一昨年ミシェル・ルグラン、昨年エンニオ・モリコーネと、相次いで映画音楽界の巨匠が亡くなった。昔の映画は、ビジネス面でも文化面でも時代への影響力は飛び抜けていた。“娯楽の王様”の座をTVそしてネットに譲った今でも“映画は総合芸術”と呼ばれるだけあって、音楽界における映画音楽の存在感は依然大きい。
映画音楽で私が真っ先に思い浮かぶのはヘンリー・マンシーニだ。彼は1961年「ムーン・リバー」、1962年「酒とバラの日々」と2年連続でアカデミー歌曲賞を受賞しているが、実は1963年「シャレード」、1964年「ディア・ハート」、1965年「スウィート・ハート・ツリー」と、5年連続して同賞にノミネートされているのだ。
映画音楽界にはジョン・バリー、ジョン・ウィリアムズなど数多の巨匠がいる中で、アカデミー歌曲賞を2年連続で受賞したのは1991~1992年のアラン・メンケン(「美女と野獣」「アラジン」)と彼しかいない。特に映画産業がエンターテイメント界の王座に君臨していた1960年代前半は、まさにマンシーニの絶頂期だったと言えよう。
「ムーン・リバー」も「酒とバラの日々」も今やスタンダードとしてよく演奏されており私もレパートリーにしているので、ここでは敢えて「スウィート・ハート・ツリー(The Sweet Heart Tree)」をご紹介したい。この曲は1965年のコメディ映画「グレートレース」の中でナタリー・ウッドがギターを抱えながら歌った美しい曲である。
映画「グレートレース」はトニー・カーチス、ジャック・レモンと一流俳優が主演しているものの、内容はアニメ「チキチキマシン猛レース」の実写版といったドタバタ喜劇。刑事コロンボで当たる前のピーター・フォークも出ている。その中でナタリー・ウッドがほぼアカペラで歌ったこの曲は無駄に美しく、どこか浮いていた印象だった。
私はこの曲を根市タカオさん(wb)に教えて戴いたと言ってもいい。根市さんのジャズのCDに収録されていたこの曲を聴いた途端、中高時代の親友と一緒に映画館で観た上記のシーンを鮮明に想い出した。以来、私はレパートリーとして歌わせて戴いているが、もっともっと知られてよい“隠れた名曲”ではないだろうか。
とはいえ、アカデミー賞ノミネート曲なので様々なカバーも存在している。TV番組でヘンリー・マンシーニとトークをして彼のピアノでこの歌を歌うパティ・ペイジ盤、軽快なボビー・ダーリン盤、重厚なジョニー・マティス盤、そして男性コーラスのフォー・トップス盤をご紹介しておこう。
因みに「刑事コロンボ」のテーマ曲も、「ピンク・パンサー」のテーマ曲も、あのヘンリー・マンシーニの作曲だ。また、歌詞がないので歌うことは出来ないが、「ピーター・ガン」のテーマ曲は最高にカッコイイ!きっと誰もがどこかで聞いたことがあるだろう。この曲はいつかビッグバンドのナマ演奏で聴いてみたいと思う1曲である。
♪The Sweet Heart Tree …2021年3月12日自宅にてハーモニカとアカペラ♪
Saigottimo





