「うちの子、勉強してるのに成績が上がらないんです」
こういう相談をよく受けます。
話を聞いてみると、ある共通点が見えてきます。
スマホの使用時間が長い。
今日は、スマホと成績の関係について、研究データと18年間の指導経験からお伝えします。
耳が痛い話かもしれませんが、大事なことなので最後まで読んでください。
東北大学の研究が示す「衝撃の事実」
東北大学の川島隆太教授は、仙台市の小中学生7万人を対象に、スマホ使用と学力の関係を調査しました。
その結果が、衝撃的でした。
事実①:2時間勉強しても、スマホ3時間で「勉強しない子」より成績が低い
信じられますか?
毎日2時間以上勉強している子が、スマホを3時間以上使うと、
「ほとんど勉強しないけどスマホも使わない子」より成績が低かったのです。
2時間の勉強が、スマホによって「なかったこと」にされている。
これが現実です。
事実②:スマホ3時間以上で、偏差値50未満
スマホを1日3時間以上使う子どもは、睡眠時間を確保していても、勉強時間を確保していても、平均偏差値が50を下回るという結果が出ています。
つまり、「ちゃんと寝てるから大丈夫」「勉強もしてるから大丈夫」ではないのです。
スマホを使っている時点で、成績に悪影響が出ている。
事実③:集中30分 = スマホ片手に3時間
「ながら勉強」の影響も調査されています。
結果は、集中して30分勉強した子と、スマホを触りながら3時間勉強した子の成績が同じでした。
3時間かけても、30分と同じ。
2時間30分が、無駄になっているのです。
なぜスマホが成績を下げるのか
「スマホを使うと勉強時間が減るから」
そう思いますよね。
でも、研究結果は違いました。
勉強時間や睡眠時間を考慮しても、スマホ使用時間が長い子は成績が低い。
つまり、スマホは「時間を奪う」だけでなく、脳に直接悪影響を与えている可能性があるのです。
川島教授の研究では、スマホを使っているとき、脳の「前頭前野」の働きが抑制されることが分かっています。
前頭前野は、思考・判断・集中力を司る「脳の司令塔」です。
スマホを使い続けることで、この司令塔の働きが弱くなる。
だから、勉強しても頭に入らない。
これがスマホの怖さです。
18年間、生徒を見てきて感じること
研究データだけでなく、私自身の指導経験からもお伝えします。
成績上位者の共通点
彩北進学塾に通う成績上位の生徒には、ある共通点があります。
・スマホを塾に持ってこない。
・持ってきても、来てから終わるまでは絶対に触らない。
「スマホどこ?」と聞くと、
「家に置いてきました」
「カバンの中です。電源切ってます」
こういう答えが返ってきます。
彼らにとって、勉強時間は「スマホを触らない時間」なのです。
成績が伸びない子の共通点
逆に、成績がなかなか伸びない子には、こんな特徴があります。
- 休憩時間になるとすぐスマホを取り出す
- 勉強中もスマホが気になって集中できない
- SNSの通知が来ると、すぐに確認する
- 塾に来て席に座るとまずスマホの操作
- 授業開始時も切りのいいところまでいじる
そして、こういう子に話を聞くと、だいたい同じパターンです。
夜遅くまでSNS、動画、ゲームをしている。
朝起きられない。
授業中に眠い。または寝てしまう。
スマホ → 夜更かし → 睡眠不足 → 授業に集中できない → 成績が下がる
この悪循環に陥っている子が、本当に多い。
「与えたものは取り上げられない」という現実
ここまで読んで、「うちの子もそうだ…」と思った方もいるかもしれません。
でも、こうも思いますよね。
「一度与えたスマホを取り上げるのは難しい」
その通りです。
取り上げると、子どもとの関係が悪化する。
反発されて、余計に言うことを聞かなくなる。
スマホが気になってなにも頭に入らなくなる。
だから、多くの家庭で「ルール」を決めます。
- 夜10時以降は使わない
- 勉強中は触らない
- 食事中はスマホを置く
- 自分の部屋には持ち込まない
- 塾へは持っていかない
でも、現実はどうでしょうか。
最初は守っていても、だんだん「なあなあ」になっていませんか?
「今日だけ特別」が積み重なって、いつの間にかルールが形骸化している。
これが、多くの家庭の現実ではないでしょうか。
スマホをいつ与えるか問題
まだお子さんにスマホを与えていない方へ。
「いつ与えるか」は、慎重に考えてください。
・周りが持っているから。
・部活の連絡で必要だから。
・塾の送り迎えで連絡を取りたいから。
そういう理由で与えることが多いと思います。
でも、一度与えたら、子どもはスマホなしの生活には戻れません。大人でもそうですから。
東北大学の研究では、スマホ使用時間は「1日1時間以内」が推奨されています。
1時間以内なら、成績への悪影響は少ない。
与える前に、「1日1時間」を本当に守れるか。
守れなくなったとき、どうするか。
親子で真剣に話し合ってください。
今日からできること
「じゃあ、どうすればいいの?」
そう思いますよね。
いきなりスマホを取り上げるのは現実的ではありません。
でも、今日からできることはあります。
①勉強中は「物理的に離す」
勉強中は、スマホを別の部屋に置く。
「視界に入らない」だけで、集中力は大きく変わります。
②夜のルールを「仕組み化」する
「夜10時以降は使わない」ではなく、
「夜10時にリビングに置く」と決める。
意志の力に頼らず、仕組みで管理するのがポイントです。
③親もスマホを置く
子どもに「スマホを置け」と言いながら、親がスマホを触っていませんか?
親が手本を見せることが、一番の説得力になります。
勉強の成果を「無駄にしない」ために
最後に、もう一度お伝えします。
2時間勉強しても、スマホ3時間で水の泡。
これは、東北大学が7万人を調査して出した結論です。
お子さんは、毎日勉強を頑張っているかもしれません。
塾に通って、宿題もやって、テスト勉強もして。
でも、その努力がスマホによって「なかったこと」にされているとしたら。
こんなにもったいないことはありません。
「スマホを減らす」ことは、勉強時間を増やすことよりも効果があるかもしれません。
ぜひ、今日のうちにお子さんと話し合ってみてください。
彩北進学塾では
彩北進学塾では、授業中・自習中のスマホ使用は禁止しています。今年は少しこれが乱れがちでしたが徐々に戻りつつあります。
「塾に来たら、スマホは触らない」
これが当たり前の環境を作っています。
スマホから離れて、集中して勉強する時間。
それが、成績を上げる第一歩です。
「うちの子、スマホばかりで勉強しない…」
そんなお悩みがあれば、ぜひ一度ご相談ください。
彩北進学塾
〒366-0827 埼玉県深谷市栄町17-2
TEL:048-575-3291
参考文献:
- 東北大学加齢医学研究所「学習意欲の科学的研究に関するプロジェクト」
- 川島隆太『スマホが学力を破壊する』(集英社新書)
- 榊浩平・川島隆太『スマホはどこまで脳を壊すか』(朝日新書)
- PRESIDENT Online「1日2時間以上勉強しても「スマホ2時間」で水の泡」(2025年12月22日)