Seventh World 星空の光の章
【聖なる加護編①】
なぜ―――
こんな事になってしまったのか
エレナ・エリュテイアは滅亡した祖国の地で、傷付いた身体を起こし気丈にも目の前の敵を睨みつける。
かつての部下であり側近でもあった王国の兵士 、ジェイス・D・アレキサンドリアⅢ世に――
「ほぉ……まだ立ち上がるのですか。さすがは世界に名高いオーロラの姫君。ハ大国の強靭な戦士達との死闘の末に、まさか勝ち残るとは思いませんでした。」
そう、嘘ぶくジェイスにエレナは言い放つ。
「黙りなさいジェイス!平和であったヘスペリアスの地に災いをもたらした悪魔!例え私一人(ひとり)になろうとも、ヘスペリアスは…エリュテイア王国は屈しません!」
目の前の男 ジェイスは、エレナを見下ろして言う。
「ふむ……さすがは『光の加護』の保持者に選ばれただけの事はある。」
そして、その右手に持つ大剣に魔力を注入する。
「エレナよ、もうお前には魔法を使うだけの力は残っていまい。我々の最大の脅威となるであろう『光の加護』の保持者は…」
――――死 あるのみ!
ピカッ!
ジェイスの大剣が光り輝き、激しい閃光がヘスペリアスの大地を包み込む。
7つの世界の中でも、その美しい大地は他の追随を許さはいヘスペリアス。
しかし、度重なる戦乱により人々は憔悴しきっていた。
国王であるお父様も、お母様も、この男に殺された。
エリュテイア王国は8つの大国に蹂躙され、都市と言う都市は全て破壊された。
これ以上、何を奪うと言うのか。
他の世界から侵入し、人々の心を惑わせ、全てを崩壊させた悪魔。
それでもエレナは諦めない。
例え両親が殺され、王国の仲間達が倒され一人になったとしても、諦めては全てが終わってしまう。
(あの日、この男(ジェイス)を殺していれば、こんな事にはならなかった。)
エレナの左手の甲に刻まれた五芒星の紋章が薄っすらと浮かび上がる。
(あの日の決着を、今ここで付ける!)
それはエレナをオーロラの姫君と言わしめた魔力の根源。
五芒星の紋章が―――――
――――――オーロラ色に光り輝く
ビカビカビカッ!
ドッガーッン!!
ジェイスとエレナの魔法が衝突し、魔法の光が飛び散った。
「ぐっ!」
ジェイスはあまりの激しい光に目を眩ませる。
(なんと!まだ、これ程の魔力を残していたとは………。)
そして、ヘスペリアスの大地が静寂に包まれる。
ジャリ……
ジャリ……
ジェイスの足音だけが、静まり返った大地に刻まれる。
見渡したところ、エレナの姿は見当たらない。
(吹き飛んだか………。)
ジェイス・D・アレキサンドリアⅢ世は思う。
もし彼女が、万全の状態で戦っていたのなら、負けたのは自分の方であったかもしれない。
ふと、空を見上げるジェイス。
「この世界の空は、なんとも美しい。まるで、エレナ………君のようだ。」
安らかに眠れ―――――
――――――オーロラの姫君よ
【聖なる加護編②】
僕達は今、北海道第二の都市である旭川市へ向かっていた。
「神居古潭(かむいこたん)って、変わった地名だな。」
石狩川の上流にあるこの地『神居古潭(かむいこたん)』はアイヌ語で『神の居るところ』を意味すると言う。
なぜ僕達、銀河 昴(ぎんが すばる)、星空 ひかり(ほしそら ひかり)、神童(しんどう)博士の3人が神居古潭へ向かっているのかと言うと、ある人物に会いに行く為だ。
―――――ピクシー・ステラ
(ん?人物と言っていいのか?)
