会社の目標を達成するためには、経営計画が欠かせません。

一般的に、経営計画は起業の際に立てると、その後の活動がしやすくなるといわれていますが、決定した計画内容を都度アップデートして
いくことが大切です。今回は、経営計画を見直すタイミングやその重要性などについて説明します。 

会社の外部環境に変化が起きたら中期経営計画を変更する

 経営計画とは、会社における目標を達成するための行動計画のことです。

通常は、経営計画書に落とし込み、従業員と共有したうえで運用していきます。 
 
経営計画は、会社にとって事業の指針であり、将来のシミュレーションでもあります。そのため、自社の課題や解決方法、人材やコスト、戦略や数値目標などを
交えながら、策定する必要があります。取り組むべことが明確になると従業員が一つにまとまり、目標に向かって具体的な行動がとりやすくなります。
 一方で、起業した当初に策定してから経営計画がアップデートされず、形骸化している会社も少なくありません。経営計画は5~10年の長期スパンで会社の未来を考える長期経営計画と、3~5年スパンの中期経営計画、半年~1年スパンの短期経営計画があります。特に中期経営計画に関しては、定期的な見直しを行う必要があります。
 市場にもよりますが、法改正や業界の浮き沈みなど、外部環境の変化によって自社の置かれている状況が変われば、現状の経営計画では通用しなくなるからです。

目標達成が困難だと予測できた時点で、計画の進行が途中であっても戦略や予算の計画を組み直す必要があります。現在の経営計画を運用していても、机上の空論となってしまえば意味を失ってしまいます。
 また、従業員の直接の指針となる短期経営計画は、中期経営計画に基づいて策定されるため、中期経営計画が実現不可能なものだと短期経営計画にも狂いが生じます。
 近年では新型コロナウイルス感染症拡大やウクライナ危機など、予想もしなかった外部環境の変化によって、大幅な経営計画の修正を強いられるケースも増えています。コロナ禍では、中期経営計画の変更を強いられた企業が前年比で7割も増加しました。

社内のさまざまな変化によって目標達成が困難になってしまったら 

 外部環境の変化は、競合他社の成長や新興企業の市場への参入、消費者ニーズの変質も考えられます。
常にどのような変化が起きているのか把握しておくことが重要です。また、外部環境の変化のほか、社内の変化に応じて中期経営計画を変更しなければならないことがあります。たとえば、経営陣に異動があった場合など、考え方や理念にすれ違いが起きている可能性があるため、改めて中期経営計画を確認する必要があるでしょう。さらに、想定外の支出で設定した目標が達成できないこともあります。老朽化によって事
業所の修繕が必要になったり、新たな設備投資が必要になったりと、思わぬ支出は会社経営にはつきものです。売上高や利益を示す損益計画や、お金の出入りを示す収支計画は、経営計画のコアになる部分でもあるので、資金繰りに変化が生じた場合には、すぐに中期経営計画に反映させることが大切です。
 ほかにも、経営状況や業績の悪化、事業内容の変更、新規事業の立ち上げなどのタイミングでも中期経営計画の見直しは必要です。見直しの方法については、
既存の計画の一部を修正する方法もありますが、外部環境および内部環境が大きく変化した場合は、一から策定し直すことになります。
 上場企業における中期経営計画は、株主などの外部に公開するものでもあるため、専門家なども交えながら慎重に策定されますが、業績や経済の情勢などからしばしば見直されています。中期経営計画は、金融機関からの融資を受けたり、対外的な信用を担保したりするためのものでもあります。見直しを行わないと、信用を失うことにもつながりかねません。計画に狂いなく、順調に進んでいるのかを常に気にして、必要があれば計画を組み直していきましょう。