問題を見て思ったこと![]()
まず,登場人物が出てこないため,誰の権利が制約されているとするか困った。
問題文が「憲法21条に照らして」としていることから,未成年者(被害者)が有する裸写真を送る自由(表現の自由)とすべきか,加害者の有する画像を送らせてそれを観る自由(知る権利)にするか迷った。しかし,問題文に記載されている刑法や児ポ法が加害者側を罰することに重きを置いていることに着目して,加害者側の権利のみを書いた。
問題文が「憲法21条」というように1項に限定していないことから,2項の通信の秘密も問題になるかとも考えたが,そもそも通信の秘密についてこれまで検討したこともなかったため,その筋はないと思い除外した。
問題文が「どのような問題が生ずるか」と聞いてたため,なるべく問題提起として「〜が問題となる」と書くように心がけた。
答案![]()
1 児童ポルノに当たる画像を送信するよう未成年者に対して求める行為を処罰する法律(以下,法)が,未成年者に自画撮り写真を送らせてこれを観る自由を侵害し,憲法(以下,略)21条1項に反し違憲ではないか。
2 まず,かかる自由が憲法上保障されるかが問題となる。
(1) 表現の自由は,表現によって自己の人格形成に役立つという価値(自己実現の価値)と表現によって政治的意思形成に資するという価値(自己統治の価値)を有する。そして,情報の受け手と送り手が固定化されている現代社会においては,上記の価値を実現するために受け手の側から21条1項を再構成する必要性がある。そこで,知る権利も21条1項で保障されると考える。
(2) そして,未成年者に自画撮り写真を送らせてこれを観る自由も知る権利として保障される。
3 もっとも,本問で対象となっているのは,児童ポルノに当たる画像という性的表現である。そこで、性的表現も表現の自由で保障されるかが問題となる。
この点,性的表現は,上記の自己実現及び自己統治の価値が希薄であるため保障されないとする見解もある。。しかし,性的表現か否かは判別が困難であるし,内容に着目した規制といえるため萎縮効果が大きい。そこで,性的表現も21条1項の保障の対象になると考える。
したがって,未成年者に自画撮り写真を送らせてこれを観る自由も知る権利として保障される。
4 そして,画像を送ることを禁止することで,それを観ることができなくなるため,法は,上記自由に対して制約をしている。
5 では,かかる制約は正当化されるか。どのような審査基準で審査すべきかが問題となる。
(1) 権利の重要性について観ると,性的表現は,確かに自己統治の価値が希薄であるが,これを観るものに娯楽を与えるという点で一定の価値がある。したがって,ある程度重要な権利である。
また,規制態様については,ポルノ画像を送らせること自体を規制しているため事前かつ内容規制である。もっとも,「自画撮り被害」が年々増加していることからすれば,かかる規制は未成年の性犯罪被害を防止するために行われる間接的な制約といえる。
以上から,ある程度重要な権利が強いとは言えない態様で制約されているたえめ,合憲か否かは比較的緩い基準で審査すべきである。具体的には規制目的が重要で,規制手段に必要性があり,かつ過度ではない場合には合憲と解する。
(2) 法が,自画撮り被害が増加する傾向にあり,児童ポルノ被害の約4割を占めるほどになっているために制定された経緯からすると,法の目的は,未成年者の性的被害を未然に防止することである。かかる目的は重要である。
手段についてみる。この点,刑法での処理も可能であるが,未成年者が害悪の告知により画像を送信することが多いと考えられるため,脅迫・強要罪での処理がで不可能である。また,法の目的からすれば,画像を送らせてそれを観る行為を取り締まる必要があるので,画像を入手しないと成立しない児童ポルノ製造法では実効性に欠ける。そして,被害者と加害者が面識ないケースがほとんどであるところ,未成年者は,面識がないからこそ画像を送っても悪用されないであろうと簡単に考えてしまうことが考えられるので,送る行為自体を禁止するという手段に必要性がある。
また,インターネットが発達した近年,ポルノ画像は世界中に瞬時に公開されてしまうため,性的被害は被害者を長期間苦しめる重大なものである。したがって,過度でもない。
6 以上より,法は合憲である。
以上
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