俺は、妻の両親に対して、
本題の話を切り出した。
「赤ちゃんが退院後、
妻の実家へ預けずに、自宅で育てる。
なぜなら、妻の実家は、
猫がいたままだったし、
妻の姉の子どもが、カブトムシとかの昆虫を
赤ちゃんの布団の上で遊ばせたりしていたし、
病み上がりの赤ちゃんを
安心して預けられないから。」
「絶対に妻の実家の不衛生な状況が、
赤ちゃんの髄膜炎の原因だ。」
とまでは、言えるか分からなかったけど、
どうしても、あの環境には、
赤ちゃんを預けられない…。
妻からも、
「今後の通院の件もあるし、
自宅で育てたい。」
と切り出していた。
妻の両親からしたら、
気に入らなかっただろうけど、
赤ちゃんが入院した直後の、
妻の母親の言葉を考えれば、
何も反論できないはずだ。
案の定、妻の両親は、
何も文句を言わなかった。
それから、もう一つだけ言ったことがある。
俺は、妻を極力、休ませると決めていたから、
家事をやらせないようにしていた。
難産だったし、
赤ちゃんの入院で参っているんだから、
俺としては、当然の気遣いだった。
そこで、俺のおふくろと、妻の母親に
家事の手伝いをお願いしたかった。
田舎から出てきているおふくろに、
妻からは、なかなか頼みづらいこともあるはずだ。
例えば、妻の下着の洗濯。
この程度ならば、
自分で洗えるのかもしれないけど、
妻の母親にお願いしたかった。
だから、俺は、両家の父親に対して、
「両家の母親の力を、しばらく借りたい。」
とお願いした。
両家の両親は、
快く俺の頼みを聞き入れてくれた。
これで、妻は、赤ちゃんの面会に、
心をすべて捧げることができるはずだ。
これで俺たちは、
赤ちゃんの髄膜炎が快復することだけを、
考えられるようになったんだ。
俺は、両家の両親に、心から感謝した。
しかし、戦いは始まろうとしていた………。