MARIONETTE- シンドウ
【伊集院VS王偉①】
予選Bブロックが始まって15分が経過。
バトルフィールド北東エリア。
『シンクロレベルβ(ベータ)』
シュン!
ズバッ!
『がはっ!』
バチバチバチバチバチバチ!
ドッガーン!
『これで全員だ、オーシャン。』
1人で5人のフランス軍の機動兵士を倒した、レッドガーディアンが、仲間であるレッドオーシャンへと声を掛ける。
『相手はフランスよ。15分も掛かっていてはマジシャン部隊失格だわ。恥を知りなさい。』
『ちっ!』
『現在、アンドロメダ派の機動兵士は殆どいませんが、今回の大会はチャンスです。この大会で優勝しロシア陸軍での権力を掌握します。クレムリン親衛隊から司令官の座を取り戻す。その為の戦いだと言う事を忘れないで。』
Bブロックに参戦するロシア軍の機動兵士は、レッドマジシャン率いるマジシャン部隊である。
『予選ごときで負ける訳には行かないの。さっさと次に行くわよ。』
この場にいるマジシャン部隊のメンバーは、レッドオーシャン、レッドガーディアン、レッドクロスの3人。
(西側エリアの機動兵士は残り3人、マジシャン隊長とブルーノに任せておけば問題無い。)
『私達は南下します。付いて来なさい。』
『へいへい。』
『了解した。』
ザッ!
ザザッ!
現在のロシア陸軍歩兵部隊の勢力はテレイサ・トルスタヤが総司令官となりクレムリン親衛隊が実権を握っている。かつて権力を握っていたアンドロメダ総司令官はサウジアラビア紛争で戦死し、その座を奪われた。マジシャン部隊は、アンドロメダ総司令官とは旧知の仲であり数少ないアンドロメダ派閥の生き残りである。
南エリアでは2カ国の機動兵士が互角の戦闘を演じている様子で、残りの機動兵士は4人と3人。隊長であるレッドマジシャンの情報からすると、日本国と中国の機動兵士である。
『中国を相手に1人倒されたか………。このブロックの日本軍のレベルは低いと見た。』
『私達がフランス軍を倒す間に中国軍を全滅出来ないようでは、たかが知れているわね。一気に倒すわよ。』
『どっちが狙いだ?』
『決まっているでしょう。両方よ。』
ザザッ!
目指すはバトルフィールド南エリア。日本国防衛軍と中華人民共和国の機動兵士達。
伊集院 翼 VS 李 王偉(リ・ワンウ)
シュバッ!
ガキィーン!
ビュン!
『!』
ズバッ!
ビビッ!
『損傷率37%』
世界三大英傑の1人である伊集院 翼の攻撃に対し、ワンウは天性の身体能力により善戦している。戦闘開始から20分が経過しているにも関わらず戦闘は継続していた。
『ふむ。』
伊集院は告げる。
『お前、中国の機動兵士にしては相当な実力だな。防衛軍の上位隊長レベルはある。しかし機動兵士としての経験が浅い。』
『…………。』
『中国が『パワードスーツ』の開発に成功してから何年になる?1年か?2年か?』
『それが、どうした。』
『あと数年の訓練を積めばお前は防衛軍の脅威になるだろう。』
フランス共和国 控室
フランス軍の機動兵士は開戦まもなく全員が倒されたことにより、控室にあるモニター映像は全て開放されている。これにより、フランス軍のメンバーは予選Bブロックの全ての戦闘をモニターで観戦する事が出来る。フランス陸軍聖戦騎士団のアラン・トルーパーは、隻眼の目を細めてモニターを見つめていた。
「このブロックでは日本の伊集院、アメリカの桜坂は勝ち残りそうだな。残り2枠は誰が勝ち抜けるか。」
同じく聖戦騎士団のレオン・マックスが予想をするのはロシア軍の機動兵士である。
「順当に行けばロシア軍の誰か2人だな。イギリスや中国の機動兵士には勝ち目は無さそうだ。」
先のヨーロッパ紛争で多くの犠牲者を出したフランス軍にとっては、他国と互角に戦える機動兵士は少ない。その中でも有望視されているのが聖戦騎士団の3人である。
