限りある経営資源をどう効率よく活用するかは、経営者にとって悩ましい問題です。経済産業省は中小企業に対するさまざまな支援策を公表しています。それをふまえて中小企業がどのようにして自力で販路を開拓し拡大していくかについて解説します。

頑張る中小企業を応援するために国が示す販路拡大施策とは

 国際情勢の悪化に伴い、物価上昇などによる不況が長期化しています。また、グローバル化の進展などで中小企業は下請けの取引だけでなく、自社で販路を開拓する必要に迫られています。このような背景のなか、自社の製品やサービスを新規市場に
展開するにはどうすればよいのでしょうか。
 中小企業のなかには優れた新製品や新技術・新サービスを備えながら、販路の開拓に苦心しているケースは非常に多くあります。その理由としては、「新規性が高いがゆえに具体的な市場が顕在化していない」「さらに広域的な販路開拓を行いたいが
手がかりがない」などが挙げられます。経営資源に限りがある中小企業にとって、自社単独で販路開拓を行うのは至難の業といえます。
 そこで、このような悩みを抱える中小企業が活躍できるよう、国はさまざまな施策を打ち出しています。そのなかの一つである『販路拡大施策』は、主な施策として、独立行政法人中小企業基盤整備機構による『販路開拓コーディネート事業』を行っています。これは販路開拓に苦心する中小企業などを対象に、豊富な販路ネットワークを持つ販路開拓コーディネーターを中心として「ブラッシュアップ支援「テストマーケティング支援(市場へのアプローチの手がかりをつかむこと)」「フォローアップ支援」を行う事業です。   
 具体的には、マーケティング企画立案支援を行い、想定される市場を分析し販路を絞り込みます。そして、想定市場企業への同行訪問によるテストマーケティングを行い、フィードバックします。最終的に自社単独で販路開拓を実施できるよう、支援するというわけです。

人的なリソースが少ない企業では専門家への相談やIT活用を検討

 販路拡大費用を補助する施策としては『小規模事業者持続化補助金』があります。こちらは、商工会や商工会議所の支援を受けながら、持続的な経営に向けた経営計画を作成し、販路開拓や生産性向上に取り組む小規模事業者に対して、その費用の
一部を補助する制度です。具体的には、各地の商工会議所で行われている販路開拓・拡大にあたり、たとえば東京商工会議所では大手バイヤー企業の購買担当者と直接商談する機会を設けています。
 このほかにも、中小企業診断士などの専門家に相談することも一案です。また、人手不足により販路開拓に踏み出せない場合は、生産性をあげるためにITの活用を検討してもよいでしょう。
 販路開拓を行うには、広範囲において自社製品やサービスを展開できるようにすることが大切です。
その際、どのポジションに経営資源を投入すれば他社と差別化できるのかを見極めることが重要といえます。政府による支援や補助金など外部資源を上手に活用しながら、自社製品やサービスの販路開拓をすすめていきましょう。