【君は月夜に光り輝く】




想像するの。

私は雪国で暮らしててね、冬になると雪が降るの。
吐く息はずっと白くて。
暖炉で暖まりながら本を読んで暮らすの。



書店で目に付いた本を衝動的に買いました。

「君は月夜に光り輝く」

表紙のイラストと題名が私の好みでありましたので迷いはありません。


どうやら私は明るく楽しい話よりも、どこか陰のある物悲しい話が好きらしい。

暖かい陽射しよりも、淋しげな月明かりの方がどこか人間らしい。

辺り一面が雪に覆われて、肌が痛くなる程の寒さの中で見上げる夜空は、本当に綺麗だ。

空から降り注ぐ雪は、手のひらに静かに舞い降りて、泡のように消える。

そんな感覚を愛おしいと思う。

桜を愛する日本人ならではの感覚とでも言おうか。

そんな死生観と隣り合わせの物語。



この小説は1冊完結の物語であります。

1冊の中に伝えたい事が十分に詰まっていて、これ以上長くすると陳腐になってしまうかもしれません。

このどこか儚げな、少し歪んだ、それでいて美しい物語を読んで良かったなと思う。