2024年11月2日(土)、中野・なかのZERO小ホール。毎年春秋2回開催されているJazz Vocal House TOKYO (旧マーサ三宅ヴォーカルハウス)秋の発表会。出演する受講生は有料(1人数万円)だが、私のような観客は無料だ。13~20時頃迄3部構成で約百人(今回は81人)が1人1曲ずつ次々に歌う。

出演者は初級者からプロまで様々で、上手い人は当然参考になるし逆にそうでない人は「そうなるよねー」と共感できる。また曲も殆どがスタンダードだが私など知らない曲目も結構あって発見もあるし、逆に持ち歌や聴いたことがある曲でも「お、こんなアレンジもあるのか」と参考になる。

歌い方やリズムやテンポやエンディングなど歌唱内容もさることながら、衣装やメイクや表情や立ち居振る舞いやバンドへの指示やマイクの使い方等のステージングも、良否どちらも参考になる。つまりヴォーカリストにとっては、この数時間は丸ごと全てが参考になる“ナマの教材”なのだ。

しかもそれを最初から最後まで聴けて出入りも自由で入場無料なのである。こんな有難い勉強機会はないと思うのだが、意外にも観客席(501席)はまばらで、出番が終わった出演者や出演する知人の応援団がせいぜいそのお目当ての前後数名だけ聴いて帰ってしまう。ああ、なんと勿体ない!

私自身は“何事も本格的にやらない”主義なので自分が受講しようとは全く思わないが20年程前に受講生の大津晃子さんに教えてもらって聴きに行くようになり、最近では毎年全員聴くことにしている。「そんな、全部聴く人なんて受講生でも居ないよ」と言われるが、こんな貴重な機会は他にない。

【大津さんは第3部の先頭で「You Brought a New Kind of Love」をスインギーにそして表情豊かに歌った】

コロナ過明けで久し振りに出演したSEABIRD1金ライブ仲間の大津晃子さんは常連かつ受賞歴もあり当然素晴らしい歌唱だったし、トリを務めた井本理恵さんは歌唱からステージングまで今回も全て完璧で圧倒された。そして杖をついて登場した井上遠遊さんの”Here’s to Life“は私の心に刺さった

次回は来春だが、ヴォーカリストやjazzヴォーカルに興味ある人はこれを聴きに来ない手はないと思うのだが…。

Saigottimo