【近衛騎士団編①】
パラアテネ神聖国。
大陸の南に位置する魔導大国。
四人の魔導師【四将星】を頂点に多くの優秀な魔導師を抱え世界制服を企む世界最大勢力。
首都パラアテネの一角にある魔導研究所。
「サラよ。そろそろ我々に協力する気にはならないのか?」
黒いローブの男が牢の中の男に話し掛ける。牢の中のサラと呼ばれた男は随分と痩せこけ綺麗な青い髪も伸び切っていた。
サラは終始無言で何も話さない。
「サラ…お前、精気を失っているぞ。この前会った時と違うな。何があった?」
黒いローブの男は意識をサラの魔力に集中する。
「…魔力が感じられない。四将星のお前が魔力を失うとは何をやらかした!?」
ようやくサラが口を開く。
「ルーカスよ。確かにお前は強い。四将星で最強のお前に勝てる人間などこの世界には居ないだろう。」
「……サラ?何が言いたい?」
「お前に勝てる者が居るとしたら、この世界の者では無いだろう。」
「何だと?お前!何をした!?」
ルーカスの問いにサラは答える。
「何でも無いさ。俺は四将星の一人としてお前を応援してるぜ。」
「……まぁ良い。悪魔さえ召喚出来ればお前に用は無い。あの少女にもな。」
そう言ってルーカスは研究所を去って行く。
牢に残されたサラは一人考える。
(俺の全ての魔力をマリーに与え異世界の住人を召喚させた。牢番の話では俺の予想を上回る強さらしい。)
サラが危惧するのはルーカス。
(ルーカスの強さは尋常じゃない。そしてゼクシード。同じ四将星でありながら謎の多い奴だ。)
そしてもう一人…
(死神のヴァローナ。彼女は果たして敵か味方か。ヴァローナの考えは全く分からない…。)
サラは牢にあるベッドに上向きに寝転がる。
(何れにしても悪魔禁書。ルーカスの奴は悪魔の召喚にためらいは無いだろう。下手をすると世界を滅ぼし兼ねない。何としても取り戻さねば…。)
そしてサラは同じ研究施設に閉じ込められている少女マリーの事を考えながら、いつの間にか眠りについた。
【近衛騎士団編②】
バロン公国での戦闘から1ヶ月ほどが経過していた。それまで世界中で連戦連勝を続けていたパラアテネ神聖国であったが、アルゼリア王国への侵攻失敗、バロン公国への侵攻失敗、そしてセルバーニア王国からの撤退と立て続けの連敗に大司教は苛立っていた。
そしてもう一人、誰よりも荒れていたのは四将星の一人キャローラ・ノースクイーン。片腕を失い四将星としてのプライドも傷付けられた。
(あの男…、あの男だけは絶対に殺す!あんな不意打ちのような一撃で勝ったと思うなよ!)
「デスペラード!奴の居所はまだ解らないのかしら!」
「キャローラ様、おそれながら奴はバロン公国での戦闘に参加した後に姿をくらましました。しかし情報によると奴らは魔導師マリーを探しているようです。こちらから探さなくても奴等の方から姿を現すでしょう。」
「何だと?マリーを探して居る?となると狙いは悪魔禁書かしら……。どこから悪魔禁書の情報が漏れたかは知らぬが、来るなら早く来い!このキャローラ様が返り討ちにするかしら。」
パラアテネ神聖国の北部に小さな街がある。街の名はシリオン。
瞬と舞、カイザーとシュウはシリオンの宿屋に宿泊していた。
「それにしても敵国の内部に入ってもバレないものだな。」
瞬は呆れ顔で呟く。
「まぁ、一般人には我々を見てもすぐには分からないでしょう。ボロいローブで身を包んでいるなら尚更です。」
冷静に答えるカイザー。
「でもシュウさんの長身に金髪は目立ちますよね?」
舞はシュウを見て微笑む。
「すまぬな…、こればかりはどうする事も出来ぬ…。」
そんな会話をしていると宿屋の外が妙にざわつき始める。カイザーが何事かと外を見るとパラアテネ神聖国の軍隊…、おそらく
20名〜30名程度の人数が集結している。
「見つかったか?」とカイザー。
「いや、それなら直ぐに攻撃して来るだろう?俺達の他に誰か居るのか?」
シュウは首を傾げる。
「ちょっと聞いて来るわ!」