昴は少し首をひねる。
北海道の独立を目指す政治団体『市民の党』を影から支援する秘密組織『STERA』。
そのSTERAの実質的なリーダーでありカリスマでもあるステラは、何と異世界から来た妖精だと言う。
とてもじゃないが信じられない話だ。
しかし、その話を聞いた神童博士は
「なるほど、ボムボムの言っていたのは彼女の事か……」
などと納得した様子であったので
「博士はステラを知っているのですか?そのボムボムって言うのは誰なんです?」
と神童博士に尋ねてみると……
「昴くん、ボムボムかい?ボムボムは猫の名前だよ。機会があれば君にも会わせてあげよう。」
などと呑気な事を言っている。
(妖精に猫って…、僕はからかわれているのだろうか?)
そんな昴の思考を他所(よそ)に、はるばる来たのは北海道。旭川行き特急列車に乗った昴達3人は、しばしの休息に入っていた。
昴はふと、ひかりの左手にはめられている薄い青色の手袋に目が行った。
「ひかり……」
僕が話し掛けると、ひかりは眠そうな目を擦(こす)り聞き返して来る。
「……ん?どうしたの、すばる?」
そして僕は質問する。
「その手袋……、なんで左手だけにしてるんだ?しかも片方だけ。」
前から気になっていた空色の手袋。講義の最中であっても、ひかりはその手袋を外す事は無い。
「あぁ、これ?何でも無いわ。ファッションよ、ファッション。」
(片手だけの手袋がファッションって……、こんなに可愛いのに、どんなセンスだ?)
くすりと笑うひかりの表情を見つめる昴。
日本が……世界が大変になるかも知れないと言うのに、昴は今の世界が心地よくさえ思える。
理由は分からないが、今の世界情勢と、ひかりが僕に接近して来た事は何らかの関係がある。
――――私達は運命で結ばれているの
運命って何だろう
僕には何が出来るのだろう
そして、また
ザザッ――――
「!?」
昴の視界が――――――
―――――――――ブレ始める
【聖なる加護編③】
旧ソビエト連邦時代に造られたロシア連邦軍の特殊任務部隊『スペツナズ』。
戦場での特殊任務、敵基地の破壊活動や要人の暗殺、スパイ活動などを任務としているロシア軍のエリート中のエリート。
『スペツナズ』は世界で最も恐れられている特殊部隊の一つと言えよう。
今回の彼等の任務は一つ。
脳医学の権威である神童博士の―――
――――――――暗殺
いや、正確にはロシア連邦政府は地球外生命体を死滅させる薬『アダム』の入手を諦めては居ない。
本来の命令である、神童博士の誘拐は『スペツナズ』の隊長である男によって捻じ曲げられた。
ロシア製の小型拳銃を持った『スペツナズ』の隊長ミルコ・ランドロフは部下の兵士達に命令する。
「60秒後だ……。60秒後に目の前を通過する特急列車を爆破する。」
残り45秒―――
30秒―――――
日本に潜入した『スペツナズ』のメンバーは総勢5名。
隊長のミルコを除く4名の兵士が、各々が仕掛けた爆弾のリモコンに手を掛けた。
3…2…1…
「ファイア!!」
ドッガーッン!!
激しい爆音と共に炎上す特急列車を見て、ミルコが矢継ぎ早に命令を出す。
「バルホフとシュペルガーは列車に乗り込め!博士を見つけ次第殺して構わん!邪魔な乗客も殺してしまえ!」
「バットとクロロビッチは列車の両側に待機!列車から逃げたした乗客を殺害せよ!」
「列車に乗っている乗客は、一人足りとも生かしておくな!」
特急列車の車両は五台。推定乗客数は300人と言ったところか。
『スペツナズ』の精鋭であれば全ての乗客を殺すのに五分と掛かるまい。
ミルコは咥えていたロシア製の葉巻に火を付けて部下達の報告を待つ。
(…………?)
――――おかしい…………
(列車が炎上して我軍の兵士が侵入したと言うのに、乗客が誰一人降りて来ない。
それどころか、銃声の一つも聞こえないのはどう言う事だ?)
