【本物の聖者編①】
魔法使いが魔法を発動するには、いくつかの条件がある。
その最も重要な要素が精霊の存在。
魔法使いは自然界に生息する数多の精霊の力を借りて、強力な魔力を造り出す。
この大都会東京のど真ん中に生息する精霊の数には限りがある。いかに相手が伝説の魔女だとしても先に魔法を仕掛けた方が有利!
ヨハン・ファウストは得意の神聖術を詠唱する。
「聖なる光の精霊達よ!悪魔の魔女を滅殺せよ!」
巨大な光がファウストの周囲に集まり出した。
エミリーは言う。
「その程度の……」
(む?)
「その程度の魔力でエミリーに喧嘩を挑むなんて……」
(な……なんだ?)
「死んでマンマに償いなさい!法廷騎士団!!」
ファウストの周りに集まった光の精霊達が……
――――― 一瞬で消滅する
(な!なんだこの強大な魔力は!?)
と、その時
「ちょっと、そこの外人さーん♪演説の邪魔なので、皆さんで捕まえて下さいね♪」
可憐のよく透き通る声に大観衆が反応する。
「なんだお前達は!?」
「外人が日本の選挙に何の用だ!」
「うぉおぉぉ!可憐ちゃんの邪魔をするな!」
「皆で取り押さえろ!!」
大観衆は大群衆へと変貌し、怒涛のように2人の魔法使いに押し寄せる。
さすがのエミリーもこれには驚いた。
「のわー!な、な、な、何なのこれー!たーけーるー!助けてー!」
ヨハンは素早くビルの裏側へと逃げて行く。
(いったい、どうなってやがる!まぁいい、後はアレンに任せるか!)
異様な大群衆の行動の先にエミリーを見つけるタケル。
「エミリー?何やってんだアイツ!」
タケルは麗に向かって捨て台詞を吐く。
「おい、神代!今日の所は見逃してやる!今度は容赦しないからな!」
そして急いでエミリーを救出に行くタケルは心の中で呟いた。
(エミリーって、いつも邪魔ばっかするよな……。)
麗はぽかんと口を開けてタケルを見ていたが、すぐに首を横に振って正面を見据える。
(今はそれどころじゃないわ。)
麗の真の目的は、父である合祀(ごうし)を殺した北条 月影。
(月影を………、殺す!)
【本物の聖者編②】
大観衆の前に颯爽と現れた月影。
今回の選挙で圧勝した月影は国会議事堂の前に集まる観衆に。
いや、テレビで報道されてる全世界の人々に話し掛ける。
「皆さん、私が護国の党の党首「月影」である。」
月影の演説が始まった。
(させない!)
麗は式札を取り出し空に浮かせる。
少し距離はあるが、麗の術式なら問題無い。
四神のうち最も攻撃力の強い霊獣。
―――――青龍
「舞い上がれ青龍!」
神代 麗の華奢な腕が天に高く伸びる。
「奴の…月影の命を喰い千切るのです!」
ギャオォォオォォーンッ!!
天高く舞い上がった蒼き龍が、月影のいる壇上へ急降下を始める。
月影が青龍を見つけた時は既に遅い。
(しまった!術式が間にあわない!)
「終わりです。月影……。父の仇よ。」
麗が呟いた――――その時。
夢野 可憐が
月影に走り込み
ドガッ!!
月影を押し退けた。
予想外の出来事に驚く麗。
(可憐さん?そんな!!)
青白い光を発し、怒り猛る蒼き龍が可憐の身体に直撃する!
きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ―――――
しんと静まり返る大広場に可憐の悲痛な叫びだけが鳴り響く。
歴代最強の陰陽師と言われる神代 麗が放つ術式『青龍』をまともに受けて無事で居られるはずも無い。
可憐が取った行動は、果たして精神支配術によるものなのか、それとも純粋に人を助ける行為なのか――――
「賊だ!あそこに居る賊を捕まえろ!!」
月影の怒声が国会議事堂前の広場にこだまする。
「うぉおぉぉ!!」
「可憐ちゃんに何をする!!」
「みんなぁ!こいつを殺せ!!」
押し寄せる大群衆。
神代 麗が必死で大勢の群衆から逃げる姿を月影は眺めていた。
(…………神代 麗か。やはり生かしてはおけぬ危険な存在。)
(それにしても、夢野 可憐。これで2度目か……、自らの命を投げ出して他者を救うのは。)
――――彼女こそ本物の聖者かもしれんな。
(このまま死なすのは勿体無い。一応、応急手当でもして置こうか。助かるやも知れぬ。)
月影は可憐に近寄り様態を伺う。
(ほぅ……、運が良いな。死んだのは身体を乗っ取っていた精霊の方か……。夢野 可憐本人は気を失っているだけだ。)
月影が可憐を抱きかかえて立ち上がったその時。
ドキューーンッ!!
一発の銃声が鳴り響いた。
ビシャ!
