【ゲームの行方編①】
倒しても倒しても、次々と現れる黒い化物
その正体は人間の思念。
進藤 霞(しんどう かすみ)の強い願いが次々と化物を産み出していた。
校内の生徒を喰い尽くすまで、それは止まらない。
「みんな!(進藤 霞)彼女から離れて!」
エミリーの呼び掛けにざわつく生徒達。
すると……
霞の周りにただならぬオーラが立ち込める。
ふしゅう
ふしゅう
ふしゅう
「なんで………」
ふしゅう
ふしゅう
ふしゅう
「邪魔をするの………」
ふしゅう
ふしゅう
ふしゅう
ゴクリ……
タケルはごくりと息を飲みこんだ。
「これは……」
麗は式札を取り出し戦闘態勢を取る。
「これ程の強力な思念を産みだすとは。」
ボワッ!
可憐は自身の身体に灼熱の炎を灯す。
(不死鳥の焼却速度を上回る速度で化物を作り出せるとしたら、少し厄介だな。)
ふしゅう
ふしゅう
霞を守るように次々と黒い化物が沸き上がり、無数の黒い塊が校庭の一角を埋め尽くして行く。
「おいおい…、どこまで増えるんだ。」
とタケル。
「きゃあぁ!」
「化物だっ!!」
生徒達は慌てて霞から逃げ惑う。
ふしゅう
ふしゅう
「さぁ……」
霞は言う。
「そろそろ終わりにしましょう。」
ふしゅう
ふしゅう
「ここに居る生徒達!その全てを喰い殺すのです!!」
ギャオォォォーッン!!
霞の号令に黒い化物が一斉に生徒達に襲い掛かる!
その号令に呼応するかのように、麗が式札を取り出し術式を唱える。
「古代術式!緋炎剣(ひえんのつるぎ)!」
すると式札は真紅の日本刀へと変化した。
迫り来る無数の化物の一体の強靭な腕が
スパッ!
ギャオォオォォォーッ!
鮮やかな切れ味で切断される。
(次は―――!)
その華奢な身体から繰り出される麗の剣技は、まるで舞を踊る巫女のように見る者を魅了する。
スパッ!
ザパツ!
研ぎ澄まされた鋭い刃が、巨大な化物の硬い皮膚をも一刀両断して行く。
「すげぇ……」
思わず麗の剣技に目を奪われるタケル。
「ここに居る生徒達は私が守ります。早く進藤 さんを!」
麗の声に我に帰るタケル。
「早くと言っても、どうやって近寄るんだ!進藤の前には化物がうじゃうじゃ居るぜ!」
すると今度はエミリーがタケルに声を掛ける。
「タケル!エミリーに任せて!前方の化物を吹き飛ばすくらいの魔力、絞り出して見せるわ!」
そう叫んだエミリーが右の手を前方に突き出した。
「化物ども!吹き飛べー!」
エミリーの魔法――
――――エノルメ・テンペスタ
史上最強の魔女エミリーが作り出す巨大な竜巻が…
ギャオォォオォ!
ガギャ!!
化物どもを天空高くに吹き飛ばす。
「今よ!早く!!」
タケルが前を見ると
前方には進藤 霞(しんどう かすみ)へと続く道が開かれる。
(ちっ!もうやるっきゃねぇな!)
「うぉりゃあぁぁ〜!!」
もう考える余裕は無い。タケルは観念して一直線に走り出す。
「!!」
「邪魔をするなと………」
霞は前から突っ込んで来るタケルを見て更に思念を巡らせる。
「言っているでしょう!!」
ブワッ!!
タケルの前方を塞ぐように湧き出る黒い化物。
その化物が片手を振り上げて鋭い爪をギラつかせた。
「ちっ!」
タケルが舌を鳴らした…
と、その時
―――――不死鳥が空を舞う
鮮やかな軌道を描いて飛んで来る不死鳥。
その向こうに見える夢野 可憐が、よく通る声で命令を下す。
「醜くも哀れな化物よ―――」
「―――不死鳥の糧となり消え失せろ!」
ボワッ!