「おい!舞!?」
瞬の言葉も聞かず舞は外に出て何やら兵士の一人に話し掛けている。
数分後に戻って来た舞に瞬が本気で怒る。
「まぁまぁ、そう怒らなくても無事に戻って来たのだから。」
瞬をたしなめるシュウ。
「で、何か分かりましたか?」
カイザーの質問に舞が答える。
「この街シリオンの北方から敵軍が攻めて来るとの情報があるらしいわ。」
「ほぉ、我々以外にそんな無謀な事をする国があるとは…、セルバーニア王国を襲った者達かな?」
シュウの感想にカイザーが言葉を続ける。
「とりあえず様子を見よう。すぐに分かるだろう。」
四人が窓の外を気にしながら待つこと10分。外に待機しているパラアテネ神聖国の兵士達に動きがあった。
遠くから歩いて来るのは、たった一人の少女。歳は舞と同じ17〜18歳くらいに見える。
白と黒の衣装に黄色い獅子の紋章が見える。
「あの衣装は……、まさか。」
シュウは驚き固まっている。
「シュウさん、あの少女を知っているのですか?」と舞。
答えるのはカイザー。
「知っているも何も、あの衣装は世界最強と名高いマゼラン帝国近衛騎士団の正装。そして、あの少女は……。」
驚いたのはパラアテネ神聖国の兵士達も一緒であった。マゼラン帝国はパラアテネ神聖国との戦争を回避するため降伏宣言。そして先のバロン公国との戦争には神聖国側の戦力として参戦している。
近くパラアテネ神聖国と同盟を結ぶとの噂もあるぐらいだ。
それなのに、マゼラン帝国の騎士が一人で何をしに来たのか……
【近衛騎士団編③】
「おい!そこの女!ここはパラアテネ神聖国の領内だぞ!マゼラン帝国の騎士が何の用だ?」
兵士の一人が女性の騎士に声をかける。
「用ですか?私達が用があるのはパラアテネ神聖国の大司教と幹部達です。あなた達に危害を加えるつもりは有りません。そこをどいて下さい。」
「ハッハッハ!たった一人で何を言うか。死にたくなければさっさと帰る事だ。」
「一人?安心して下さい。私は偵察に来ただけです。本隊はもうすぐ到着します。」
「なんだと!」
またしても驚く兵士。パラアテネ神聖国の兵士達がぐるりと女性騎士を取り囲む。
「それならば尚更、生かして返す訳には行かねぇ!死ね!」
兵士達が一斉に女性騎士に襲い掛かる。
ゆらりと女性騎士が身体を動かすと、そこに居たパラアテネ神聖国の兵士達がバタバタと倒れて行く。
少し離れた所に居た魔導師達が慌てて魔法を詠唱するが既に勝負は付いていた。
魔法を唱える前に既に斬られていたらしく魔導師達もその場に倒れ込んだ。
「命に支障は有りません。しばらくしたら目を覚ますでしょう。」
女性騎士はそう独りごちると元来た道を帰って行った。
「おい!カイザー!誰だあいつは?」
珍しく興奮気味の瞬にカイザーが答える。
「彼女はマゼラン帝国近衛騎士団副団長。シャルロット・ガードナー。世界最強の騎士と言われている。」
近衛騎士団の本隊と合流したシャルロットは団長のプロメテウスに一礼をする。
「私の我がままをお許し下さい団長。祖国を捨ててパラアテネ神聖国へ侵攻する私と共に近衛騎士団を動かして頂くとは何と礼を申したら良い事でしょうか…」
「何を言うシャルロット。前皇帝陛下の仇討ちは我ら近衛騎士団全員の悲願。我等こそがマゼラン帝国。戦う事を恐れ降伏をした新皇帝陛下とそれに従属する騎士団など真のマゼラン帝国の姿では無い。」
「まぁ、新皇帝陛下も俺達が大司教の首を獲れば目が覚めるだろう。あんまり気にするなよ、副団長さん。」
プロメテウスとジャッカルの言葉に感謝するシャルロット。目指すはパラアテネ神聖国の首都「パラアテネ」。
【近衛騎士団編④】
「なんだと!?近衛騎士団?」
部下の報告に驚くアルカス。
「こいつは厄介な敵が現れた。マゼラン帝国を捨てて来るとは予想外だな。」
続けてルーカスがアルカスに命ずる。
「闇の魔導師団を連れて行け。並の戦士では歯が立たないだろう。」
(闇の魔導師団…、人工的に魔力を強化したあいつらか…。実践に投入するのは初めてだな。)
