急いで、家に帰り自国用の冬物と自分の荷作りに追われる。
眠れない。
薬を飲んで、少しでも睡眠をとるようにした。
私は、今倒れられない。
朝4時に起き、会社の人が五時に迎えに来てくれた。
病院まで送って頂き、家を任せるメイドさんや他の人達のお給料や鍵のお願いをした。
救急車が入ってきた。
物々しい機材と医師達、ストレッチャーに横たわる旦那さん。
自分で震えているのがわかる。気力だけで立っている。
しかし、両手を腰にあて、前かがみの体制しか取れない。
胃が収縮してる。
会計を終え救急車が出発する。
空港は別ゲートで入り、車ごとコンテナー状のものに入り、リフトされ最後尾の出入り口に着く。
最後方の席7~8席をストレッチャー用に作られている。
その横、通路を挟んで縦に私、医師、医師と座る。
私の席からは振り向かないと旦那さんが見えない。
危険を冒してでも出た賭けの、「50分」の始まりだ。
機長アナウンスは医師の指示通りの高度を説明していた。
医師が動く度に、動揺する私。
そのつど、「大丈夫」と説明してくださる。
まんじりともしない時間でも、確実に過ぎていく。
バンコクに到着!!!
無事だ!!!
私は、一般乗客と一緒に空港からで、一人で病院に向かう。
以前にも来た事のある空港だが、その時は遊びに来た。
同じ景色が自分の精神状態によって、全く違って見える。
これからは、旅行に浮かれて「はしゃぎすぎ」てはいけない事を学んだ。
救急車で到着した旦那さんはそのままICUへ。
たまたま他の東南アジア国に赴任になっている義弟が前日からバンコク入りし、私たちを待ってくれていた。
賭けに勝って、無事に到着したことにアドレナリンが出まくっていたのだろう。
義弟に会えて、救世主に見え、気分は大分高揚気味だ。
とにかく無事についた事が嬉しくて仕方なかった。
しかし残念ながら、ベトナムとタイの医療状態の違いをまざまざと見せ付けられた。
タイで最高クラスの病院の一つなのだろう。
一般の病院はわからない。
しかし、ベトナムのICUとは違う。
なんせ、私が旦那さんの状態を確認するため電話をしたら、
「まだ、生きてる」
という返事しか貰えなかったのだから・・・・・・
外国語を話す専門スタッフを見つけるのは大変なのだろう。
しかし、インターナショナルと謳われていたので、もう少し期待していたのに。
とにかく、これからはバンコクでの日々が始まる。