経済とか宗教とか政治とか、ちょっと堅苦しい話が続いたので、今日は少し違う話をするね。
今日はね、日本語についての話。
私は高校生の頃に日本文化に興味があって、よく日本文化についての本を読んだのよ。図書館にはよく通いましたね。その中でも心に残っている逸話を紹介します。
そうね。
今日のテーマは『日本文化』かな?
そんなに難しい話では無いので、最後までお読み頂ければ幸いです。
日本語と言っても難しい話ではなくて『挨拶』の話です。誰もが日常的に使う『挨拶』。
まずはお出掛けの『挨拶』の話をしましょう。出掛ける時に皆さんは何と言いますか?
はい、そうです。『行って来ます!』と言いますね。
これ、よくよく考えたら不思議な言葉なんですよ。
だって『行く』と『来る』と言う正反対の言葉が合さっているのですよ。そんな挨拶が他の国に有りますか?って話です。
試しに英語を調べたら『I'm going』(私は行きます。私は向かう最中です。)だよね。
日本人は出掛ける時に『行って来ます』と言うのだけれど、それをお見送りする人は何と言いますか?
『行ってらっしゃい!』
と言います。
あれ?おかしく無いですか?
『行ってらっしゃい。』を分解すると、『行く』+『いらっしゃる』が合わさっているのだけれど『いらっしゃる』って来るの尊敬語だよね?つまり『行く』+『来る』が合さっている。
と言う事はです。
『行って来ます!』も『行ってらっしゃい!』も同じ事を言っているのです。
『行く』+『来る』です。
不思議じゃないですか?
ここからは想像です。
太古の昔は日本は非常に危険な国だったのです。竪穴式住居から外に出れば大自然ですよ。狼は居るは、猪は居るは、危険がいっぱいです。狩りに出掛けるのは旦那だよ。妻としては非常に心配じゃないですか。
そこで妻は旦那に言葉を掛けるよね?
狩りに『行って』も必ず帰って『いらっしゃい』ね。
重点が置かれているのは『行く』ではなくて『いらっしゃい』だと思いますよ。帰って来る事が重要なのよ。
で、出掛ける旦那は妻に応える。
狩りに『行って』も無事に帰って『来ます』。
こちらも同じで重点が置かれているのは『来ます』の部分。日本人は行く事よりも無事に帰って来る事を心配し、それを夫婦で確認し合った。
だから出迎えの『挨拶』には『来る』と言う言葉が使われていると思うのよ。
思いやりだよね。
これね、家に戻った時の『挨拶』の言葉を見ても裏付けされている。旦那が帰って来たら何といいますか?
『お帰りなさい!』
だよね?
これ『行ってらっしゃい』よりも不思議な言葉ですよ。よくよく考えたら分かる。
『お帰りなさい』って、帰るの命令形ですよ。
○○しなさい!!と命令しているのです。変じゃないですか?帰って来たばかりの人に『帰りなさい!』って(笑)。
これもね、よくよく考えたら意味が分かるのよ。命令って言うのはその人の願いなのです。
頑張って欲しい人には『頑張れ!』と命令するのです。生きて欲しい人には『生きて!』と命令するのです。キスして欲しい人には『キスして!』と命令するのです。愛して欲しい人には『愛して!』と命令するのです。
命令は願いです。その人の願いを強調する時に使うのが命令形です。
妻はね、狩りに出掛けた旦那の事が心配なのです。無事に帰って来て欲しいと願うじゃないですか。そして、その願いがいつしか『帰って来て欲しい』から『帰って来なさい!』に変換されたのですよ。だから命令形なんです。
そこで、旦那は言うのです。
『たった今、無事に帰りましたよ。』
『ただいま!』と…………。
以上になります。
皆さんが日頃から何気なく使っている言葉にも、隠された意味があるかもしれません。
それは、人の思いであり、願いです。
言葉にはね、力があるのです。
『言霊』は実在しますよ。
皆さんも無意識のうちに言霊を信じているはずです。結婚式では使ってはいけない言葉。受験生には使ってはいけない言葉。それを使わないのは潜在意識の中で言霊を信じているからだと思いますよ?
だって、そうでしょう?
家庭でも学校でも職場でも『挨拶』をしたら気持ちが良いじゃないですか。そこには古代日本人から受け継がれた『思いやり』の魂が込められていると思うのですよ。
さとより