【死神編①】
五年前 パラアテネ神聖国
騎士優勢のこの世界に於いて、魔導師の楽園とも言われる魔法先進国。
世界に6人しか居ないと言われる3つ以上の魔法属性を操れる魔導師が4人在籍している事からも、魔法を重視するお国柄を端的に表している。
サラ・イースターは若干16歳にして数々の武勲を立て四人目の将星として名を轟かせていた。
そんな折、パラアテネ神聖国の古くからの同盟国、アヴェスター公国が敵対する勢力に襲われたとの情報が入る。
アヴェスター公国はパラアテネ神聖国を造った四つの王家のうちの1つアヴェスター家が独立して造った小国でありパラアテネ神聖国とは先祖を同じにする兄弟国。
そのアヴェスター公国が敵襲を受けたとの情報の真意を確かめるためサラ・イースターが派遣された。
サラがアヴェスター公国に到着した頃には既に多くの街が崩壊していた。
敵襲は本当であった。しかし、相手国が何処なのか全く見当がつかない。
世界でもマゼラン帝国と並ぶ大国であるパラアテネ神聖国。その中で最も親密な関係にあるアヴェスター公国に戦争を仕掛ける事はパラアテネ神聖国に戦争を仕掛ける事を意味する。そんな力のある国はマゼラン帝国くらいだろう。
(マゼラン帝国もバカじゃない。うちとの全面戦争は避けたいはずだ。では、どこの国が…。)
サラがアヴェスター公国の首都に到着すると、そこには異様な光景が広がっていた。
アヴェスター軍の魔導師数十名と対峙するのは、巨大な人影。鎖鎌のような武器をひと振りするとアヴェスター軍の戦士の首がポンと飛び跳ねた。
「な!なんだ!あの化物は!」
サラは急いでアヴェスター軍の元へ駆け寄る。軍の魔導師が巨大な人影に魔法攻撃を仕掛けるが魔法攻撃が効いている気配は無い。
1人の若い女の魔導師がサラを見つけると、戦場に似合わない長い金髪をなびかせながら近づいて来た。
「サラじゃない!どうしたの?こんな所まで。」
「ヴァローナ!あの化物は何なんだ?あれはこの世の生き物なのか!?」
「ちょっとね、うちの魔導研究者達が召喚に失敗して暴走しちゃったのよ…。」
「召喚だって!?異世界からの召喚か?何を召喚したんだ!?」
ヴァローナはイタズラに舌を出して巨大な人影を見て答える。
「何って……、死神よ。」
【死神編②】
その死神の姿は巨大な黒い影のようであり、魔導師達の攻撃を受けても殆どダメージは無いように見える。
「ちょうど良い所に来たわサラ。試したい魔法があるんだけど、うちの魔導師達では足止めにもならないの。サラの魔法で死神を倒しちゃってくれない?」
「ヴァローナ…、あんな化物に俺の魔法が通用するかどうか…」
「何言ってんの!泣く子も黙るパラアテネの四将星の魔法が効かないなら誰にもあの化物は抑えられないわ。頼んだわよ、サラ!」
サラは相変わらず無茶を言う人だと思いながらも、黒炎魔法の態勢に入る。
(いずれにせよ誰かがあの死神を倒さないと行けない。俺の魔法が通じるかは分からないが、やるだけやってみるか…。)
サラの魔法は黒炎魔法。
黒い炎が巨大な球体を造り出す。
そこに風属性の魔力を注入。
球体が巨大な竜巻となり死神に襲い掛かる!
暴風に乗った黒い炎が死神を直撃する。
物凄い爆発に包まれた死神がはじめてその攻撃に反応する。
「ギャガガ…ガギャ…!!」
死神は声に成らない声を発しサラの方を睨み付ける。
「おいおい!俺の最大魔法だぞ!?効いているのか、効いていないのか!あんなのどうやって倒すんだ!?」
「十分よサラ!さすが四将星。おかげで準備は整ったわ!」
「ヴァローナ…?」
よく見ると死神の周りを囲むように円盤上の黒い輪っかが展開されていた。
(これが試したい魔法か?)