ギャオォォォッ!!
タケルは目の前で悲鳴を上げる巨大な化物を素通りし、ついに進藤 霞(しんどう かすみ)の前に辿り着いた。
日賀 タケルは言う。
「女を殴る趣味はねぇんだが……、悪いな。」
タケルの右の拳が、霞の側頭部を思いっきり横殴りにする。
ドガッ!!
「!!!」
(……あ)
ふしゅう
ふしゅう
ふしゅ……
……………
黒い化物が―――――
霞の強い思念が―――――
蜃気楼のように消えて行く。
日本帝都学園のだだっ広い校庭が静けさを取り戻して行く。
そして……
そこには、タケルの一撃により気絶した進藤 霞が静かに横たわっていた。
エミリーが辺りを見回して呟く。
「黒いモヤの壁が消えて行く……。元の世界に戻って行くわ。」
可憐はふっと息を吐いた。
(この身体で長い時間『朱雀』でいるのは、少し無理が過ぎたようだ……。)
バタッ!
その場に崩れ去る可憐。
「夢野!!」
慌てて駆け寄ったタケルが可憐を抱き起こす。
「おい!大丈夫か!?」
すると可憐は目をパチクリと開けて言う。
「あなたは………、ここは……校庭ですか?どうして ここに……。」
「あん?よく分からないが無事のようだな。」
「分からないのは私の方です。あの……、手を離して貰えませんか?」
「え?……あぁ、悪い!」
タケルは慌てて肩に回していた手を離し顔を赤らめる。
「それにしても……」
麗がタケルの前に現れて言う。
「女を殴る趣味が無いとは、よく言えたものです。散々私に殴り掛かって来ておいて……。」
麗の冷たい視線にタケルの背筋が凍り付いた。
何にせよクリアしたようだな。
――――――このデスゲーム。
日本帝都学園で発生した死のゲームは、その場に居合わせた四人の生徒達の活躍により解決する。
しかし、それは……この後に起こる本当の戦いの前触れなのかもしれない。
ゲームはまだ―――――
―――――――――終わらない。
倒しても倒しても、次々と現れる黒い化物
その正体は人間の思念。
進藤 霞(しんどう かすみ)の強い願いが次々と化物を産み出していた。
校内の生徒を喰い尽くすまで、それは止まらない。
「みんな!(進藤 霞)彼女から離れて!」
エミリーの呼び掛けにざわつく生徒達。
すると……
霞の周りにただならぬオーラが立ち込める。
ふしゅう
ふしゅう
ふしゅう
「なんで………」
ふしゅう
ふしゅう
ふしゅう
「邪魔をするの………」
ふしゅう
ふしゅう
ふしゅう
ゴクリ……
タケルはごくりと息を飲みこんだ。
「これは……」
麗は式札を取り出し戦闘態勢を取る。
「これ程の強力な思念を産みだすとは。」
ボワッ!
可憐は自身の身体に灼熱の炎を灯す。
(不死鳥の焼却速度を上回る速度で化物を作り出せるとしたら、少し厄介だな。)
ふしゅう
ふしゅう
霞を守るように次々と黒い化物が沸き上がり、無数の黒い塊が校庭の一角を埋め尽くして行く。
「おいおい…、どこまで増えるんだ。」
とタケル。
「きゃあぁ!」
「化物だっ!!」
生徒達は慌てて霞から逃げ惑う。
ふしゅう
ふしゅう
「さぁ……」
霞は言う。
「そろそろ終わりにしましょう。」
ふしゅう
ふしゅう
「ここに居る生徒達!その全てを喰い殺すのです!!」
ギャオォォォーッン!!
霞の号令に黒い化物が一斉に生徒達に襲い掛かる!
その号令に呼応するかのように、麗が式札を取り出し術式を唱える。
「古代術式!緋炎剣(ひえんのつるぎ)!」
すると式札は真紅の日本刀へと変化した。
迫り来る無数の化物の一体の強靭な腕が
スパッ!
ギャオォオォォォーッ!
鮮やかな切れ味で切断される。
(次は―――!)