そしてミルコの疑念はすぐに払拭される。
「隊長!大変です!」
列車から降りて走り寄るシュペルガーが叫び声を上げる。
「どうした!何があった!?」
「それが―――
――――乗客が一人も居ません!」
「何だと!?」
(バカな!博士の行き先は旭川との確かな情報がある。我々が襲撃する事がバレたとでも言うのか……。)
札幌―旭川の間の途中の駅で下車した昴達3人は猛スピードで走る車の中で列車の爆発音を聞いていた。
「どうやら、本当に列車が襲撃されたようですね……。」
運転席にいる神童博士が驚きの声を上げる。
(そう言えば、大学の講義の時も昴くんはシャンクの襲撃を予知していました。これは、やはり……。)
「すばる!凄いわ!何で分かったの?」
ひかりは興味深そうに昴の返答を待っている。
しかし、昴は返答に困ってしまう。
「何でと言われても……。目の前の映像が突然ブレて、列車が襲撃されるのが見えたんだ。自分でも理由は分からないよ。」
「予知能力ね。」
ひかりは何故か得意気に昴の能力を説明しだした。
「すばるには凄い能力が備わっているの。それは最初から分かっていたわ。その能力が予知能力ね。」
(だって、すばるは私と同じ―――)
「『聖なる加護』……か………。」
「「!?」」
神童博士の言葉に、昴とひかりは同時に驚く。
「博士!なぜその言葉を!?」
昴の質問に神童博士は逆に質問をする。
「ほぉ、その言葉を知っているとは、やはり君は『聖なる加護』の保持者のようだね。」
「いや、僕は夢の中で聞いただけで……、『聖なる加護』とは何なんですか?」
神童博士はゆっくりと話し出す。
「そうだね。君の能力は未来予知では無い。おそらくそれ以上の能力。」
「それ以上?」
「そうだ。君達になら話しても良いだろう。ボムボムから聞いた『聖なる加護』の話を……。」
昴は心の中で呟いた。
(ボムボムって……猫じゃん💧)

【聖なる加護編①】
なぜ―――
こんな事になってしまったのか
エレナ・エリュテイアは滅亡した祖国の地で、傷付いた身体を起こし気丈にも目の前の敵を睨みつける。
かつての部下であり側近でもあった王国の兵士 、ジェイス・D・アレキサンドリアⅢ世に――
「ほぉ……まだ立ち上がるのですか。さすがは世界に名高いオーロラの姫君。ハ大国の強靭な戦士達との死闘の末に、まさか勝ち残るとは思いませんでした。」
そう、嘘ぶくジェイスにエレナは言い放つ。
「黙りなさいジェイス!平和であったヘスペリアスの地に災いをもたらした悪魔!例え私一人(ひとり)になろうとも、ヘスペリアスは…エリュテイア王国は屈しません!」
目の前の男 ジェイスは、エレナを見下ろして言う。
「ふむ……さすがは『光の加護』の保持者に選ばれただけの事はある。」
そして、その右手に持つ大剣に魔力を注入する。
「エレナよ、もうお前には魔法を使うだけの力は残っていまい。我々の最大の脅威となるであろう『光の加護』の保持者は…」
――――死 あるのみ!
ピカッ!
ジェイスの大剣が光り輝き、激しい閃光がヘスペリアスの大地を包み込む。
7つの世界の中でも、その美しい大地は他の追随を許さはいヘスペリアス。
しかし、度重なる戦乱により人々は憔悴しきっていた。
国王であるお父様も、お母様も、この男に殺された。
エリュテイア王国は8つの大国に蹂躙され、都市と言う都市は全て破壊された。
これ以上、何を奪うと言うのか。
他の世界から侵入し、人々の心を惑わせ、全てを崩壊させた悪魔。
それでもエレナは諦めない。
例え両親が殺され、王国の仲間達が倒され一人になったとしても、諦めては全てが終わってしまう。
(あの日、この男(ジェイス)を殺していれば、こんな事にはならなかった。)
エレナの左手の甲に刻まれた五芒星の紋章が薄っすらと浮かび上がる。
(あの日の決着を、今ここで付ける!)
