日本において「ジャスト・イン・タイム(Just In Time)」というと、多くのビジネスマンが想起するのは製造業において「必要なものを、必要なときに、必要なだけ生産する」というJIT生産方式の事だろう。特に有名なのはトヨタ自動車が開発した世界に冠たる「カンバン方式(トヨタ生産方式)」の事ではないだろうか。
なので「ジャスト・イン・タイム(Just In Time)を歌います」と言うと、「おお、トヨタのカンバン方式には歌まであるのか」と思われる事もあるが、いやいや、トヨタ生産方式とは全く関係なく、1956年の米ミュージカル「Bells Are Ringing」の挿入歌として作られ、多くの歌手がカバーしているジャズ・スタンダードである。
例によって原詞は歌詞専門サイトをご参照戴くとして、ナンチャッテ和訳をすると下記の様になる。Just In Timeとは「まさにそのとき」とか「ちょうど間に合った」といった意味になる。
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まさにそのとき(1956年)
(lyrics by Betty Comden and Adolph Green, music by Jule Styne)
まさにそのとき、私は貴方を見つけた
貴方と出会う前、私はずっと低迷してた
私は道に迷い、運にも見放され、
行く手は塞がれ、行く場所すらなかった
でもいまは、貴方がここに居て
私は行くべき場所も分かっている
もう何の疑いも怖れもなく、
私は自分の人生を見つけることができた
まさにそのとき、愛はやって来た、
まさにそのとき、貴方が私を見つけた
そして、貴方は私の孤独な生活を
素敵な日々に変えてくれた
(Translated by Saigottimo)
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読んで戴ければお分かりのように、これは“製造業の理想的な生産方式”などではなく、人生において得難い伴侶を得たことの喜びの歌である。“ I found you just in time”(私は貴方を見つけた)で始まり“you found me just in time”(貴方が私を見つけた)となる。人は結局、他人によって幸せになれるものなのだろうか?
製造業では、あるユニットが複数のパーツ(部品)で構成されている場合、そのユニット生産工程では、構成パーツが生産ユニット数分必要になる。しかしパーツは別々の場所で製造されロット(生産単位)も異なるので常にパーツ毎に違う数量の在庫を抱え、あるパーツが欠品するとユニットの生産自体が止まってしまう。
こうした資材調達を全体的に俯瞰してシステマティックな計画に基づいて行うMRP(資材容量計画)の様な試みは1970年代から米国で考えられ行われてきた。だが全体を統制する計画ベースではなく、現場主導で各工程ごとに工員が手書きカンバンをやり取りし、いわば手動で実現したのがトヨタの「カンバン方式」だ。
この「カンバン方式」は、各工程でパーツの在庫を一切持たずに「必要なモノを、必要な時に、必要な量だけ供給して在庫を(徹底的に減らし)抱えないという、ある意味で理想的なJIT(Just In Time)生産を実現する方式であり、欧米の識者からも高い評価を得てきた。これは日本人として、とても誇らしい事である。
ただ、この件で私が想起するのは「会議室の後片付け」だ。コの字型やロの字型にした机を教室形式に戻す際、誰も指示しないのに参加者全員が一斉に机を持ち右往左往して最終的に最適な位置に整えてしまう。これはきっと全員が日本人だから出来る芸当だと思う。私は「凄えな」と思う反面、とっても「気味が悪い」。
例えば全員がドイツ人だったら、恐らく誰かリーダー役の人が先頭かつ中央の机の位置を決め、そこから前後左右の間隔を指示してくれないと誰も動かそうとしないだろう。だってどこに置くべきか不明確なまま重い机を持ってウロウロするのは非合理的で無駄だからだ。でも結果的には日本方式の方が早い!
♪Just In Time…2010年3月28日、茅ケ崎「Hi-Hat」でのHi-Hatカルテット・ライブに客演♪ ※歌い終わった後の、ゆみりー(as)のMCが懐かしい!
Saigottimo