「私の一族に伝わる魔法。」
相手の意識と魔力、あらゆる能力を取り込み自身の支配下に置く禁断の魔法。
「ルーラー(絶対支配)!!」
ヴァローナが魔法を唱えると死神を取り囲んでいた黒い輪が瞬時に収束し死神を拘束する。
そして
そのまま、ヴァローナの身体に溶けるように吸収されて行く。
「な!何をしているんだ!」
サラが声を張り上げた時には、既に巨大な死神の姿はヴァローナによって吸収されていた。
ヴァローナの身体からは黒い異質な妖気が発っせられている。
少しの沈黙の後にヴァローナはようやく顔を上げた。
「成功よ、サラ。死神は退治したわ。あなたのお陰ね。」
サラには、美しいヴァローナのその瞳が少し赤み掛かっているように見えた。
五年前 パラアテネ神聖国
騎士優勢のこの世界に於いて、魔導師の楽園とも言われる魔法先進国。
世界に6人しか居ないと言われる3つ以上の魔法属性を操れる魔導師が4人在籍している事からも、魔法を重視するお国柄を端的に表している。
サラ・イースターは若干16歳にして数々の武勲を立て四人目の将星として名を轟かせていた。
そんな折、パラアテネ神聖国の古くからの同盟国、アヴェスター公国が敵対する勢力に襲われたとの情報が入る。
アヴェスター公国はパラアテネ神聖国を造った四つの王家のうちの1つアヴェスター家が独立して造った小国でありパラアテネ神聖国とは先祖を同じにする兄弟国。
そのアヴェスター公国が敵襲を受けたとの情報の真意を確かめるためサラ・イースターが派遣された。
サラがアヴェスター公国に到着した頃には既に多くの街が崩壊していた。
敵襲は本当であった。しかし、相手国が何処なのか全く見当がつかない。
世界でもマゼラン帝国と並ぶ大国であるパラアテネ神聖国。その中で最も親密な関係にあるアヴェスター公国に戦争を仕掛ける事はパラアテネ神聖国に戦争を仕掛ける事を意味する。そんな力のある国はマゼラン帝国くらいだろう。
(マゼラン帝国もバカじゃない。うちとの全面戦争は避けたいはずだ。では、どこの国が…。)
サラがアヴェスター公国の首都に到着すると、そこには異様な光景が広がっていた。
アヴェスター軍の魔導師数十名と対峙するのは、巨大な人影。鎖鎌のような武器をひと振りするとアヴェスター軍の戦士の首がポンと飛び跳ねた。
「な!なんだ!あの化物は!」
サラは急いでアヴェスター軍の元へ駆け寄る。軍の魔導師が巨大な人影に魔法攻撃を仕掛けるが魔法攻撃が効いている気配は無い。
1人の若い女の魔導師がサラを見つけると、戦場に似合わない長い金髪をなびかせながら近づいて来た。
「サラじゃない!どうしたの?こんな所まで。」
「ヴァローナ!あの化物は何なんだ?あれはこの世の生き物なのか!?」
「ちょっとね、うちの魔導研究者達が召喚に失敗して暴走しちゃったのよ…。」
「召喚だって!?異世界からの召喚か?何を召喚したんだ!?」
ヴァローナはイタズラに舌を出して巨大な人影を見て答える。
「何って……、死神よ。」
【死神編②】
その死神の姿は巨大な黒い影のようであり、魔導師達の攻撃を受けても殆どダメージは無いように見える。
「ちょうど良い所に来たわサラ。試したい魔法があるんだけど、うちの魔導師達では足止めにもならないの。サラの魔法で死神を倒しちゃってくれない?」
「ヴァローナ…、あんな化物に俺の魔法が通用するかどうか…」
「何言ってんの!泣く子も黙るパラアテネの四将星の魔法が効かないなら誰にもあの化物は抑えられないわ。頼んだわよ、サラ!」
サラは相変わらず無茶を言う人だと思いながらも、黒炎魔法の態勢に入る。
(いずれにせよ誰かがあの死神を倒さないと行けない。俺の魔法が通じるかは分からないが、やるだけやってみるか…。)
サラの魔法は黒炎魔法。
黒い炎が巨大な球体を造り出す。
そこに風属性の魔力を注入。
球体が巨大な竜巻となり死神に襲い掛かる!
暴風に乗った黒い炎が死神を直撃する。
物凄い爆発に包まれた死神がはじめてその攻撃に反応する。
「ギャガガ…ガギャ…!!」
死神は声に成らない声を発しサラの方を睨み付ける。
「おいおい!俺の最大魔法だぞ!?効いているのか、効いていないのか!あんなのどうやって倒すんだ!?」
「十分よサラ!さすが四将星。おかげで準備は整ったわ!」
「ヴァローナ…?」
よく見ると死神の周りを囲むように円盤上の黒い輪っかが展開されていた。
(これが試したい魔法か?)
「私の一族に伝わる魔法。」
相手の意識と魔力、あらゆる能力を取り込み自身の支配下に置く禁断の魔法。
「ルーラー(絶対支配)!!」
ヴァローナが魔法を唱えると死神を取り囲んでいた黒い輪が瞬時に収束し死神を拘束する。
そして
そのまま、ヴァローナの身体に溶けるように吸収されて行く。
「な!何をしているんだ!」
サラが声を張り上げた時には、既に巨大な死神の姿はヴァローナによって吸収されていた。
ヴァローナの身体からは黒い異質な妖気が発っせられている。
少しの沈黙の後にヴァローナはようやく顔を上げた。
「成功よ、サラ。死神は退治したわ。あなたのお陰ね。」
サラには、美しいヴァローナのその瞳が少し赤み掛かっているように見えた。