それはエレナをオーロラの姫君と言わしめた魔力の根源。
五芒星の紋章が―――――
――――――オーロラ色に光り輝く
ビカビカビカッ!
ドッガーッン!!
ジェイスとエレナの魔法が衝突し、魔法の光が飛び散った。
「ぐっ!」
ジェイスはあまりの激しい光に目を眩ませる。
(なんと!まだ、これ程の魔力を残していたとは………。)
そして、ヘスペリアスの大地が静寂に包まれる。
ジャリ……
ジャリ……
ジェイスの足音だけが、静まり返った大地に刻まれる。
見渡したところ、エレナの姿は見当たらない。
(吹き飛んだか………。)
ジェイス・D・アレキサンドリアⅢ世は思う。
もし彼女が、万全の状態で戦っていたのなら、負けたのは自分の方であったかもしれない。
ふと、空を見上げるジェイス。
「この世界の空は、なんとも美しい。まるで、エレナ………君のようだ。」
安らかに眠れ―――――
――――――オーロラの姫君よ
【聖なる加護編②】
僕達は今、北海道第二の都市である旭川市へ向かっていた。
「神居古潭(かむいこたん)って、変わった地名だな。」
石狩川の上流にあるこの地『神居古潭(かむいこたん)』はアイヌ語で『神の居るところ』を意味すると言う。
なぜ僕達、銀河 昴(ぎんが すばる)、星空 ひかり(ほしそら ひかり)、神童(しんどう)博士の3人が神居古潭へ向かっているのかと言うと、ある人物に会いに行く為だ。
―――――ピクシー・ステラ
(ん?人物と言っていいのか?)
昴は少し首をひねる。
北海道の独立を目指す政治団体『市民の党』を影から支援する秘密組織『STERA』。
そのSTERAの実質的なリーダーでありカリスマでもあるステラは、何と異世界から来た妖精だと言う。
とてもじゃないが信じられない話だ。
しかし、その話を聞いた神童博士は
「なるほど、ボムボムの言っていたのは彼女の事か……」
などと納得した様子であったので
「博士はステラを知っているのですか?そのボムボムって言うのは誰なんです?」
と神童博士に尋ねてみると……
「昴くん、ボムボムかい?ボムボムは猫の名前だよ。機会があれば君にも会わせてあげよう。」
などと呑気な事を言っている。
(妖精に猫って…、僕はからかわれているのだろうか?)
そんな昴の思考を他所(よそ)に、はるばる来たのは北海道。旭川行き特急列車に乗った昴達3人は、しばしの休息に入っていた。
昴はふと、ひかりの左手にはめられている薄い青色の手袋に目が行った。
「ひかり……」
僕が話し掛けると、ひかりは眠そうな目を擦(こす)り聞き返して来る。
「……ん?どうしたの、すばる?」
そして僕は質問する。
「その手袋……、なんで左手だけにしてるんだ?しかも片方だけ。」
前から気になっていた空色の手袋。講義の最中であっても、ひかりはその手袋を外す事は無い。
「あぁ、これ?何でも無いわ。ファッションよ、ファッション。」
(片手だけの手袋がファッションって……、こんなに可愛いのに、どんなセンスだ?)
