【決着編①】
陰陽師の一族の中でも高位の術者である月影が、パンドラの箱への願いにより強化された能力は精神支配術だけでは無い。
パンドラの箱は月影の能力の全てを極限にまで引き上げる。
「風神剣(ふうじんのつるぎ)!」
月影の剣が
「緋炎剣(ひえんのつるぎ)!」
麗の剣と交錯する。
と同時に放たれる月影の得意な術式
「カマイタチの術!」
無数のカマイタチの刃が四方から麗に襲い掛かる。
「陽炎(かげろう)の術!」
麗の華奢な身体が陽炎(かげろう)の様にぼんやりと薄れ、カマイタチの刃が麗の身体を素通りする。
「むっ!」
月影が麗の本体を見失い周囲に意識を集中させる。
(後ろか!!)
素早く後ろを振り向き風神剣を構える月影。
ズバッ!!
しかし、麗の緋炎剣が一瞬早く月影の左肩を斬り裂いた。
「ちっ!」
鮮血がほとばしる肩を抑え月影が後ろへ飛び跳ね距離を取る。
麗は緋炎剣を構えて月影との距離を詰める。
(四神無しで、ここまで強いか……。パンドラの箱により能力が強化された私と互角……、いや…少し押されているか。)
麗が月影に声を掛ける。
「どうしました月影。父を葬った実力はその程度なのですか。」
「ふん……、流石は神代一族(かみしろのいちぞく)歴代最強と言われるだけの事はあるようだな。」
しかし――――
「精神支配術!」
月影が麗の精神に揺さぶりを掛ける。
「そんな術に掛かる私だとでも思っているのですか!」
麗は精神開放術を駆使して月影の術を防御する。
スパッ!!
「なに!」
月影の放つカマイタチが麗の身体に傷を付ける。
(いつの間に……)
「ふ……、私はパンドラの箱の力により術式の構築無しで精神支配術を操れる。」
月影は言葉を続ける。
「私の精神支配術を防ぎながらどこまで戦う事が出来るかね。」
麗は状況を即座に理解する。
(月影の風神剣を防ぎつつ、精神支配術を防御して更に、他の術式に対応する。
同時に三つの術式を発動させないと全ての攻撃を防ぐ事が出来ないと言う事ですか……。)
「行くぞ麗!風神剣(ふうじんのつるぎ)!」
「くっ!」
ガキィーンッ!
月影の剣と麗の剣が交わり金属音が戦場に鳴り響いた。
【決着編②】
ボワッ!
不死鳥の炎が傷付いた可憐の身体を再生する。
「ふん…」
ズサッ!
「くっ!」
直後に沖田の手刀が可憐の胸部に穴を開ける。
「どうした朱雀。貴様の再生能力はその程度か!」
「…………貴様……」
何度再生しても、すぐさま身体を傷付けられては流石の朱雀もなす術が無い。
しかも
ボワッ!
沖田の身体が不死鳥の炎に包まれる。
しかし沖田は平然と更なる攻撃を可憐に仕掛ける。
ズバッ!!