「分かりましたルーカス様。必ずや近衛騎士団を全滅させて来ましょう。」
ほぼ同時刻、四将星キャローラの元にも近衛騎士団侵入の報告が告げられる。
そして独自の情報が加えられていた。
「キャローラ様!アルゼリア王国の救世主が見つかりました!どうやらマゼラン帝国近衛騎士団と合流したようです!」
「ふふふ、ついに見つけたかしら。ルーカスに先を越されてはなりません。デスペラード、行きますよ。この四将星キャローラが近衛騎士団ともども全滅させて上げましょう。」
パラアテネ神聖国の幹部達が動き出したその頃、近衛騎士団と瞬達一行はお互いの目的を確認していた。
団長のプロメテウスは大柄の体型に似合わず親しみやすい気さくな性格である。
すぐに打ち解けた瞬達に惜しみない賛辞の言葉を贈る。
「君達が噂の救世主か!それにジークの息子カイザー、ヴァルハラ王国の剣聖まで揃って居るとは心強い!」
プロメテウスの言葉にカイザーが応える。
「私達こそ、世界に名高い近衛騎士団と共に戦えるとは光栄です。」
近衛騎士団のエース、ジャッカルが皆をまとめる。
「天は俺達に味方をしたようだ!アルゼリア王国の救世主が我ら近衛騎士団の救世主になるであろう!行くぞ!目指すはパラアテネ!大司教の首を獲る日は近い!!」
オー!と言う掛け声と共に戦士達は進み出す。
2年間続いた世界大戦は大きな山場を迎えて居た。
パラアテネ神聖国。
大陸の南に位置する魔導大国。
四人の魔導師【四将星】を頂点に多くの優秀な魔導師を抱え世界制服を企む世界最大勢力。
首都パラアテネの一角にある魔導研究所。
「サラよ。そろそろ我々に協力する気にはならないのか?」
黒いローブの男が牢の中の男に話し掛ける。牢の中のサラと呼ばれた男は随分と痩せこけ綺麗な青い髪も伸び切っていた。
サラは終始無言で何も話さない。
「サラ…お前、精気を失っているぞ。この前会った時と違うな。何があった?」
黒いローブの男は意識をサラの魔力に集中する。
「…魔力が感じられない。四将星のお前が魔力を失うとは何をやらかした!?」
ようやくサラが口を開く。
「ルーカスよ。確かにお前は強い。四将星で最強のお前に勝てる人間などこの世界には居ないだろう。」
「……サラ?何が言いたい?」
「お前に勝てる者が居るとしたら、この世界の者では無いだろう。」
「何だと?お前!何をした!?」
ルーカスの問いにサラは答える。
「何でも無いさ。俺は四将星の一人としてお前を応援してるぜ。」
「……まぁ良い。悪魔さえ召喚出来ればお前に用は無い。あの少女にもな。」
そう言ってルーカスは研究所を去って行く。
牢に残されたサラは一人考える。
(俺の全ての魔力をマリーに与え異世界の住人を召喚させた。牢番の話では俺の予想を上回る強さらしい。)
サラが危惧するのはルーカス。
(ルーカスの強さは尋常じゃない。そしてゼクシード。同じ四将星でありながら謎の多い奴だ。)
そしてもう一人…
(死神のヴァローナ。彼女は果たして敵か味方か。ヴァローナの考えは全く分からない…。)
サラは牢にあるベッドに上向きに寝転がる。
(何れにしても悪魔禁書。ルーカスの奴は悪魔の召喚にためらいは無いだろう。下手をすると世界を滅ぼし兼ねない。何としても取り戻さねば…。)
そしてサラは同じ研究施設に閉じ込められている少女マリーの事を考えながら、いつの間にか眠りについた。
【近衛騎士団編②】
バロン公国での戦闘から1ヶ月ほどが経過していた。それまで世界中で連戦連勝を続けていたパラアテネ神聖国であったが、アルゼリア王国への侵攻失敗、バロン公国への侵攻失敗、そしてセルバーニア王国からの撤退と立て続けの連敗に大司教は苛立っていた。
そしてもう一人、誰よりも荒れていたのは四将星の一人キャローラ・ノースクイーン。片腕を失い四将星としてのプライドも傷付けられた。
(あの男…、あの男だけは絶対に殺す!あんな不意打ちのような一撃で勝ったと思うなよ!)