月影の額から真っ赤な血が飛び散る。
アキュラシーAW50改の50口径の銃弾が正確に月影の額を撃ち抜いた。
魔法使いが魔法を発動するには、いくつかの条件がある。
その最も重要な要素が精霊の存在。
魔法使いは自然界に生息する数多の精霊の力を借りて、強力な魔力を造り出す。
この大都会東京のど真ん中に生息する精霊の数には限りがある。いかに相手が伝説の魔女だとしても先に魔法を仕掛けた方が有利!
ヨハン・ファウストは得意の神聖術を詠唱する。
「聖なる光の精霊達よ!悪魔の魔女を滅殺せよ!」
巨大な光がファウストの周囲に集まり出した。
エミリーは言う。
「その程度の……」
(む?)
「その程度の魔力でエミリーに喧嘩を挑むなんて……」
(な……なんだ?)
「死んでマンマに償いなさい!法廷騎士団!!」
ファウストの周りに集まった光の精霊達が……
――――― 一瞬で消滅する
(な!なんだこの強大な魔力は!?)
と、その時
「ちょっと、そこの外人さーん♪演説の邪魔なので、皆さんで捕まえて下さいね♪」
可憐のよく透き通る声に大観衆が反応する。
「なんだお前達は!?」
「外人が日本の選挙に何の用だ!」
「うぉおぉぉ!可憐ちゃんの邪魔をするな!」
「皆で取り押さえろ!!」
大観衆は大群衆へと変貌し、怒涛のように2人の魔法使いに押し寄せる。
さすがのエミリーもこれには驚いた。
「のわー!な、な、な、何なのこれー!たーけーるー!助けてー!」
ヨハンは素早くビルの裏側へと逃げて行く。
(いったい、どうなってやがる!まぁいい、後はアレンに任せるか!)
異様な大群衆の行動の先にエミリーを見つけるタケル。
「エミリー?何やってんだアイツ!」
タケルは麗に向かって捨て台詞を吐く。
「おい、神代!今日の所は見逃してやる!今度は容赦しないからな!」
そして急いでエミリーを救出に行くタケルは心の中で呟いた。
(エミリーって、いつも邪魔ばっかするよな……。)
麗はぽかんと口を開けてタケルを見ていたが、すぐに首を横に振って正面を見据える。
(今はそれどころじゃないわ。)
麗の真の目的は、父である合祀(ごうし)を殺した北条 月影。
(月影を………、殺す!)
【本物の聖者編②】
大観衆の前に颯爽と現れた月影。
今回の選挙で圧勝した月影は国会議事堂の前に集まる観衆に。
いや、テレビで報道されてる全世界の人々に話し掛ける。
「皆さん、私が護国の党の党首「月影」である。」
月影の演説が始まった。
(させない!)
麗は式札を取り出し空に浮かせる。
少し距離はあるが、麗の術式なら問題無い。
四神のうち最も攻撃力の強い霊獣。
―――――青龍
「舞い上がれ青龍!」
神代 麗の華奢な腕が天に高く伸びる。
「奴の…月影の命を喰い千切るのです!」
ギャオォォオォォーンッ!!
天高く舞い上がった蒼き龍が、月影のいる壇上へ急降下を始める。
月影が青龍を見つけた時は既に遅い。
(しまった!術式が間にあわない!)
「終わりです。月影……。父の仇よ。」
麗が呟いた――――その時。
夢野 可憐が
月影に走り込み
ドガッ!!
月影を押し退けた。
予想外の出来事に驚く麗。
(可憐さん?そんな!!)
青白い光を発し、怒り猛る蒼き龍が可憐の身体に直撃する!
きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ―――――
しんと静まり返る大広場に可憐の悲痛な叫びだけが鳴り響く。
歴代最強の陰陽師と言われる神代 麗が放つ術式『青龍』をまともに受けて無事で居られるはずも無い。
可憐が取った行動は、果たして精神支配術によるものなのか、それとも純粋に人を助ける行為なのか――――
「賊だ!あそこに居る賊を捕まえろ!!」
月影の怒声が国会議事堂前の広場にこだまする。
「うぉおぉぉ!!」
「可憐ちゃんに何をする!!」
「みんなぁ!こいつを殺せ!!」
押し寄せる大群衆。
神代 麗が必死で大勢の群衆から逃げる姿を月影は眺めていた。
(…………神代 麗か。やはり生かしてはおけぬ危険な存在。)
(それにしても、夢野 可憐。これで2度目か……、自らの命を投げ出して他者を救うのは。)
――――彼女こそ本物の聖者かもしれんな。
(このまま死なすのは勿体無い。一応、応急手当でもして置こうか。助かるやも知れぬ。)
月影は可憐に近寄り様態を伺う。
(ほぅ……、運が良いな。死んだのは身体を乗っ取っていた精霊の方か……。夢野 可憐本人は気を失っているだけだ。)
月影が可憐を抱きかかえて立ち上がったその時。
ドキューーンッ!!
一発の銃声が鳴り響いた。
ビシャ!
月影の額から真っ赤な血が飛び散る。
アキュラシーAW50改の50口径の銃弾が正確に月影の額を撃ち抜いた。