「マリア、お前の予想は誰だと思う?」
聖騎士団の副団長であるマリア・ローラはメンバーの中では19歳と最も若く、小柄な体格も相まって可愛らしい印象を受ける機動兵士だ。
「そうですね…………。私の予想では。」
──────李 王偉(リ・ワンウ)
「でしょうか。」
「なに?」
「まさか、それは無いだろう?確かに中国の機動兵士にしてはレベルは高いが伊集院との実力差は歴然だ。伊集院が奴を見逃す可能性は低い。」
「そうでしょうか?」
「……………マリア。どういう意味だ?」
「そうですねぇ。今までの戦闘を見る限りでは、伊集院が優勢であり誰が見ても伊集院が勝つと思うでしょう。しかし、李 王偉(リ・ワンウ)が予選を敗退する未来は有りません。神がそう告げていますから。」
──────預言
「預言か…………。マリアの預言は当たるからな。伊集院が負けるとは思えないが、このブロック、一波乱有りそうだ。」
アランは思う。
機動兵士には、その人間の持つ能力を数倍、時には数十倍にも引き出す能力がある。聖戦騎士団の副隊長であるマリア・ローラは聖戦騎士団の創始者であり隊長のポルフスを除けば最強の機動兵士であるが、この預言の能力だけは何とも説明がつかない。
(恐ろしい女だ……………。)
バトルフィールド南エリア
ビビッ!
伊集院 翼が面前のモニターを見ると、そこには3人の機動兵士が接近して来るのがわかる。北の戦闘で勝利を収めた機動兵士達。
(アメリカかロシアか……………。)
『王偉(ワンウ)と言ったな。そろそろ終わりにしよう。』
新たな敵と遭遇する前に、目の前の敵を葬らねばならない。予想以上に能力に長けた機動兵士ではあるが、伊集院はまだ本気を出している訳ではない。
シャキィーン!
ゴゴゴゴゴゴォ!
伊集院の持つ光学剣(ソード)が、実物よりも数倍もの大きさへと膨れ上がり、凶悪な殺気が放たれる。おそらく、あの一撃を喰らえば残り60%以上ある装甲の耐久値は一瞬で削り取られると、ワンウは直感する。
(ならば…………。)
ザッ!
攻撃は最大の防御と言わんばかりに、ワンウは伊集院との距離を詰める。そのスピードは、伊集院の想像を超える速さだ。
『青龍剣!!』
しかし、正面から打ち合えば伊集院に敵うものはいないであろう。現代の機動兵士はスピード重視の傾向が強いが伊集院は豪の剣を得意とする超一流の機動兵士だ。
ガキィーン!
光学剣(ソード)と光学剣(ソード)が合わさった刹那、伊集院の光学剣(ソード)は、その精神力により更に大きく膨れ上がった。
『覇王剣!!』
ドバッ!
『ごふっ!』
光学剣(ソード)ごと大きく吹き飛ばされたワンウの身体は空を舞い、そのまま地面に叩き付けれる。
ドガッ!
ビビッ!
『損傷率88%』
(青龍剣で威力を相殺してもこの攻撃力か。)
ザッ!
ワンウはすぐに立ち上がり次の攻撃に備える。
ザザッ!
ガキィーン!!
『ほぉ、よく受け止めた。』
『そのまま地面に転がってる馬鹿じゃねぇよ。』
ギリギリ
『惜しいな。俺が相手でなければ予選を突破出来ていたかもしれない。』
『それは、俺に勝ってから言え………。』
『ふっ………。耐久値も限界だろう。これで終わりだ。』
ザッ!
『!』
『覇王斬!!』
【伊集院VS王偉②】
不知火 詩音(しらぬい しおん)の装甲と、榊原 望愛(さかきばら のあ)の装甲が黄金色に輝き強大な覇気に包まれて行く。
李 雪麗(リ・シュェリー)は確かに並外れた身体能力を持つ機動兵士であり、驚くことに一対一の戦闘では榊原 望愛(さかきばら のあ)を圧倒していた。
『モデル・阿形(アギョウ)!』
『モデル・吽形(ウンギョウ)!』
ビカビカビカッ!
