異世界戦記 GOD AND DEVIL25
【ヴィナス・マリア編①】
およそ100年前
アルゼリア歴3251年12月31日
エルザ王国 エルザ城内
黒装束に身を包む男がもう一人の魔導師に話し掛ける。
「なぁ団長…、あの少女を本当に神の魔導師団に率いれるつもりか?どんなに強くてもまだ子供だぜ?」
団長と呼ばれた魔導師の名はブラハム・ハザード。3つの属性魔法を操れる世界で唯一の魔導師。
「そう言うな神威。彼女の魔力は危険過ぎる。放っておいたら世界を滅ぼしかねない。」
「世界を滅ぼすって…、それは大袈裟だろう?いざとなれば団長や俺が彼女を倒せば良い。」
「神威…、本当に倒せると思っているのか?」
「……団長…、どう言う意味だ?」
「彼女は両親を失ったショックで心を閉ざし自我を抑制している。同時に自らの魔力も押さえ込んでいる状態だ。」
「魔力を押さえ込んでいる……?」
「正直を言えば、私は恐ろしいのだよ。彼女が真の魔力を解放する時が…。だから私は彼女に魔法を施した。ヴィナス・マリアの自我が戻らないようにな。」
「まさか、歴史上最強と言われる魔導師の団長が恐ろしい?……冗談だろう?」
「神威よ…、知っているだろう?この世界の魔法は主に6つの魔法属性に別れる…。」
炎、水、風、土、光、闇――
1人の魔導師が操れる魔法属性は1つ。
2つの魔法属性を操れる魔導師は稀である。
魔法属性は重なり合わせれば合わせるほど威力が強くなると言われている。
神の魔導師団団長ブラハム・ハザードが歴史上最強の魔導師と言われる所以は3つの魔法属性を操れる世界で唯一の魔導師だからだ。
ブラハムは言葉を続ける。
「ヴィナス・マリアの魔法からは七色の魔力の波動が感じられる。どう意味か分かるか?」
「七色…?どう言う事だ?」
「彼女は7つの魔法属性を同時に操れると言う事だ。我々が発見している6つの魔法属性の全てと、未知の魔法属性を含めた7つの魔法だ。」
「まさか!同時に7つの魔法属性!?未知の魔法属性だと!?有り得ない!!」
「私の究極魔法『メテオ』。あれは本来の『メテオ』では無い。」
「……どう言う意味だ?」
「私の『メテオ』は闇と炎で造った紛(まが)い物の魔法。彼女の7つ目の魔法属性を参考にしたに過ぎない。」
「バカな……、俺は団長の究極魔法を超える魔法など見た事が無い…。」
「彼女は危険過ぎるのだ。私は彼女の側(そば)で定期的に魔力抑制魔法を掛け続けるつもりだ。私が死なない限りは彼女の魔力が解放される事は無い。安心しろ。」
「しかしブラハム団長……、そんな話を信じろと言うのか?彼女は…、ヴィナス・マリアは何者なんだ?」
神威の質問にブラハムは少し間を置いて答える。
「彼女は…人間じゃない。おそらく彼女は…………」
そして…
ブラハム・ハザードが死亡して2年が経過した――――
【ヴィナス・マリア編②】
ゴッドタウンにうごめく未知の生物。
シャンディ・クリスタに移植された鬼族の王様オークキングの血肉とラファールが投与した薬。シャンディの死により2つの物質が予想外の反応を示し増殖を始めた。
周りにある物質を次々と飲み込み増殖を続ける生物は正に無敵のアメーバとなりゴッドタウンの街を埋め尽くす。
その時…
巨大な細胞の化物に……
ビカビカビカッ!!
ゴロゴロゴロッ!!
