マンションへ引っ越してから


また新しい生活が始まった。





引っ越して間もなく、


俺は、転職した会社で働き始めた。




入社してしばらくは、本社勤務となっていたので、


通勤に時間がかかって、ちょっと苦痛だった…。



バス停まで3分ほど歩き、


駅までバスで行き、


そこからは、電車での通勤。





でも、帰りは早かったので、


一般的な父親の生活ができた。





しばらくして、約束どおり、


勤務先は、近くのオフィスへ移った。




それでも、バスと電車の通勤に変わりはなかった。





まさに、絵に描いたように


一般的なサラリーマンだった。




年収は、平均よりもかなり高かったので、


割とゆとりのあるサラリーマンかも…。





休日は、近所の公園や海辺へ行って、


子どもと一緒に遊んで過ごした。





妻は、出産を控えていたので、


子どもは、いつも俺が遊んであげていた。





俺の血が流れていない子どもだったけど、


妻も安心して、俺に任せていたようだった。




俺も、当たり前のように、


もはや完全に自分の子どもとして接していた。





怒るときは怒ったし、


褒めるときは褒めたし、


遊ぶときは遊んだ。






子どもは、新しい小学校で


早くも友だちができたし、

その友だちを家に連れてきて遊んだり、


近くの公園で遊んでいた。






そうやって、穏やかな日々が流れていた。






そのころ、俺は、


俺を引き抜いてくれた上司から、

他にも優秀な人材を探すように


密かに頼まれていたので、

前の会社の部下にモーションを掛けていた。





ある日、その中の一人と飲みに行って、


直接話をしたことがあった。




その男は、俺が声をかけることを待っていてくれたようで、


スムーズに話がまとまった。




そのまま、その男の家へ


遊び(飲み直し)に行くことになった。


もう、かなり遅い時間になっていたから、


そのまま泊まることになるので、

妻に電話をしたら……。





「女と一緒なんじゃないの?」


と、あからさまに疑いを持たれていた…。




すかさず、部下だった男に電話を代わって、


事情を説明してもらい、


ようやく誤解が解けた…。




「始発で帰るから。」


「帰ってくるの、遅くていいから。」


「子どもと遊ぶから、始発で帰るよ。」






翌朝、始発で帰ると、


玄関にアームロックが掛けられていた………。




これじゃ、入れないじゃん!