことだけ。
2009年に世田谷パブリックシアターで見た『ワルシャワの鼻』
2015年にシアターコクーンで見た『七人ぐらいの兵士』
どちらも最高に面白くて、笑って笑って、でも大切なことが詰まっていてほろりとして…
どちらも「とにかく生きる」ってことを描いていて、
それってさんまさんのベースにあることだよなぁと思って、、、
だからまた観に行きたいと思っていたのです。

劇場はIMMシアター。場所は東京ドームシティ。


初めて聞いた名前…と思ったら、なんとこれがこけら落とし公演でした。
しかもさんまさんがGM…いや、DM(ドントマネージャー)を務める劇場で、IMMは「生きてるだけで丸儲け」のことだそうです。


漢字で書くと「愛笑夢笑夢」


ああ、もう本当に素敵!!
 

キャパは705席で、女性用お手洗いは20個トイレ女性トイレ女性トイレ女性トイレ
空きがわかりやすいようになってるし…いやもう、なんていうかそういうところばっかり見ちゃってアレなんですがあせる素晴らしいですぱちぱち
ロビーはコンパクトなので雨天時に外に並ぶのは少々大変ではありますが、自前の劇場だけあって終演後もお手洗いや物販の利用が可能ぱちぱち
さらに客席は…
私は後ろの端の方で、前に背の高い男性が座られたので「あ、まずいかも?」と思ったのですが杞憂!
全然問題なしバンザイ

舞台全体がものすごーく見やすいですバンザイ
最高かバンザイバンザイバンザイ
設計施工は宝塚大劇場・東京宝塚劇場と同じく竹中工務店。
信頼と安心の竹中工務店!
ありがとう、竹中工務店!


さて。
私が見に行った1月20日(土)は大雪警報雪が出ていましたが、いや、雪の匂いしないし、この気温じゃ雪にはならないでしょ…と、半分警戒・半分侮りで出かけました。
劇場は水道橋駅から至近。小雨が降ったりやんだりで、ちょうど降っていない時に着きましたが至近助かるsao☆
劇場前には人が集い「列は作っていませんが、不安定な階段を避けて並んでください」とアナウンスがありました。
列は作っていませんってアナウンス、潔くて面白いなきゃはっ

公演時間はいつも通り「約3時間・休憩なし」です。
『ワルシャワの鼻』は3時間半。
『七人ぐらいの兵士』は3時間10分。

さんちゃんの舞台ですし、このくらいは想定済みですo(・ω・)o
こちらも気合を入れて挑みますGOOD


物語の舞台は飛鳥時代。
聖徳太子が生まれたところから。
さんまさん登場前は、聖徳太子のお母さんとか、苦しむ農民たちがやり取りをしますが、正直その辺りは…冒頭だから説明も多いし、想定通りのボケとツッコミって感じでやや間も悪く、演者も暗転前に苦笑いしながら首をかしげたりして、
「うーん…やばいかも?」な雰囲気ん~…
場面の切り替えが多いので、一応舞台上にワイヤーを通してブレヒト幕も使って転換はしてるんですが、全体に暗転が多いんですん~…
それも、あまり笑えない段階ではとても気になってしまって、、、
「うーん…ダレるかもん~…」と思ってしまいました。

が!
さんまさん演じる聖徳太子が出てからは、やっぱりすごかったバンザイ
 

最初に神様に会いに行った場面。

鹿たちに紛れて生きる「みにくい鹿の子」である、とても美しい黒い馬はウマ音月桂ちゃんキラキラ
そんな鹿と馬と出会い、鹿の神様を呼び出す場面で早速大笑いあはは
聖徳太子が「鹿狩りに…」と説明すると「鹿狩り」というワードに反応して「きゃー!」と隠れる鹿たち…に驚いて一緒に「きゃー!」と隠れる聖徳太子あはは
シンプルなのかもだけど、この面白さは何!?

そして言葉の切りどころの話で「金太、負けるな」を鹿たちに言わせるのも、あるあるだけど笑っちゃうあはは
桂ちゃんも「金太、負」と言っちゃって

「お前は言うな!雪の頂点や!あきらめないでと同じや!」とツッコミ。
雪の頂点や!に思わずぐっときちゃう私ぐふ

みなさん何役もされる上に、暗転前のシーンに最後までいて、暗転後のシーンに最初からいたりするんですよ。
早替わりのスピード、

どうなってるの!?
しかも、
桂ちゃんもそうなんですが、人から馬や鹿になる人もいて…すごい速さ!
桂ちゃんは一度中途半端にワチャワチャ出るときがあったけど、あの演出は「すごいスピードでやってるんだよ!」のアピールかな??


