⑬熊谷守一 生きる喜び展@東京国立近代美術館 | 西条美咲オフィシャルブログ「西条美咲の咲く色」

⑬熊谷守一 生きる喜び展@東京国立近代美術館

行って来ました!!
 
熊谷守一!!!
 
テレビで見てから、早く行きたくて楽しみにしていた展示です。
何故、そんなに楽しみだったのかというと、イラストのような独特な作品がすごく緻密な観察や計算から仕上がっているのだということと、
晩年は何十年も家から出ないで仙人のような暮らしをしたということ、そしてアリが二番目の足から歩くということを発見した人だということで、なんて変わっていて、面白そうな人なんだろうと興味が沸きました。
 
今回は、没後40周年記念だということで、そんな熊谷さんの作品を初期から晩年までまとめて見る事が出来る大回顧展ですニコニコ
 

 
個性的でわが道を行くタイプで気難しそうだなと思ったので、絵画は独学で学ばれたのかなと思っていたのですが、東京美術学校に通われたんですね。同期には青木繁がいて、一緒にスケッチに出かけたりしたようです。
この時期の作品は、青木繁の色調と似ていて、本当に暗いです。
題材となっているのも、線路に自殺に飛び込んだ女性など、暗いものが印象的です。
 
そんな熊谷さんの作品は、形を追うようになり、色調もだんだん明るくなっていきます。
そのうちに熊谷守一の作品の特徴となる赤い枠線が現れてきます。
形もだんだん迷いのない明確な線で作られ、色もどんどん明るくはっきりとし単純化されていきます。
今回の展示で、まさに一生をかけて仕上がっていく「熊谷守一」という作品の過程を見る事ができました。
 
熊谷守一の作品は、一見、素人か描いたような、下手か上手いのかよく分からない作品に見えます。
私たちは、彼の作品を真似して描くことも出来ます。
でも「真似」であって、私たちは、自分の作品を生み出していない。
一目見て、これはだれだれの作品だなとすぐに分かる作品を生み出すことは、容易ではないと思います。
それがどんなに単純で私でも描けそうだと思うものであっても、自分の作品としてそれを産み出すことがすごいことだと思います。
技術のみでは、人の心に強烈な印象を残すことは難しいです。お芝居でも同じだと思っていますが、そこに心や個性があることが大切だと思っています。
 
熊谷守一さんは、裕福な生まれだったようですが、このあまりにも激しい芸術家気質なため、本当に貧乏だったようで、子供が病気になっても医者に見てもらうこともできず、死なせてしまったようです。
唯一無二を産み出すことは命がけなんだと思うし、やっぱりそこにはたくさんの犠牲もあるのだろうなと思いました。
渇望や貧困を通して生まれた苦しみの結晶が、老若男女、誰の目にも受け入れられる作品を生み出したのだと、
熊谷守一さんの執着をとても感じることの出来る、純粋ながら力強い展示でした。
 
今回見た中で、お気に入りを何枚か載せます^-^
特に、ひまわりが好きです。