くすりと笑うひかりの表情を見つめる昴。
日本が……世界が大変になるかも知れないと言うのに、昴は今の世界が心地よくさえ思える。
理由は分からないが、今の世界情勢と、ひかりが僕に接近して来た事は何らかの関係がある。
――――私達は運命で結ばれているの
運命って何だろう
僕には何が出来るのだろう
そして、また
ザザッ――――
「!?」
昴の視界が――――――
―――――――――ブレ始める
【聖なる加護編③】
旧ソビエト連邦時代に造られたロシア連邦軍の特殊任務部隊『スペツナズ』。
戦場での特殊任務、敵基地の破壊活動や要人の暗殺、スパイ活動などを任務としているロシア軍のエリート中のエリート。
『スペツナズ』は世界で最も恐れられている特殊部隊の一つと言えよう。
今回の彼等の任務は一つ。
脳医学の権威である神童博士の―――
――――――――暗殺
いや、正確にはロシア連邦政府は地球外生命体を死滅させる薬『アダム』の入手を諦めては居ない。
本来の命令である、神童博士の誘拐は『スペツナズ』の隊長である男によって捻じ曲げられた。
ロシア製の小型拳銃を持った『スペツナズ』の隊長ミルコ・ランドロフは部下の兵士達に命令する。
「60秒後だ……。60秒後に目の前を通過する特急列車を爆破する。」
残り45秒―――
30秒―――――
日本に潜入した『スペツナズ』のメンバーは総勢5名。
隊長のミルコを除く4名の兵士が、各々が仕掛けた爆弾のリモコンに手を掛けた。
3…2…1…
「ファイア!!」
ドッガーッン!!
激しい爆音と共に炎上す特急列車を見て、ミルコが矢継ぎ早に命令を出す。
「バルホフとシュペルガーは列車に乗り込め!博士を見つけ次第殺して構わん!邪魔な乗客も殺してしまえ!」
「バットとクロロビッチは列車の両側に待機!列車から逃げたした乗客を殺害せよ!」
「列車に乗っている乗客は、一人足りとも生かしておくな!」
特急列車の車両は五台。推定乗客数は300人と言ったところか。
『スペツナズ』の精鋭であれば全ての乗客を殺すのに五分と掛かるまい。
ミルコは咥えていたロシア製の葉巻に火を付けて部下達の報告を待つ。
(…………?)
――――おかしい…………
(列車が炎上して我軍の兵士が侵入したと言うのに、乗客が誰一人降りて来ない。
それどころか、銃声の一つも聞こえないのはどう言う事だ?)
そしてミルコの疑念はすぐに払拭される。
「隊長!大変です!」
列車から降りて走り寄るシュペルガーが叫び声を上げる。
「どうした!何があった!?」
「それが―――
――――乗客が一人も居ません!」
「何だと!?」
(バカな!博士の行き先は旭川との確かな情報がある。我々が襲撃する事がバレたとでも言うのか……。)
札幌―旭川の間の途中の駅で下車した昴達3人は猛スピードで走る車の中で列車の爆発音を聞いていた。
「どうやら、本当に列車が襲撃されたようですね……。」
運転席にいる神童博士が驚きの声を上げる。
(そう言えば、大学の講義の時も昴くんはシャンクの襲撃を予知していました。これは、やはり……。)
「すばる!凄いわ!何で分かったの?」
ひかりは興味深そうに昴の返答を待っている。
しかし、昴は返答に困ってしまう。
「何でと言われても……。目の前の映像が突然ブレて、列車が襲撃されるのが見えたんだ。自分でも理由は分からないよ。」
「予知能力ね。」
ひかりは何故か得意気に昴の能力を説明しだした。
「すばるには凄い能力が備わっているの。それは最初から分かっていたわ。その能力が予知能力ね。」
(だって、すばるは私と同じ―――)
「『聖なる加護』……か………。」
「「!?」」
神童博士の言葉に、昴とひかりは同時に驚く。
「博士!なぜその言葉を!?」
昴の質問に神童博士は逆に質問をする。
「ほぉ、その言葉を知っているとは、やはり君は『聖なる加護』の保持者のようだね。」
「いや、僕は夢の中で聞いただけで……、『聖なる加護』とは何なんですか?」
神童博士はゆっくりと話し出す。
「そうだね。君の能力は未来予知では無い。おそらくそれ以上の能力。」
「それ以上?」
「そうだ。君達になら話しても良いだろう。ボムボムから聞いた『聖なる加護』の話を……。」
昴は心の中で呟いた。
(ボムボムって……猫じゃん💧)