そんな馬にもなった桂ちゃん。
立ってる時に足でちょっと土を蹴るようにする仕草がとても「馬み」があって美しいですキラハート
そしてさすがの姿勢の良さキラハート
スッと凛々しく立ち足を蹴る姿がもう優美でキラハートうっとりしましたはぁはぁ
時々顔を振って「ぶるるる…」と言うのもポイントですねエル

途中で自ら崖から飛んでしまうものの、神様のように復活!
背中に大きな大きな羽根(映像)を背負ってババーンと現れて、
さんまさんの「お前!まさか歌うのか?歌うのか?」の問に「歌うわ!」と宣言して歌い上げる桂ちゃんキラハート
しっかりと宝塚的な雰囲気を盛り込んでいただいて、桂ちゃんキラキラでしたキラハート

しかも…なんか桂ちゃんのことをまとめてドドーンになっちゃうけども、
しかも!
桂ちゃんのもうひとつ大きなお役は男役!!

ありがとう!ありがとう!
瀬戸カトリーヌさんが姫として登場して、両脇には松尾貴史さんと音月桂ちゃん。
瀬戸さんのヘアスタイルがレイア姫みたいだし、二人の服装も何やら…と思ったら
「レイア姫」「ルーク」「ハンソロ」

と名乗ったーーー!!!
プログラムを見ると正しくは「礼碑阿姫」「流右駆」「斑曽呂」だとか。
そんな桂ちゃんルーク。
剣01を持って「うらぁぁ!」と立ち回る桂ちゃん…ああカッコいい!

ありがとう!ありがとう!

(なんか剣がブーン…と鳴っていたような記憶…)

ルークはカッコよく、黒駒は美しく、さんまさんとのやり取りは可愛く…桂ちゃんの魅力が様々に引き出されていましたハート。
見に来てよかったー!!!


そして、さんまさんの舞台のお約束。
物語を逸脱してさんまさんが目一杯遊ぶコーナー!
温水洋一さんとのやり取りはいつも通り。
温水さんの(脳みその)反射神経にはもはや感心パチパチ
長年やり取りをしているだけあって、ツーカーぶりがさすがですパチパチ

で、今回そんな温水さんとさんまさんに挟まれて頑張ったのは物部守屋を演じた一色洋平くん
温水さんが暴れた後でさんまさんの要望に応えて鯉やら亀やらやらされるんですが、
自分の出番を待っている間、手をモジモジしてド緊張の顔で状況をじーっと見ているイヒヒ・・・のがもう面白い。
で、いざ頑張って入ったらさんまさんの

「止めまーす!」
「え?なんで??何がダメなの??」とアセアセ汗する一色くんが、回数を重ねるごとにどんどん汗ダラダラ涙になって、
「もう情緒不安定!!」とジタバタし始めます。
客席からの「かわいそう…」の声に「今日は親戚来てるのか?かわいそうって言われとるぞ」とさんまさん。
さらに焦る一色くん汗汗汗
「お前は社長たっての依頼でねじ込んだんや、小銭が動いてるんや」
「なんでお前だけ汗だくなんや!俺等がサボってると思われるやろ」なんて追い込んで、
今の世の中だとパワハラ扱いされちゃうかもとちょっとハラハラした頃…
「もうあかんな」とやれやれ顔をするさんまさんに飛びついてすがりつき
「あきらめないで!もっと!育成して!!」と叫ぶ一色くん。
かわいいにこ
そしてついにキレる一色くんあはは
「もう物語わかんなくなっちゃったよ!

このくだりになって25分だよ!

紫の人(さんまさんのお衣装)お願いだからちょっと黙って!

