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遥彼方のブログ

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「下を向くな。上を向いて歩け」

 こんなどんよりとした梅雨の空を見上げては、あいつの事を思う。

「でも、上を向いて歩いてたら何かにぶつかるじゃんか。蹴つまずくかもしれないし」

 そんな可愛い気の無い事を言ったのを覚えてる。

「-だいたい、こんな曇り空なんて見上げてたら、落ち込むばかりだ」

 その日も、空は厚く重い雲に覆われていて、見ていて癒しや活力を与えられるどころか、零れない筈の涙も流れ出してきそうだった。

「でも、俯きながら歩いているよりは、よっぽど精神が健康だろう」

 ニヤリと笑った横顔があまりに真っ直ぐで、そして眩しくて、俺は悔し紛れに吐き捨てたんだ。
「…道は、前を見て歩くものじゃないか」

 隣のあいつはキョトンと目を開いて俺の顔を見ると、直ぐにガハハと豪快に笑った。「確かにそうだ」とばかりに。

 悔し紛れの悪態も、そんな風に笑い飛ばしてくれる。まだまだガキだった俺の、甘えにも似た小さな反抗を全て包み込んでくれる。そんな馬鹿なアイツが、俺は本当に好きだった。

ああ、あの後どんな話をしたんだっけ。

過ぎ去った過去は遠すぎて、また朧げで。厚い雲の裾から零れた雨粒を見つけた俺は、それを肴に、今日もまた酒を飲む。

(…ああ、ロクでも無い。こんな日は、どうも感傷的になって、らしくない)

 グラスの中にポツリと落ちた雨粒が、酒の湖畔に波紋を起こす。それに密かに微笑むと、俺は波ごとゴクリと飲み干した。

 -アメアメフレフレ

 こんな小雨でも、記憶の泉に漣は起きるだろうか。

(なあ翔。俺は今、しゃんと上を向いて歩けているか?)

 記憶の片隅に眠る探し物。

「雨の日は前が霞んで歩きにくい。でもな、上を向いて歩いても、どうしようもなく雨が目に滲みるんだ」

 下を向いて自嘲気味に笑う俺の耳には、静かな雨垂れの音だけが響いていた。


えー、私なんとなく小説なんてものを書いておりますので、とりあえずアップしてみました




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