その華奢な身体から繰り出される麗の剣技は、まるで舞を踊る巫女のように見る者を魅了する。
スパッ!
ザパツ!
研ぎ澄まされた鋭い刃が、巨大な化物の硬い皮膚をも一刀両断して行く。
「すげぇ……」
思わず麗の剣技に目を奪われるタケル。
「ここに居る生徒達は私が守ります。早く進藤 さんを!」
麗の声に我に帰るタケル。
「早くと言っても、どうやって近寄るんだ!進藤の前には化物がうじゃうじゃ居るぜ!」
すると今度はエミリーがタケルに声を掛ける。
「タケル!エミリーに任せて!前方の化物を吹き飛ばすくらいの魔力、絞り出して見せるわ!」
そう叫んだエミリーが右の手を前方に突き出した。
「化物ども!吹き飛べー!」
エミリーの魔法――
――――エノルメ・テンペスタ
史上最強の魔女エミリーが作り出す巨大な竜巻が…
ギャオォォオォ!
ガギャ!!
化物どもを天空高くに吹き飛ばす。
「今よ!早く!!」
タケルが前を見ると
前方には進藤 霞(しんどう かすみ)へと続く道が開かれる。
(ちっ!もうやるっきゃねぇな!)
「うぉりゃあぁぁ〜!!」
もう考える余裕は無い。タケルは観念して一直線に走り出す。
「!!」
「邪魔をするなと………」
霞は前から突っ込んで来るタケルを見て更に思念を巡らせる。
「言っているでしょう!!」
ブワッ!!
タケルの前方を塞ぐように湧き出る黒い化物。
その化物が片手を振り上げて鋭い爪をギラつかせた。
「ちっ!」
タケルが舌を鳴らした…
と、その時
―――――不死鳥が空を舞う
鮮やかな軌道を描いて飛んで来る不死鳥。
その向こうに見える夢野 可憐が、よく通る声で命令を下す。
「醜くも哀れな化物よ―――」
「―――不死鳥の糧となり消え失せろ!」
ボワッ!
ギャオォォォッ!!
タケルは目の前で悲鳴を上げる巨大な化物を素通りし、ついに進藤 霞(しんどう かすみ)の前に辿り着いた。
日賀 タケルは言う。
「女を殴る趣味はねぇんだが……、悪いな。」
タケルの右の拳が、霞の側頭部を思いっきり横殴りにする。
ドガッ!!
「!!!」
(……あ)
ふしゅう
ふしゅう
ふしゅ……
……………
黒い化物が―――――
霞の強い思念が―――――
蜃気楼のように消えて行く。
日本帝都学園のだだっ広い校庭が静けさを取り戻して行く。
そして……
そこには、タケルの一撃により気絶した進藤 霞が静かに横たわっていた。
エミリーが辺りを見回して呟く。
「黒いモヤの壁が消えて行く……。元の世界に戻って行くわ。」
可憐はふっと息を吐いた。
(この身体で長い時間『朱雀』でいるのは、少し無理が過ぎたようだ……。)
バタッ!
その場に崩れ去る可憐。
「夢野!!」
慌てて駆け寄ったタケルが可憐を抱き起こす。
「おい!大丈夫か!?」
すると可憐は目をパチクリと開けて言う。
「あなたは………、ここは……校庭ですか?どうして ここに……。」
「あん?よく分からないが無事のようだな。」
「分からないのは私の方です。あの……、手を離して貰えませんか?」
「え?……あぁ、悪い!」
タケルは慌てて肩に回していた手を離し顔を赤らめる。
「それにしても……」
麗がタケルの前に現れて言う。
「女を殴る趣味が無いとは、よく言えたものです。散々私に殴り掛かって来ておいて……。」
麗の冷たい視線にタケルの背筋が凍り付いた。
何にせよクリアしたようだな。
――――――このデスゲーム。
日本帝都学園で発生した死のゲームは、その場に居合わせた四人の生徒達の活躍により解決する。
しかし、それは……この後に起こる本当の戦いの前触れなのかもしれない。
ゲームはまだ―――――
―――――――――終わらない。