「うっ!」
可憐に与えられた攻撃は明らかに致命傷。
朱雀の再生無しでは命を繋ぐ事が出来ない。
朱雀は可憐の傷の再生に力を使い満足に沖田を攻撃出来ない。
可憐の身体を守る事が逆に可憐の身体を人質に取られているようなものだ。
沖田は言う。
「そろそろ諦めたらどうだ。その少女を守りながら俺と戦うなど無理な話。大人しくその少女から離れるんだな。」
しかし、朱雀の能力無しでは可憐の命を繋ぎ止める事は出来ない。それは月影の精神支配術に侵されている朱雀には出来ない選択。
(少女の命を人質に取るとは、何と言う非道な男か……)
朱雀は諦めて沖田に言う。
「よかろう。我はこの戦闘から手を引き人格を可憐に戻そう。その代わり可憐の命を助ける事を約束せよ。」
「ふっ……、最初からそのつもりだ。可憐の傷の再生が終わったら、人格を元の可憐に戻すが良い。」
「もし……可憐が月影と麗との戦闘を止めようとするなら貴様が責任を持って可憐を引き止めるんだな。」
「そこまでの義理は無いが約束しよう。」
沖田はそう言って可憐の身体を地面に寝かし付ける。
「さて………」
沖田は月影と麗の方へ向き直る。
「そろそろ決着の時か……」
【決着編③】
「カマイタチの術!」
「くっ!」
月影の放つカマイタチが麗の身体を斬り刻み大量の血を流す麗。
(このままでは………)
「ふ……、先程までの威勢はどうした。」
月影の言葉に麗が答える。
「仕方が有りません。全力で行くしか無いようですね。」
「全力……?負け惜しみかね?」
麗は懐から3枚の式札を取り出し空に放つ。
「お見せしましょう。神代一族(かみしろのいちぞく)のみが操れる四神の力を。」
「四神だと!…操られても良いのか!?」
「その時はその時です。」
1枚目の式札が天空高く舞い上がり
怒り猛る蒼き龍に変化する。
――――――――青龍
2枚目の式札は精悍な武神へと変化し
巨大な大剣を月影に向けて構える
――――――――玄武
3枚目の式札は獰猛な白い虎に姿を変えて
鋭い牙をギラリと輝かせる
――――――――白虎
3体の霊獣
神代一族(かみしろのいちぞく)の守護神が同時に月影に襲い掛かる!
月影が叫ぶ。
「ならば見せてやろう!精神支配術により四神をも操る私の力を!!」
(最初に攻撃が届くのは白虎!まずは白虎の精神を支配する!)
月影が白虎に向けて精神支配術を発動する。
と、その時
白虎の後ろから麗の姿が現れる。
「!!?」
「月影、貴方の精神支配術が四神に向けられた今なら、私は存分に戦える。」
「……しまった!」
(まさか、四神を囮に使うとは……)
「これでお終いです。緋炎剣(ひえんのつるぎ)!」
「くっ!」
月影が風神剣で防御するより一瞬早く、麗の緋炎剣が月影の身体の中心を
―――――――突き刺した

神代 麗(かみしろ れい)
イラスト提供 ノエ様
陰陽師の一族の中でも高位の術者である月影が、パンドラの箱への願いにより強化された能力は精神支配術だけでは無い。
パンドラの箱は月影の能力の全てを極限にまで引き上げる。
「風神剣(ふうじんのつるぎ)!」
月影の剣が
「緋炎剣(ひえんのつるぎ)!」
麗の剣と交錯する。
と同時に放たれる月影の得意な術式
「カマイタチの術!」
無数のカマイタチの刃が四方から麗に襲い掛かる。
「陽炎(かげろう)の術!」
麗の華奢な身体が陽炎(かげろう)の様にぼんやりと薄れ、カマイタチの刃が麗の身体を素通りする。
「むっ!」
月影が麗の本体を見失い周囲に意識を集中させる。
(後ろか!!)
素早く後ろを振り向き風神剣を構える月影。
ズバッ!!
しかし、麗の緋炎剣が一瞬早く月影の左肩を斬り裂いた。
「ちっ!」
鮮血がほとばしる肩を抑え月影が後ろへ飛び跳ね距離を取る。
麗は緋炎剣を構えて月影との距離を詰める。
(四神無しで、ここまで強いか……。パンドラの箱により能力が強化された私と互角……、いや…少し押されているか。)
麗が月影に声を掛ける。
「どうしました月影。父を葬った実力はその程度なのですか。」
「ふん……、流石は神代一族(かみしろのいちぞく)歴代最強と言われるだけの事はあるようだな。」
しかし――――
「精神支配術!」
月影が麗の精神に揺さぶりを掛ける。
「そんな術に掛かる私だとでも思っているのですか!」
麗は精神開放術を駆使して月影の術を防御する。
スパッ!!
「なに!」
月影の放つカマイタチが麗の身体に傷を付ける。
(いつの間に……)
「ふ……、私はパンドラの箱の力により術式の構築無しで精神支配術を操れる。」
月影は言葉を続ける。
「私の精神支配術を防ぎながらどこまで戦う事が出来るかね。」
麗は状況を即座に理解する。
(月影の風神剣を防ぎつつ、精神支配術を防御して更に、他の術式に対応する。
同時に三つの術式を発動させないと全ての攻撃を防ぐ事が出来ないと言う事ですか……。)
「行くぞ麗!風神剣(ふうじんのつるぎ)!」
「くっ!」
ガキィーンッ!
