俺は、赤ちゃんが髄膜炎で入院している
病院へ向かった。
妻と一緒に搾乳して、
冷凍しておいた母乳を持って行った。
その量は、ほんの数滴分だけだったけど、
それでも、少しだけでも、
赤ちゃんに飲ませあげたかったんだ。
俺の両親も、赤ちゃんが心配で、
一緒に行くことになった。
かすかだったけど、
妻がお見舞いにくらいは、
来ているんじゃないか?
って、思っていた俺の予想は…、
見事に外れた……。
決められた面会時間、
赤ちゃんと一緒にいた。
でも、どうしても、
突然妻が出て行った事実が
頭から消えなかった。
しかも、全く理由も分からない
わけ分からない状態だったから、
どうしようもなく
不安な気持ちだった…。
俺は、そんな気持ちが、
赤ちゃんに伝わってしまったら、
髄膜炎の症状が悪化するんじゃないか?
って、妙な考えも出てきていた…。
1回目の面会時間が終わろうとしていたけど、
結局、妻は現れなかった…。
2回目の面会時間が来たから、
再び、俺は、赤ちゃんの面会に行った。
やはり、妻は、来なかった……。
何で赤ちゃんの面会に来てあげないんだ?
赤ちゃんが、たった一人で、
髄膜炎と闘っているのに、
母親がお見舞いに来ないなんて、
どう考えても、おかしいだろ!
許されないことだろ!
俺は、妻が、メモ用紙なんかに書き残して、
入院中の赤ちゃんのお見舞いにも来なくて、
突然、家を出て行った妻が理解できなかったし、
とにかく許せなかった。
2回目の面会時間が終わるころ、
俺は、看護師さんへ話をした。
「明日、先生に大切な話があるって
伝えておいて下さい。」
妻は、赤ちゃんのお見舞いに来なかったんだ…。
そうなれば、ちゃんと医者には、
事情を話さなければならない……。
俺は、翌日、医者に話す内容を考えながら、
自宅に帰った。
そして、22時過ぎのことだった……。
妻の母親から、自宅に電話があった………。