たまきち(珠城りょう)とさくらちゃん(美園さくら)の退団公演であり、

また退団公演の演出担当ですか!?な、上田久美子先生の作品。月組月組公演『桜嵐記』
雪組に続いて月組もなんて、上田先生凄いなぁ。

申込みのタイミングでは見られるかどうかわからなかったのでスルーしたのですが、
その後、おだちん(風間柚乃)の生徒席などをお譲りをいただいて
7/31(土)と8/12(木)の2回。
どちらも1階席のいい感じの場所で見ることができました。

 


特に8/12は、かいちゃん(七海ひろき)の退団公演の時に座りたくて座りたくてたまらなくて、ことちゃん(礼真琴)ファンの女神様のおかげで座ることができたお席。


なので、ちょっと思い出いろいろプレイバックですうるうる

そうそう。オーケストラボックスにフタがされているのを、花組公演を見ていない私は初めて見ました。


なんか本当にピッタリとフタされてて凄い。。。
どんな素材でできてるんだろ。
ハイパー特注のお手製よね。
確かにとても気にしたらシンバルとかの音が少し曇っているようにも思うけど、でもオーケストラが入ってることでタイミングとか呼吸みたいなものが違うと思う。
きっと生徒さんもみんな演じやすいんだろうなぁ。


さて。
南北朝時代。
高校時代は日本史を取っていたので、多少知ってるけど多少しか知らない。
しかも上田久美子作品。
ということで、少しは南北朝時代を予習して挑んだのですが、上田久美子作品としては珍しいくらい親切丁寧な作りでした。
冒頭、るうちゃん(光月るう)扮する老人(あとでわかるのですが、これは三男正儀くんが年を重ねた姿)が出てきて、階段の上を北朝、下を南朝という位置づけで、非常にわかりやすく南北朝時代の成り立ちを解説してくれました。
ありがたや嬉しい
人間関係の相関図もここであらかた網羅。
ありがたや嬉しい

そんな感じで、
上田久美子作品ではありますが、その後も非常にわかりやすい、すんなりと入ってくるストーリー展開でした。雪組『fff』とえらく違うあはは・・・
たまきち演じる楠木正行さんは、ひたすら真っ直ぐ実直な方なこともあり、
女性(さくらちゃん演じる弁内侍)にも真っ直ぐ→
任務にも真っ直ぐ→
兄弟にも真っ直ぐ→
上司にも真っ直ぐ→
ひねくれたところがないのは、上田久美子作品とはいえ、たまきちのための作品だからなのかな。
(べつにだいもん(望海風斗)がひねくれてるというわけじゃないけど汗キャラの問題として汗

あ、でも、
まゆぽん(輝月ゆうま)演じるお父様・正成さんが子供たちに伝える
「もらった時と力を何に使うのか」の場面は、
私たちファンが日々コツコツ働いて、そして宝塚を見に行くという行為をし、
そしてそんなコツコツを捧げられたタカラジェンヌは何をすべきか…という、
ここでは武士と農民の関係を描いているけど、

それってつまりタカラジェンヌとファンのことよね…という暗喩は『fff』同様にありました。うんうなずく☆


さて。
心も体も大きくて、優しくて、敵であった人たちでも無駄に苦しめることはしない正行さん。
信念を持って、困った人には手を貸して、ふざけることなくいつも真面目に技を磨き…
たまきちはよく「真面目じゃないです」みたいなことを言うけど、演出家から見てもこういうタイプの人間なんだろうなと再確認ポイント

兄弟とのやり取りにも、上司…いや主人…であるありちゃん(暁千星)演じる後村上天皇とのやり取りにも誠実さいっぱい。
後村上さんなんかはさ、
あの人あれで寂しがり屋さんみたいだし、
自分の立場をとても賢く理解して一生懸命奥歯を噛み締めて踏ん張ってる人だし、
お友達が欲しいのに思うようには人と付き合えないし、
正行さんとはもっと砕けたやり取りをしたかったんだと思うよ。
なのに正行さんったら、父の代から続く主従関係に真面目だから…
後村上さんは切なかったと思うよ。
ありちゃん…そういう表情がよく出てて素晴らしかったよパチパチ

