賛否両論話題満載の北京オリンピックも幕を閉じ、このあとパラリンピックが行われる。五輪は普段テレビで放送されない競技を観る良い機会でもあり、私にとってはカーリングもその一つだ。日本の女子は金メダルには届かなかったものの歴代最高位を獲得する活躍をしたこともあり、今回、何試合も真剣に観ることになった。

 

【カーリング女子日本代表 (Sportsnaviから)】

 

お陰様でカーリングという競技について私の観戦リテラシーは高まったと思う。どんな競技であれトップアスリートの活躍や成果は賞賛に値するが、今回特に感銘を受けたのはカーリング女子日本チーム(ロコ・ソラーレ)の「メンタルの強さ」、言い換えればプレッシャーがかかる中での「ストレス耐性の強さ」である。

カーリングはアルペンやノルディック、ジャンプ、スノボー、スピードスケート、フィギュア等と違って、“氷上のチェス”と言われるくらい緻密な作戦と精密なタッチが勝敗を決する。ゴルフで言えば豪快なティーショット無しでグリーン上のパター勝負、つまりプレッシャーの中でのメンタル面の影響が非常に大きいスポーツである。

 

日本カーリング協会のWebから】


そして従来、我々日本人は「メンタルが弱い」と言われ続けてきた。国を背負った五輪などで日本選手は必死の形相で戦うのだが「ここ一番」で海外の選手に勝てないというシーンを何度も見てきた。同じ立場なのに伸び伸びプレーできる姿を見て「海外の選手は日本人と違ってメンタルが強いなあ」と舌を巻いたものだ。

でも近年、若い日本人選手達が国際大会でも五輪でも伸び伸びと活躍する姿が増えてきた。若い頃から「歯を見せるな!」「ヘラヘラするな!」と言われきた我々年寄りは、「お国のため」と悲壮な決意で「必死に頑張る」べきだと思っているからか、笑顔で楽しそうに躍動している若い選手を見ると困惑してしまう事がある。

 

そして今回の日本チーム(ロコ・ソラーレ)の試合ぶりを見ていると「いいよ、いいよー」「〇〇あるかなー?」「うん!」「ナイスー!」と大きな声で明るく言葉を交わす。窮地に陥っても「さあ、どうする?どうするー?」等と楽しそうで、表情も会話も深刻にはならない。この「明るさ」はとても新鮮だと思った途端、私は気付いた。

我々は「メンタルが強い」とか「ストレス耐性(がある)」という言葉に惑わされているのだ。丁度「歯磨き」という言葉と同じで、その言葉通りに歯を磨いたりしたら歯の表面のエナメル質を損ねかねない。本来すべきことは「歯磨き」ではなく「歯と歯の間や歯と歯ぐきの間の食物カスや雑菌をブラッシングで除くこと」なのだ。

同様に「メンタルが強い」と言うと日本人の感覚では「鈍感でツラの皮が厚い」というイメージだし、「ストレス耐性」と言うと同様に「(眉間に皺を寄せて)ひたすら耐え忍ぶ力」というイメージだろう。その言葉(イメージ)が間違っているのだ!そうではなく彼女達の様に、常に「明るく」「楽しく」「ポジティブな」姿勢が重要なのだ。

我々日本人は「How toの呪縛」から抜けられず、どうしても手段や方法に着目する。だから彼女達が試合中によく会話をすることから、よく「コミュニケーション力の高さ」が賞賛されるが、そうじゃない。コミュニケーションは単に手段(How to)に過ぎない。彼女達から本当に学ぶべきは「明るさ」「ポジティブさ」という姿勢なのだ

 

Saigottimo