ここは僕(物部守屋)の家!!」
シャワーでも浴びたみたいに汗ダラダラ涙涙涙だったのに、そこからちゃんと物語に戻っていく3人。
とはいえそこからはサッと閉めて暗転だったけど、一色くんの奮闘には拍手!でしたパチパチパチパチパチパチ


さらにやられたのは、後半の中尾明慶くん
さんまさんと二人で、ニセ聖徳太子の中尾くんと聖徳太子のさんまさんの対決場面。
中尾くんは「殺せ!」と啖呵を切って深刻な場面なんですが、
殺す道具のロープを首輪に、中尾くんが犬として扱われてしまう流れに。
「オス?メス?名前はメスなら里依紗しのぶ…」爆笑あはは
ここも中尾くんを追い込みまくり、なんとか芝居に戻そうとする中尾くんに
「戻すんか?」と笑いながらまだまだ!という空気。
「長い…今日ホントに酷いよ!」とクレームをつける中尾くんに「怒るなや、今日は土曜日やから」と言いつつさんまさんも諦めかけて「じゃあ次に行こうか」と言ったら客席前方から「えー…」の声あはは
キラキラした顔で喜ぶさんまさんと、客席に「ちょっと待って」という顔ですがる中尾くん。また爆笑あははあははあはは

でも、こちらもグッタリしながらもしっかりと物語に戻り、
ニセ聖徳太子に「悲田院」を作れと諭す場面では胸に来るものがありました。
見てるこちらも感情の振れ幅がすごい!!


それにしてもこの若手二人への長尺の追い込み
完全にアドリブに見えるんですが、
感想をあちこち見て、そしてプログラムにある座談会を見たら…

なんとすべて計算でした!
実は「今日はホントに酷い」という言葉に、私は「これは4時間コースかな」と思っていたんです。

でも終わってみたら3時間10分くらい。
全然押してなくて「あれ?予定通り??」と思っていたんです。
みなさんの感想でも「25分」とか出てたし、やり取りもほぼすべて同じ。
一色くんと中尾くんのあの切羽詰まったお顔や汗も…

予定調和!?すごい!!
すべてが初めてのやり取りみたいでした。

そして、確かに現代では若手に対して何度も同じことをさせたりすると叩かれそうでは有りますが、
これがなかったら私は一色くんに注目しなかったし、これがあったから「頑張れ!応援するぞ!」って思ったしで、、、
なんかなんとも難しいものですねなんて思ったりもしたのでした。
たぶんこれもさんまさんたちが込めたメッセージのひとつなのかな。
何しろ、さんまさんの舞台にはいつだって笑いだけじゃなく、ちゃんと皮肉や風刺や「生きる」ことへのメッセージが込められているから。


貧しくてカッコ悪い農民たちは戦で手柄を立てたくて戦場に行って亡くなり、
また人を殺すことで成功を手に入れて姫と幸せになれると思った小須流目(中尾くん)は、人を殺したことに悩み苦しむし、
聖徳太子は人の命を絶対に取らないからニセ聖徳太子に悲田院を作るように諭すし、
聖徳太子の奥様(田中真琴さん)は彼のそんなところを愛していた。


そして聖徳太子の息子である山背大兄王(これも中尾くん)もまた、人が人を殺さない世界にするために、無益な戦を回避するために、戦の理由となる自らを殺してしまった。
その思いを理解して、息子の亡骸にすがって泣く聖徳太子の姿に涙が。。。
しかも聖徳太子さん、未来が見えるので、こんな未来も知っていながら息子を見守っていたのもつらいです。
この、戦を望まなかった山背大兄王のお役を、戦で苦しんだ小須流目と同じ中尾くんが演じているのも…胸にきますドワーッ

でも、涙で終わらせないのが明石家さんま。
黒駒とともに天国のような客席を歩き「もうすぐ終わります!」なんて言って笑わせて…
そして舞台上には黄金の富士山富士山が!!
「こんなに高かったらすべてお見通しや!」と笑顔で黒駒と上り、
富士山の上からの景色に「きれいやな」目をキラキラさせながらも
「この美しさに恥じぬ国になれるのかなぁ」
うわ…もう…胸がぎゅーっっっ!!!


歌や踊りや掛け合いや…楽しくてバカバカしいお笑いの中にきっちりと現代社会へのメッセージを入れて、そしてグッサリと刺してくる…
本当にホンモノのお笑い芸人さんだなと思います。
ため息。。。
やっぱり来てよかった!!
いい男だなぁ…思わず物販にあった『さんまの背開き』を買いそうになったわ(買ってないんかい)
さんまさんの背中だけの写真集。
絶対セクシーなんだけど、、、それはまた検討させていただきます。

とりあえず、また舞台は見に行こうっと!!