今回のありちゃんは本当に素晴らしかったな。
出番こそ目立って多くはないなと思って見ていたけれど、
出るたびにビシーッと場を作っていましたぴかぴか(新しい)
正行さんに弁内侍をオススメする場面は、二人のことを真剣に考えながらも自分もちょっと正行さんといい感じになりたいなって雰囲気あって可愛かったし、
ヒロさん(一樹千尋)演じる父上の後醍醐天皇の亡霊に襲われる場面はなんだかもう気の毒で…ヒロさんめっちゃ怖いしあせあせ(飛び散る汗)…でも、彼がどうあっても今こうしかいられない理由がガンガン伝わってきたし、
何よりもラストぴかぴか(新しい)
年ふれば思ひぞ出づる吉野山

またふるさとの名や残るらん
吉野山を宝塚に置き換えると、

全国各地に故郷を持ちながら集まってきた少女たちが宝塚を離れ、そして宝塚をまた故郷と呼ぶようになる…ことに、胸が詰まる句を詠み、
そして旅立つ…もう客席の私たちは正行さんがこの戦いで亡くなってしまうことを知っている上で…旅立つ正行さんへひと言

「戻れよ」
静かに重いんだけど心からの叫びのような「戻れよ」
正行さんが戻らないことを知っていて、

そしてたまきちがもう戻らないことを知っている私たちには胸にズーン、鼻がツーンなのでした泣く。
すごく静かで、すごく抑えたお役だったけど、とてつもなく存在感のある素晴らしいお役でした!!


逆に激しく存在感があったのは、なんと言ってもゆりちゃん(紫門ゆりや)
猛烈に汚くていやらしいおっさんである高師直がせり上がってきた時に、ハッキリ言って誰が演じているのか全然わかりませんでした。
事前情報で「ゆりちゃんがゆりちゃんじゃない」と聞いていたから
「あ!あれがゆりちゃんかっひらめきちゅんと思いましたが、
そんな情報がなかったら、見終わったあとで「ゆりちゃんどこ!?あのおっさん誰!?」となっていたと思います。
だって、、、
見た目はいつものゆりちゃんよりイカつくて、ヒゲぼうぼうのお顔には高貴さの欠片もなくて、汚くて臭そうで、声も太く低くしゃがれてて…
ゆりちゃんってこんな声出たんだ!とビックリ。
でもね…
ゆりちゃんは最近あまりいいお役が当たってなかったから、実は集合日のたびにドキドキしてたのですよ。
そしたら専科専科に異動と発表があってね、
でも、おっさん上手なまゆぽんはともかく、ゆりちゃんは専科に行ってどんなことするんだろう…ロイヤル担当は各組にそれなりにいるし…と思っていたんですね。
そしたら、月組最後の公演でコレですよ!
興奮しちゃいましたバンザイ
そして上田久美子先生に感謝でしたお願い
ゆりちゃんは、こんなに素晴らしいお芝居を手にして専科に行くんだ!

紫門ゆりやはこんなんできまっせ!を見せつけて行くんだ!と思って、「うわぁ…いやらしいおっさん…」と思いながら、そんなゆりちゃんに感動したのでした。
今後のゆりちゃんに幸多かれハート。


その横にいるおだちん演じる足利尊氏は…貫禄は言わずもがな。
安定感がすごすぎて、何人もの上級生を前にしても全然余裕で権力発揮できそうニコ
相手はたまきち、ちなつ(鳳月杏)、れいこ(月城かなと)だというのに、一歩も引かないオーラで上から会話を進めるどっしりとした威厳はお見事でしたパチパチ