月影の剣と麗の剣が交わり金属音が戦場に鳴り響いた。
【決着編②】
ボワッ!
不死鳥の炎が傷付いた可憐の身体を再生する。
「ふん…」
ズサッ!
「くっ!」
直後に沖田の手刀が可憐の胸部に穴を開ける。
「どうした朱雀。貴様の再生能力はその程度か!」
「…………貴様……」
何度再生しても、すぐさま身体を傷付けられては流石の朱雀もなす術が無い。
しかも
ボワッ!
沖田の身体が不死鳥の炎に包まれる。
しかし沖田は平然と更なる攻撃を可憐に仕掛ける。
ズバッ!!
「うっ!」
可憐に与えられた攻撃は明らかに致命傷。
朱雀の再生無しでは命を繋ぐ事が出来ない。
朱雀は可憐の傷の再生に力を使い満足に沖田を攻撃出来ない。
可憐の身体を守る事が逆に可憐の身体を人質に取られているようなものだ。
沖田は言う。
「そろそろ諦めたらどうだ。その少女を守りながら俺と戦うなど無理な話。大人しくその少女から離れるんだな。」
しかし、朱雀の能力無しでは可憐の命を繋ぎ止める事は出来ない。それは月影の精神支配術に侵されている朱雀には出来ない選択。
(少女の命を人質に取るとは、何と言う非道な男か……)
朱雀は諦めて沖田に言う。
「よかろう。我はこの戦闘から手を引き人格を可憐に戻そう。その代わり可憐の命を助ける事を約束せよ。」
「ふっ……、最初からそのつもりだ。可憐の傷の再生が終わったら、人格を元の可憐に戻すが良い。」
「もし……可憐が月影と麗との戦闘を止めようとするなら貴様が責任を持って可憐を引き止めるんだな。」
「そこまでの義理は無いが約束しよう。」
沖田はそう言って可憐の身体を地面に寝かし付ける。
「さて………」
沖田は月影と麗の方へ向き直る。
「そろそろ決着の時か……」
【決着編③】
「カマイタチの術!」
「くっ!」
月影の放つカマイタチが麗の身体を斬り刻み大量の血を流す麗。
(このままでは………)
「ふ……、先程までの威勢はどうした。」
月影の言葉に麗が答える。
「仕方が有りません。全力で行くしか無いようですね。」
「全力……?負け惜しみかね?」
麗は懐から3枚の式札を取り出し空に放つ。
「お見せしましょう。神代一族(かみしろのいちぞく)のみが操れる四神の力を。」
「四神だと!…操られても良いのか!?」
「その時はその時です。」
1枚目の式札が天空高く舞い上がり
怒り猛る蒼き龍に変化する。
――――――――青龍
2枚目の式札は精悍な武神へと変化し
巨大な大剣を月影に向けて構える
――――――――玄武
3枚目の式札は獰猛な白い虎に姿を変えて
鋭い牙をギラリと輝かせる
――――――――白虎
3体の霊獣
神代一族(かみしろのいちぞく)の守護神が同時に月影に襲い掛かる!
月影が叫ぶ。
「ならば見せてやろう!精神支配術により四神をも操る私の力を!!」
(最初に攻撃が届くのは白虎!まずは白虎の精神を支配する!)
月影が白虎に向けて精神支配術を発動する。
と、その時
白虎の後ろから麗の姿が現れる。
「!!?」
「月影、貴方の精神支配術が四神に向けられた今なら、私は存分に戦える。」
「……しまった!」
(まさか、四神を囮に使うとは……)
「これでお終いです。緋炎剣(ひえんのつるぎ)!」
「くっ!」
月影が風神剣で防御するより一瞬早く、麗の緋炎剣が月影の身体の中心を
―――――――突き刺した

神代 麗(かみしろ れい)
イラスト提供 ノエ様