俺と妻は、妻の実家に着いたら、
すぐに荷物をまとめて、
妻と一緒に自宅へ戻った。
俺は、赤ちゃんが入院した時点で、
すぐに田舎の両親に連絡をしていた。
次の日には、俺の両親が、
赤ちゃんの見舞いに来ることになった。
妻と自宅に帰る途中、
妻を責めるようなことは、
全く言わなかった。
翌日には、俺の両親が、
赤ちゃんのお見舞いに、
田舎から出てくることだけ、
伝えておいた。
帰宅した俺と妻は、
翌日からの赤ちゃんの看病生活に備えて、
とにかく身体を休めることにした…。
そうは言っても、
どうしても不安な気持ちは消えない……。
細菌性の髄膜炎だったら、どうしよう……。
俺は、バルコニーに出て、
神様に祈った。
「全てを失っても構わないから、
赤ちゃんを助けて下さい。」
無神論者のくせに、
都合が良いかもしれないけど、
俺には祈ることしかできなかった………。
その晩、どういうつもりか分からないけど、
妻は、夜の夫婦生活を求めてきた……。
俺は、とてもじゃないけど、
それに応じることができなかった…。
そんな気分にはなれなかった…。
ただ、妻も不安なんだろうと思ったから、
しっかりと抱きしめてあげた。
そのときの俺には、
そうすることだけで精一杯だった……。
ようやく妻が寝付いたころ、
やっぱり俺は、
どうしても不安が強くなってきて、
またバルコニーに出て、
夜空を見上げて祈っていた…。
そのときの俺は、
本当に全てを失っても構わないから、
とにかく赤ちゃんだけは、
助けてもらいたいって思っていた。
俺の人生で、
あんなに真剣に祈ったことはなかった。
妻の実家
妻の母親
妻自身
納得できないことや、
強い嫌悪感があったけど、
今は……。
ただただ赤ちゃんの髄膜炎の検査結果が、
陰性であることだけを、
祈るより他になかった………。