妻の母親は、
健常者であるにも関わらず、
妊婦の患者さんに、
道をあけるという考えがなく、
妊婦の患者さんが、
健常者をよけて通れば良い。
と、考えているんだろうか…?
ましてや、自分の娘が、
最近まで同じ妊婦だったのにも関わらず、
しかも、この病院の妊婦さんは、
患者さんでもあるんだ。
俺には、妻の母親の神経が、
全く理解できなかった。
俺は、妻の母親に、
「患者さんにとって、
最短コースをあけるもんでしょう。」
と言ったけど、
妻の母親は、
顔をそむけて、返事をしなかった…。
そこへ妻の一言が、
「そういうところがイヤなの!」
お前まで逆ギレか…。
面白いじゃないか!
「そうか、でもな、
お前の母親が非常識だって、
お前は、分かってるんだろうが!
実際、お前は、俺の指示どおりに、
患者さんに道をあけてるだろうが。」
「………。」
妻は、言葉に詰まっていたようだ。
俺は、話を続けた。
「俺は、お前の親とも、
真剣に付き合うために話してるんだ。
俺は、俺の親とも、お前の親とも、
同じようにしてるだけだ!」
妻の母親に向って、
「お義母さんは分からないかな?」
妻の母親は、
「分からない。娘の気持ちが全てです!」
ん?
娘の気持ち?
何の話をしてるんだ?
意味が分からないぞ。
「違うでしょ。
今は子どもが全てだ!」
やっぱり全く話にならない……。
そうだ。
親父が妻の父親と話しているんだった。
ナースステーション前の受付のところで、
おふくろが待っていたから、
俺は、おふくろと一緒に、
エレベーターに乗った。
妻と妻の母親も一緒に乗ってきた。
妻たちは、妻の母親の車へ向かっていったから、
俺は、その後を追って妻たちに話しかけた。
「いつも母の腰を気に掛けてくれていますよね?
俺は、親父たちを探してくるから、
母を車で休ませて下さい。」
こう言えば、断れないはずだ。
おふくろを置いてきたのは、
妻たちを逃がさないためだ。
おふくろが一緒にいることで、
下手な作戦も練れないだろう。
俺は、母を妻の母親の車に乗せて、
親父たちのいるであろう
病院の喫茶店へ向かった。