巨大な細胞の化物の中心部に季節外れの巨大な雷が落下した。
ドクンッ――
ドクンッ――
ドクンッ――
未知の生物の体内で鼓動が鳴り始める。
ドクンッ――
ドクンッ――
その鼓動は徐々に早くなり、ついに1人の魔導師が目を醒ます。
ブラハム・ハザードによって抑制されていた制御魔法から解き放たれ自我を取り戻す少女。
―――――ヴィナス・マリア
彼女の容姿は100年前にブラハムと出会った頃の幼い少女に戻っていた。
真の魔力を取り戻したヴィナス・マリアは未知の生物の体内で魔法を発動する。
現在の大陸で解明されている魔法属性は、火、水、風、土、光、闇の6種類。
人類が7つ目の魔法属性を解明出来ないのには理由があった。
それは、まだ人類が到達したことの無い未知の領域―――
最後の魔法属性は…
【 宇宙 】
ヴィナス・マリアが魔法を詠唱する。
「ビッグ・バン!!」
【ヴィナス・マリア編①】
およそ100年前
アルゼリア歴3251年12月31日
エルザ王国 エルザ城内
黒装束に身を包む男がもう一人の魔導師に話し掛ける。
「なぁ団長…、あの少女を本当に神の魔導師団に率いれるつもりか?どんなに強くてもまだ子供だぜ?」
団長と呼ばれた魔導師の名はブラハム・ハザード。3つの属性魔法を操れる世界で唯一の魔導師。
「そう言うな神威。彼女の魔力は危険過ぎる。放っておいたら世界を滅ぼしかねない。」
「世界を滅ぼすって…、それは大袈裟だろう?いざとなれば団長や俺が彼女を倒せば良い。」
「神威…、本当に倒せると思っているのか?」
「……団長…、どう言う意味だ?」
「彼女は両親を失ったショックで心を閉ざし自我を抑制している。同時に自らの魔力も押さえ込んでいる状態だ。」
「魔力を押さえ込んでいる……?」
「正直を言えば、私は恐ろしいのだよ。彼女が真の魔力を解放する時が…。だから私は彼女に魔法を施した。ヴィナス・マリアの自我が戻らないようにな。」
「まさか、歴史上最強と言われる魔導師の団長が恐ろしい?……冗談だろう?」
「神威よ…、知っているだろう?この世界の魔法は主に6つの魔法属性に別れる…。」
炎、水、風、土、光、闇――
1人の魔導師が操れる魔法属性は1つ。
2つの魔法属性を操れる魔導師は稀である。
魔法属性は重なり合わせれば合わせるほど威力が強くなると言われている。
神の魔導師団団長ブラハム・ハザードが歴史上最強の魔導師と言われる所以は3つの魔法属性を操れる世界で唯一の魔導師だからだ。
ブラハムは言葉を続ける。
「ヴィナス・マリアの魔法からは七色の魔力の波動が感じられる。どう意味か分かるか?」
「七色…?どう言う事だ?」
「彼女は7つの魔法属性を同時に操れると言う事だ。我々が発見している6つの魔法属性の全てと、未知の魔法属性を含めた7つの魔法だ。」
「まさか!同時に7つの魔法属性!?未知の魔法属性だと!?有り得ない!!」
「私の究極魔法『メテオ』。あれは本来の『メテオ』では無い。」
「……どう言う意味だ?」
「私の『メテオ』は闇と炎で造った紛(まが)い物の魔法。彼女の7つ目の魔法属性を参考にしたに過ぎない。」
「バカな……、俺は団長の究極魔法を超える魔法など見た事が無い…。」
「彼女は危険過ぎるのだ。私は彼女の側(そば)で定期的に魔力抑制魔法を掛け続けるつもりだ。私が死なない限りは彼女の魔力が解放される事は無い。安心しろ。」
「しかしブラハム団長……、そんな話を信じろと言うのか?彼女は…、ヴィナス・マリアは何者なんだ?」
神威の質問にブラハムは少し間を置いて答える。
「彼女は…人間じゃない。おそらく彼女は…………」
そして…
ブラハム・ハザードが死亡して2年が経過した――――
【ヴィナス・マリア編②】
ゴッドタウンにうごめく未知の生物。
シャンディ・クリスタに移植された鬼族の王様オークキングの血肉とラファールが投与した薬。シャンディの死により2つの物質が予想外の反応を示し増殖を始めた。
周りにある物質を次々と飲み込み増殖を続ける生物は正に無敵のアメーバとなりゴッドタウンの街を埋め尽くす。
その時…
巨大な細胞の化物に……
ビカビカビカッ!!
ゴロゴロゴロッ!!
巨大な細胞の化物の中心部に季節外れの巨大な雷が落下した。
ドクンッ――
ドクンッ――
ドクンッ――
未知の生物の体内で鼓動が鳴り始める。
ドクンッ――
ドクンッ――
その鼓動は徐々に早くなり、ついに1人の魔導師が目を醒ます。
ブラハム・ハザードによって抑制されていた制御魔法から解き放たれ自我を取り戻す少女。
―――――ヴィナス・マリア
彼女の容姿は100年前にブラハムと出会った頃の幼い少女に戻っていた。
真の魔力を取り戻したヴィナス・マリアは未知の生物の体内で魔法を発動する。
現在の大陸で解明されている魔法属性は、火、水、風、土、光、闇の6種類。
人類が7つ目の魔法属性を解明出来ないのには理由があった。
それは、まだ人類が到達したことの無い未知の領域―――
最後の魔法属性は…
【 宇宙 】
ヴィナス・マリアが魔法を詠唱する。
「ビッグ・バン!!」