正行さんの弟…下の弟はれいこ演じる正儀さん。
明るくて調子が良くてちょっとナンパで。
正行さんがきちんと線を引いている弁内侍ちゃんにもヘラヘラちょっかい出すしニコ
自分に厳しい長兄・正行さんと、ちなつ演じる女性に一途な次兄・正時さんに可愛がられて、自由にのびのび育ったんだろうなというのがひと目で分かる天真爛漫さキラキラ
そんな彼が、次兄を亡くし、今目の前で長兄が倒れ、ついに覚悟を決める時が訪れる…決意の表情に、これから月組を背負って立つれいこの決意が重なって、、、退団公演って、やっぱりこういう演出が涙を誘います泣
みんなの前では平気そうにしていてもボロボロに傷つき、
「この生命を大きな時の流れに捧げる」と戦い、
(ここの戦いのバックで歌うまゆぽん、嬉しかっただろうなぁ)
「国を一つにしろ!お前がやれ!」と強く命じる正行さん。
そして、その言葉を受けて方言を封じて全軍に強く命じる正儀さん。
私たちには想像することしかできないけれど、ひとつの組をまとめあげ、そして次のトップさんに引き継ぐって、このくらい命懸けで、このくらい厳しいことなのかもしれないな。
正儀さん…れいこは覚悟を決めて一気に大人になるのでした。

全軍が次へ向かい、
残りの命は一人の女に捧げたいと、一人残される正行さん。
倒れるのではなく、座ったままガックリと力尽きて、盆が回って消えていく正行さんの姿が、そのままたまきちの姿という感じで泣けました泣
倒れるよりも座ったままの方が強がっているようにも見えて、ずっとずっとカッコいい最期だったな。。。

そんな真っ直ぐな正行さん。
真っ直ぐすぎて、大好きな弁内侍ちゃんを受け入れられなかった正行さん。
自分は戦いで死ぬ身だから、大切な人の死をもう経験させたくないからと弁内侍ちゃんを受け入れなかった正行さん。
うぅ…真っ直ぐすぎるけどそれは違うよーと言いたい。
ほんの一瞬でも受け入れてくれたら、それは生きる力になるのに。

さくらちゃん演じる弁内侍ちゃん。
気が強くて、不器用で、でも一生懸命で。
心を許したら途端に子犬のように懐いて。
めちゃめちゃ愛情深くて。
本当に愛らしい女の子で、さくらちゃんらしくて素敵でしたハート

『夢現無双』の時にはたまきちもさくらちゃんも、なんか役にハマってなく見えて、
その後、さくらちゃんがマーメイドラインのドレスとか着ているのを見たら猛烈に可愛かったので、
ああ!和物が似合わないのかな?なんて思ったのですが、
今回『桜嵐記』を見てわかりました。
和物が似合わないんじゃなくて、
荒くれ者の武蔵がたまきちに、耐える女のおつうがさくらちゃんにハマってなかったんだわ!
たまきにちは誠実で実直、穏やかで真面目な男性が、
さくらちゃんには負けん気が強くて勇ましく、でも恋したらお目々キラキラしちゃうキュートな女性がお似合いハート。
何作か重ねてきて、そしてここに来て、そんなことを感じました。
結局本人の持ち味を役に重ねるのが一番ということかしら。
全然イチャイチャさせてもらえなかったけれど、とても魅力的な二人でした。


その分、ちなつ演じる正時さんと、うみちゃん(海乃美月)演じる百合ちゃんがめっちゃイチャイチャしてくれたので良いとしましょう。
このお二人。
猛烈に切ないけれど…ほろり
ずっと理想的なご夫婦で、あっちぃあっちぃな美男美女カップルで、たっぷりと目が癒やされましたが、、、
お家の都合で離縁を決意し、そして自分自身の存在が彼の足を引っ張らないように自害した百合ちゃん。
楚々としていながら、ものすごい情熱と愛情を秘めた素晴らしい女性でした。
だからこそ、正時さんも強く強く愛していたんでしょうね。


三兄弟で奥さんがいたのは彼だけでしたが、(正儀さんもその後結婚はしたんでしょうけども)
あんな夫婦の姿をそばで見ていたら、兄弟二人の女性の理想が高くなってしまいそうと思ったりしました。


今頃きっと天国で再会して、平和に楽しく過ごしているんだろうな…そんなことを思わせてくれる二人。
ああ、スピンオフ希望です。。。