『!?』
しかし、詩音と望愛の真骨頂は2人による同時攻撃にある。幼少の頃より不知火流抜刀術を学び、長い時間を共に過ごした2人は阿吽の呼吸により繰り出される必殺技を持っている。
『仁王神の気迫(ヴァジュラダラ)!!』
ビシュ!
『瞬脚(シュンジャオ)!』
『!』
この技だ────────
速いなんてものではない。まるで瞬間移動でもしたような高速の動きで、榊原 望愛の背後に回り込んだシュェリーが光学双節棍(ヌンチャク)を振り下ろす。
『詩音!今よ!!』
『わかってる!!』
『!?』
不知火流抜刀術─────
─────────『無音剣』──────
ズバッ!
『仁王神の気迫』により高めた覇気のまま不知火 詩音は、高速剣を打ち抜いた。それは、シュェリーのヌンチャクが望愛の装甲を捉えたのと同時であり、さすがのシュェリーも詩音の攻撃をかわす事は出来ない。
ズバッ!
ドバッ!
バチバチバチバチバチバチバチバチ!
ドッガーン!
ビビッ!
『損傷率60%』
グン!
『!』
ガキィーン!
『くっ!』
シュタッ!
慌てて距離を取ったシュェリーが自らの耐久値を確認し、更に詩音との距離を開けた。
(一撃で60%………………。)
この耐久値では、さすがのシュェリーも慎重にならざるを得ない。
『望愛………、控室に戻っていろ。』
「えぇ…………。詩音、負けないでね。」
予選Bブロックでの戦闘は、日本国防衛軍が予想外の苦戦を強いられている。それは、中華人民共和国の機動兵士の実力が高いというより、シュリング・カナムの武術による3人の実力が高いと言った方が正しい。
李 王偉(リ・ワンウ)は、伊集院が放った『覇王斬』の軌道をすり抜け、ついに伊集院の装甲を削る事に成功する。
『青龍剣!!』
ズバッ!
『な!?』
ビビッ!
『損傷率22%』
(まさか…………。至近距離で放たれた、俺の覇王斬がかわされた!?)
ザザッ!
『ふぅ……………。ようやくだ。』
『……………。』
『!?』
その時、ワンウの右の瞳が真っ赤に変色しているのが見えた。
『俺の『心眼』が発動した。伊集院、お前の動きは全て見切った。これ以上は好きにはさせない。』
そこからは、誰もが予想出来ない戦闘となった。それまで優位に戦闘を続けていた伊集院 翼の攻撃を、李 王偉(リ・ワンウ)は尽く見切り反撃を繰り出す。それは神坂 義経が得意とするカウンター攻撃にも似ているが、相手は世界三大英傑の1人である伊集院だ。
ズバッ!
ビビッ!
『損傷率75%』
『馬鹿な………………。』
(全ての攻撃が完全に読まれている…………。理屈は分からないが、あの赤い瞳が原因だろう。)
だが…………。
ビビッ!
『伊集院…………、そして中華人民共和国の機動兵士か。』
そこに現れたのはロシア連邦共和国の機動兵士であるレッドオーシャン、レッドガーディアン、レッドクロスの3人である。
『ワンウ、お前の能力が発動するには、時間を要する。その耐久値でロシア軍の機動兵士と戦い持ち堪える事が出来るか。』
『…………ちっ!』
(あと少しで伊集院を倒せたと言うのに…………。)
シャキィーン!
『ロシア軍の兵士よ!俺が伊集院 翼だ!掛かって来い!』
『……………伊集院。』
世界三大英傑の機動兵士であり、優勝候補の一角を成す機動兵士。
『ガーディアン、クロス、お前達は中国の機動兵士を殺れ。私は伊集院を倒す。』
ビビッ!
『1人で俺と戦う気か。』
『不服かい?伊集院 翼。』
シュバッ!
