ある日、俺は出張していた。
飛行機に乗らなければ帰ってこられない所にいた。
その日は帰れない予定になっていた。
だから、その日、彼女は、絶対に俺と会うことはないはずだった。
ちょっとしたサプライズのつもりだった。
いま思えば、やめておけば知らずに済んだことだと思う。
確かに、よくある話だろう。
俺は、仕事を早めに切り上げて、最終便に乗って帰ってきた。
帰宅したころには、もう終電もない時間だった。
そう、俺は、深夜の高速を飛ばして、彼女の家に向かったんだ。
到着し、車を停め、彼女の部屋へ向かうと、男が彼女と出てきた。
真っ暗だったから、男の顔は見えなかった。
彼女は、俺に気づかなかったようだ。
そのまま、彼女は、その男を車に乗せて出掛けていった。
俺は頭が真っ白になり、その場から動けなかった。
しばらくして、ようやく我に帰った。
俺は、彼女のPHSに電話したが、彼女は出なかった…。
少し経ってから、彼女が電話をしてきた。
「今、どこ?」
「…。お姉ちゃんと一緒にいる。」
「……。今、近くのコンビニにいるから来てよ。」
「……。わかった…。」
俺は、感情を押し殺して、彼女を待った。
彼女は、嘘をつき通そうとしたが、当然、押し問答になった。
最終的に、彼女は事実を認めて謝り、事情を説明し始めた。
彼女によると、その男とは、「元夫」らしい…。
その「元夫」が、「子どもに会わせろ」と言ってきたので、
どうしても断り切れず、子どもの寝顔だけを見させて、
わざわざ「元夫」を送ってきたと言う……。
俺には、彼女の話を、どうしても信じられなかった…。
でも、結婚したこともなければ、離婚したこともなく、
子どものいない俺には、彼女の話を絶対に嘘だと、
決めつけることもできなかった。
いま思えば、あの時に終わらせていれば、
その後の人生も大きく変わっていたのだろう。
でも、結局、俺は彼女との交際を続けることにしてしまった……。