「デスペラード!奴の居所はまだ解らないのかしら!」
「キャローラ様、おそれながら奴はバロン公国での戦闘に参加した後に姿をくらましました。しかし情報によると奴らは魔導師マリーを探しているようです。こちらから探さなくても奴等の方から姿を現すでしょう。」
「何だと?マリーを探して居る?となると狙いは悪魔禁書かしら……。どこから悪魔禁書の情報が漏れたかは知らぬが、来るなら早く来い!このキャローラ様が返り討ちにするかしら。」
パラアテネ神聖国の北部に小さな街がある。街の名はシリオン。
瞬と舞、カイザーとシュウはシリオンの宿屋に宿泊していた。
「それにしても敵国の内部に入ってもバレないものだな。」
瞬は呆れ顔で呟く。
「まぁ、一般人には我々を見てもすぐには分からないでしょう。ボロいローブで身を包んでいるなら尚更です。」
冷静に答えるカイザー。
「でもシュウさんの長身に金髪は目立ちますよね?」
舞はシュウを見て微笑む。
「すまぬな…、こればかりはどうする事も出来ぬ…。」
そんな会話をしていると宿屋の外が妙にざわつき始める。カイザーが何事かと外を見るとパラアテネ神聖国の軍隊…、おそらく
20名〜30名程度の人数が集結している。
「見つかったか?」とカイザー。
「いや、それなら直ぐに攻撃して来るだろう?俺達の他に誰か居るのか?」
シュウは首を傾げる。
「ちょっと聞いて来るわ!」
「おい!舞!?」
瞬の言葉も聞かず舞は外に出て何やら兵士の一人に話し掛けている。
数分後に戻って来た舞に瞬が本気で怒る。
「まぁまぁ、そう怒らなくても無事に戻って来たのだから。」
瞬をたしなめるシュウ。
「で、何か分かりましたか?」
カイザーの質問に舞が答える。
「この街シリオンの北方から敵軍が攻めて来るとの情報があるらしいわ。」
「ほぉ、我々以外にそんな無謀な事をする国があるとは…、セルバーニア王国を襲った者達かな?」
シュウの感想にカイザーが言葉を続ける。
「とりあえず様子を見よう。すぐに分かるだろう。」
四人が窓の外を気にしながら待つこと10分。外に待機しているパラアテネ神聖国の兵士達に動きがあった。
遠くから歩いて来るのは、たった一人の少女。歳は舞と同じ17〜18歳くらいに見える。
白と黒の衣装に黄色い獅子の紋章が見える。
「あの衣装は……、まさか。」
シュウは驚き固まっている。
「シュウさん、あの少女を知っているのですか?」と舞。
答えるのはカイザー。
「知っているも何も、あの衣装は世界最強と名高いマゼラン帝国近衛騎士団の正装。そして、あの少女は……。」
驚いたのはパラアテネ神聖国の兵士達も一緒であった。マゼラン帝国はパラアテネ神聖国との戦争を回避するため降伏宣言。そして先のバロン公国との戦争には神聖国側の戦力として参戦している。
近くパラアテネ神聖国と同盟を結ぶとの噂もあるぐらいだ。
それなのに、マゼラン帝国の騎士が一人で何をしに来たのか……
【近衛騎士団編③】
「おい!そこの女!ここはパラアテネ神聖国の領内だぞ!マゼラン帝国の騎士が何の用だ?」
兵士の一人が女性の騎士に声をかける。
「用ですか?私達が用があるのはパラアテネ神聖国の大司教と幹部達です。あなた達に危害を加えるつもりは有りません。そこをどいて下さい。」
「ハッハッハ!たった一人で何を言うか。死にたくなければさっさと帰る事だ。」
「一人?安心して下さい。私は偵察に来ただけです。本隊はもうすぐ到着します。」