ガキィーン!
『!』
ビリビリ………。
『ロシア連邦の機動兵士を甘く見ない方が良いわ。』
一方の李 王偉(リ・ワンウ)にとっては、新たな敵は歓迎出来るものではない。ワンウの能力である『心眼』は、戦闘した対戦相手の動きや能力を見極める特殊能力であるが、同時に複数の人間をターゲットにする事は出来ない。既に伊集院をターゲットにしたワンウがロシア軍の機動兵士をターゲットにすれば、伊集院へのターゲットが外れる事になる。
(さて、どうしたものか…………。)
ジリ
ジリ……………。
(ロシアの機動兵士は2人、実力は未知数。)
既に損傷率は88%を示しており、一撃でも攻撃を受ければ敗戦は確実だ。
(さすがは世界規模の大会。簡単には予選を突破出来ないか……………。)
シャキィーン!
『ガーディアン!早く倒してオーシャンを援護するぞ!』
『わかってる!』
シュバッ!
ザザッ!
ガキガキガキィーン!!
『!』『!?』
ザザッ!
2人のロシア兵士と交錯したワンウは、青龍の剣で見事に2人の攻撃を防いで見せた。中華人民共和国の機動兵士を格下と見ていたマジシャン部隊の2人は驚きを隠せない。
ビビッ!
『こいつ…………、ただの機動兵士ではない!』
『全力で行くぞ!』
『『シンクロレベルβ(ベータ)!!』』
【伊集院VS王偉③】
中華人民共和国の代表である、李 王偉(リ・ワンウ)と李 雪麗(リ・シュェリー)の2人の兄妹は、当時として世界最強の武闘家であるシュリング・カナムの弟子である張 翔飛(チャン・ツァンフェイ)のそのまた弟子にあたる。
張 翔飛(チャン・ツァンフェイ)の見立てでは、2人の実力は世界トップレベルの機動兵士と比べても遜色がない。それは今回の大会で証明された。ワンウは世界トップの機動兵士である伊集院と互角に戦い、シュェリーは日本の機動兵士を圧倒している。
そして、もう1人
周 劉偉(シュウ リュウエイ)の実力は、李 兄妹と比べても劣る事は無い。
『瞬脚(シュンジャオ)!』
シュン!
ガキィーン!
『!』
ズバッ!
『ぐはっ!』
ビビッ!
『損傷率68%』
(馬鹿な………………。)
瞬間移動にすら見える高速の移動術で繰り出したリュウエイの攻撃を防ぎ、更にカウンターによる攻撃で逆にリュウエイに損傷を負わす機動兵士。
(この女、どんな動態視力と反射神経をしてやがる。)
羽生 明日香(はにゅう あすか)─────
(統括隊長でも、隊長でも無い全く無名の機動兵士が、ここまで強いのか…………。)
しゅう─────
ザッ!
ザッ!
(不思議な感覚だわ…………。)
すこぶる調子が良い────
明日香は、人類の移動速度の限界を越えた『パラサイト』との死闘を思い出していた。
先日のローマでの戦闘にて、未来の機動兵士であるエマ・スラングレーの記憶を完全に引き継ぎ一体化した明日香にとっては、この程度の機動兵士など相手にならない。
『私は何としてもこの大会で優勝する必要があります。』
『なに?』
『機動兵器『シンドウ』、あれは世界を滅ぼす悪魔の兵器。申し訳ありませんが、予選で手間取っている暇は有りません。』
『…………悪いがこちらにも負けられない事情がある。』
リュウエイは告げる。
『シュリング流武術を引き継いだ俺は、中華人民共和国の強さを世界に証明する為に大会に参加した。無名の機動兵士に負ける訳には行かない。』
『そうですか……………。』
ならばと、薄桃色の装甲が薄い光を帯びて発光を始める。
『真の機動兵士の戦闘をごらんなさい。』
『!』
機動兵器が造られた未来の世界で最強と言われた『戦慄の女神』エマ・スラングレーは、幾多のSS級の機動兵士達が『パラサイト』との死闘の中で戦死した戦場で生き残った機動兵士だ。修羅場を切り抜けた数なら、他のどんな機動兵士よりも多い。
『くっ!』
人間の反応速度など『パラサイト』と比べれば天と地の差がある。
ズバッ!
