妻は、俺に内緒で、

80万円を引き出していた。








・この80万円ってなんだ?





「住民税と出産費用とか。」


と、少しうろたえながら、

妻は、返答してきた。





(住民税と出産費用で80万?

 多すぎるだろ?)


・いくらなんでも

 こんな大金を無断でおろすか?

 




「……。」






ん?

なんで何も言わないんだ?







・そういえば…。

 お前の通帳って見たことないな。

 俺の通帳は、全部預けてるよな?

 お前のはどこだ?

 見せてみろ。





「……。

 私の通帳はない。」






(通帳が無い?

 確かに家で見たことないな…。

 家に無いってことは、

 実家に置いてあるってことか?

 なぜ実家に…?)


・通帳がないはず無いだろ。

 今度、見せろよ。




「…。探しておく…。」










そう、これは、前の日のことだった。





もしかして…。

妻は、貯金を勝手に引き出して、

それが俺にばれたから、

家を出て行ったんじゃないのか?



前から、コツコツと自分の通帳に、

貯金を移していたんじゃないのか?



その通帳を見せられないから、

逃げ出したんじゃないのか?



その金があるから、

長距離タクシーにも、

平気で乗れるんじゃないのか?






俺の頭の中では、

一瞬のうちに目まぐるしく、

いろんな考えが浮かんできた。






そこへ親父と妻の父親も来た。





親父から妻の父親へ会釈をして、


「それでは連絡を待っています。」


と、伝えて、それぞれ家路についた。






そのときの妻の母親は、

おもいっきり無愛想だった。


返事もしなかった。



やはり妻の母親は、

かなり変な人間だ……。