「なんだと!」
またしても驚く兵士。パラアテネ神聖国の兵士達がぐるりと女性騎士を取り囲む。
「それならば尚更、生かして返す訳には行かねぇ!死ね!」
兵士達が一斉に女性騎士に襲い掛かる。
ゆらりと女性騎士が身体を動かすと、そこに居たパラアテネ神聖国の兵士達がバタバタと倒れて行く。
少し離れた所に居た魔導師達が慌てて魔法を詠唱するが既に勝負は付いていた。
魔法を唱える前に既に斬られていたらしく魔導師達もその場に倒れ込んだ。
「命に支障は有りません。しばらくしたら目を覚ますでしょう。」
女性騎士はそう独りごちると元来た道を帰って行った。
「おい!カイザー!誰だあいつは?」
珍しく興奮気味の瞬にカイザーが答える。
「彼女はマゼラン帝国近衛騎士団副団長。シャルロット・ガードナー。世界最強の騎士と言われている。」
近衛騎士団の本隊と合流したシャルロットは団長のプロメテウスに一礼をする。
「私の我がままをお許し下さい団長。祖国を捨ててパラアテネ神聖国へ侵攻する私と共に近衛騎士団を動かして頂くとは何と礼を申したら良い事でしょうか…」
「何を言うシャルロット。前皇帝陛下の仇討ちは我ら近衛騎士団全員の悲願。我等こそがマゼラン帝国。戦う事を恐れ降伏をした新皇帝陛下とそれに従属する騎士団など真のマゼラン帝国の姿では無い。」
「まぁ、新皇帝陛下も俺達が大司教の首を獲れば目が覚めるだろう。あんまり気にするなよ、副団長さん。」
プロメテウスとジャッカルの言葉に感謝するシャルロット。目指すはパラアテネ神聖国の首都「パラアテネ」。
【近衛騎士団編④】
「なんだと!?近衛騎士団?」
部下の報告に驚くアルカス。
「こいつは厄介な敵が現れた。マゼラン帝国を捨てて来るとは予想外だな。」
続けてルーカスがアルカスに命ずる。
「闇の魔導師団を連れて行け。並の戦士では歯が立たないだろう。」
(闇の魔導師団…、人工的に魔力を強化したあいつらか…。実践に投入するのは初めてだな。)
「分かりましたルーカス様。必ずや近衛騎士団を全滅させて来ましょう。」
ほぼ同時刻、四将星キャローラの元にも近衛騎士団侵入の報告が告げられる。
そして独自の情報が加えられていた。
「キャローラ様!アルゼリア王国の救世主が見つかりました!どうやらマゼラン帝国近衛騎士団と合流したようです!」
「ふふふ、ついに見つけたかしら。ルーカスに先を越されてはなりません。デスペラード、行きますよ。この四将星キャローラが近衛騎士団ともども全滅させて上げましょう。」
パラアテネ神聖国の幹部達が動き出したその頃、近衛騎士団と瞬達一行はお互いの目的を確認していた。
団長のプロメテウスは大柄の体型に似合わず親しみやすい気さくな性格である。
すぐに打ち解けた瞬達に惜しみない賛辞の言葉を贈る。
「君達が噂の救世主か!それにジークの息子カイザー、ヴァルハラ王国の剣聖まで揃って居るとは心強い!」
プロメテウスの言葉にカイザーが応える。
「私達こそ、世界に名高い近衛騎士団と共に戦えるとは光栄です。」
近衛騎士団のエース、ジャッカルが皆をまとめる。
「天は俺達に味方をしたようだ!アルゼリア王国の救世主が我ら近衛騎士団の救世主になるであろう!行くぞ!目指すはパラアテネ!大司教の首を獲る日は近い!!」
オー!と言う掛け声と共に戦士達は進み出す。
2年間続いた世界大戦は大きな山場を迎えて居た。