ビビッ!
『損傷率84%』
『!』
『瞬脚(シュンジャオ)!』
『音速剣(ソニック・スラスト)!!』
ズバァッ!
『がはっ!』
バチバチバチバチバチバチバチバチ!
ドッガーン!
フランス共和国 控室
「しかし、驚きましたね。」
「マリア……………。」
「このブロックは危険だと神が告げられましたので、私達はCブロックに登録しました。」
マリア・ローラの預言では、Cブロックが最も容易く予選を突破出来るブロックであり、Bブロックが最も危険なブロックであると告げていた。
優勝候補の一角である、伊集院 翼。
10億人に1人の遺伝子を持つ、桜坂 神楽。
クレムリン親衛隊に匹敵するロシアの機動兵士部隊であるマジシャン部隊。
加えて、中華人民共和国の3人の機動兵士も戦闘能力はトップレベルにある。
しかし、羽生 明日香の存在は完全なイレギュラーである。
「あの女性の兵士は、普通の人間では有りません。」
「普通ではない………、どういう事だ?」
「そうですね。まるで悪魔の化身です。悪魔が彼女に乗り移っている。」
その戦闘能力は悪魔の如し
「彼女を倒せる者は、神に選ばれた一部の機動兵士のみです。面白くなって来ましたね。」
ゴクリ…………。
「そして、もう1人………。本当にこのブロックはどうなっているのでしょうか。」
「なに?」
「もう1人、異能の能力者がいます。」
「それは…………?」
ロシア連邦共和国
マジシャン部隊隊長 レッドマジシャン
ゴゴゴゴゴゴォ!
『隊長………………。』
『ブルーノ、出来るだけ遠くへ逃げなさい。』
上空に浮かび上がるのは、先程よりも遥かに量を増した光学短剣(ナイフ)である。
『隊長、この数の光学兵器をどうやって………。』
天を埋め尽くすほどのナイフにより、光さえ通さなくなった上空を見上げてレッドブルーノは恐怖さえ感じていた。
『全力を出さねばオリジナル・アリスは倒せない。手加減している余裕は私にも無いのだよ。』
────シンクロレベルγ(ガンマ)
シュバッ!!
グワン!!
シュバババババババババババババババババ!!
『!?』
レッドブルーノは眼の前で起きている現象を理解出来ない。無数の光学短剣(ナイフ)が嵐のように渦を巻き桜坂 神楽を目掛けて飛んで行く。
『なっ!?』
ガキィーン!
ズバ!
『!』
ズババババババババババ!
『隊長!待ってくれ!!』
ビビッ!
『損傷率88%』
『止めてくれ!俺はまだここにいるぞ!』
バシュッ!
『ぐわっ!』
バチバチバチバチバチバチバチバチバチバチ!
ドッガーン!!
バシュッ!
ガキィーン!
ズバズバババッ!
ビビッ!
『損傷率76%』
『くそっ!』
『アーノルド!飛べ!』
『イニエス!無理だ!上空にも逃げ場は無い!』
ズバッ!
『損傷率89%』
シュバババババ!
(こんな攻撃、防ぎようが無いだろ…………。)
そして、アーノルド・ハシュラムは見た。この嵐のような光学短剣(ナイフ)を、光学鞭(ウィップ)で打ち払い前進する桜坂 神楽の姿を。
『嘘だろ…………。』
シュバッ!
『損傷率!リミットオーバー!』
バチバチバチバチバチバチバチバチバチバチ!
ドッガーン!ドッガーン!
「この予選Bブロックは、まるで化物のオンパレードですね。」
マリアは楽しそうに微笑んだ。
ロシア連邦共和国
レッドマジシャン
レッドオーシャン
レッドガーディアン
レッドクロス
中華人民共和国
李 王偉(リ・ワンウ)
李 雪麗(リ・シュェリー)