ロシア軍によるウクライナ侵攻に抗議し、1日も早く停戦し、ウクライナに平和が戻ることを願います。
また、ロシアによる核兵器使用の脅し、原発への攻撃は、世界を危険にさらす暴挙であり、決して許されるものではないことを訴えます。
2022年は、再起の年です。
総選挙での野党共闘の成果と不十分だった点をもう一度確認し、参議院選挙に向けて再出発し、深刻な医療従事者・介護従事者不足に具体的な対策を講じ、不合理な病床削減をストップさせ、憲法改悪を阻止し、差別やハラスメントのない職場をつくるため、行動し、声を上げることを提起します。
なかなかまとまった時間が取れず、順番が前後してしまいましたが、2月28日から3月1日、ビキニデー集会にオンライン参加しました。
まず1日目から、概要をまとめます。
1日目は、日本原水協全国集会として開催されました。
主催者あいさつは、全労連議長の小畑雅子さんが行ないました。小畑さんは、ロシア軍によるウクライナ侵攻に抗議し、撤退を求めると述べました。これは国連憲章に反する行為であり、国際的に受け入れられないと述べました。プーチン大統領は「ロシアは核保有国」と威嚇していますが、核兵器がもたらすのは破滅的な結末であると指摘しました。核兵器禁止条約が発効して1年が経ち、核兵器による威嚇は禁止されています。ロシア国内、世界中の「ロシアは侵略をやめよ」の声に賛同すると述べました。日本政府はロシアに断固抗議し、平和外国を求めるべきであると指摘しました。今年はNPT再検討会議、核兵器禁止条約締約国会議が行なわれる予定です。この集会は伝統を受け継ぎ、ヒロシマ・ナガサキを現在の視点から振り返り、核なき世界を実現することを求めると述べました。
続いて、安井正和日本原水協事務局長が基調報告を行ないました。
安井さんは、3・1ビキニデー集会を支え、日本原水協の理事会方針を伝えると述べました。その前にまず、ロシアによるウクライナ侵略に強く抗議すると表明しました。プーチン大統領は世界中に抗議の中でウクライナを侵略し、世界中から抗議の声が起こっており、国際世論の力で止めさせようと呼びかけました。SNSも使って抗議の声をあげることを提起しました。プーチン大統は核兵器による威嚇を行ない、軍事演習で核弾頭搭載可能なミサイルの発射訓練を実施しました。核兵器の使用がもたらすものは、大量破壊と非人道的な破滅的結末しかありません。プーチン大統領の発言は人類と世界に対する挑戦であり、絶対に許してはならないと述べました。
そして、核兵器禁止条約発効から1年が経ち、核兵器禁止条約を支持し、核兵器廃絶を求める世界の流れは、引き続き発展していると述べました。調印国は86、批准国は59となり、昨年12月の第76回国連総会は、核兵器禁止条約への参加を求める決議を賛成128、反対42、棄権16で採択しました。核兵器禁止条約を支持し、参加を求める声も、核保有国や核依存国での世論調査で6~8割に達しているそうです。この世論を背景に、ノルウェーやドイツは第1回締約国会議への参加を決めたそうです。
こうした核兵器廃絶の流れの前進に、核保有国は追い詰められています。今年1月3日、核保有5大国は、「核戦争に勝者はなく、けっして戦ってはならない」との共同声明を出し、NPT6条の核軍縮の義務にコミットメントすることを表明しました。
しかしながら、アメリカなどの核保有国の、核兵器は「究極の安全の保証」、「戦争の抑止力」とする「核抑止論」への固執は変わっておらず、それきこそが人類の生存を脅かしていることは、現在のウクライナ問題をみても明らかだと指摘しました。そして、核大国の横暴を終わらせるために、国連憲章に基づく紛争の平和的解決を求める国際世論を築き、核保有国とその同盟国に核兵器禁止条約へ参加することを求める世論と運動を大きく発展させ、核兵器禁止へと抜本的に転換させるために力を尽くすことを呼びかけました。
また、日本の岸田首相は、被爆地選出の総理大臣として「核兵器のない世界」をめざすと言いながら、実際には核兵器禁止条約への参加を求める世論に背を向けていると指摘しました。岸田政権が国連総会に提出した決議は、アメリカの意をくんで核兵器禁止条約に一言も触れず、これまでのNPT再検討会議の合意を薄め、ゆがめたもので、非核国政府から厳しい批判にさらされたそうです。日本は「米中対」、「台湾問題」などで危機を演出するアメリカの戦略に追随し、敵基地攻撃能力の保持、日米同盟の強化、軍備大増強など、アメリカとともに戦争する道に突き進むとしていると指摘しました。そのため、岸田首相は9条改憲への執念を見せ、憲法審査会を動かし、改憲発議への流れをつくろうとしていると指摘しました。アメリカの「核抑止力」への依存は、いざとなれば他国への核使用を前提にしたものであり、被爆国として絶対に許されず、日本は核兵器禁止条約を批准し、憲法9条にもとづく平和外交へ転換し、被爆国にふさわしい政治へ転換すべきだと述べました。
続いて、行動提起が行なわれました。核兵器廃絶をめぐる情勢や「核抑止力」も誤りなどを学習し、それを力に次の4つの行動に踏み出すことが提起されました。
第一に、ロシアの軍事侵略に反対し、国連憲章にもとづく紛争の平和的書行ける、核兵器全面禁止を要求する国際的な行動の強化を呼びかけ、被爆の実相を知らせる原爆パネル展や原爆の絵の展示会などに取り組むことです。
第二に、「日本政府に核兵器禁止条約への署名・批准を求める署名」に取り組み、幅広い共同を広げて国民的な運動に発展させることです。4月22日に第一次共同提出行動を計画しているとのことでした。
第三に、広島の「黒い雨」被害者、長崎の被爆体験者全員に、被爆者健康手帳の交付を求めるたたかい、高知のビキニ被災元船員の労災訴訟のたたかいを支援することです。
第四に、原水爆禁止国民平和大行進を成功させるため、すべての市区町村で創意・工夫した行動を行なうことです。
こうした取り組みの一つひとつを成功させ、世界大会の代表派遣につなげることが呼びかけられました。
次に、海外からのメッセージが紹介されましたが、これは十分にメモを取ることができなかったので割愛致します。
続いて、第1部のパネル討論が行なわれました。
一人目として、アメリカの平和・軍縮・共通安全保障キャンペーンのジョセフ・ガーソンさんが発言しました。ガーソンさんは、まず、ロシアのウクライナ侵攻により、私たちは核戦争に発展しかねない大きな危険に直面していると指摘しました。ロシアの侵攻に抗議し、即時休戦と包括的な共通安全保障交渉の誓約が必要だと述べました。
プーチンは、欧州安全保障協力機構とNATOが、ロシアとの間に結んだ「他国の不利益の上に自国の安全保障を強化しない」という基本文書の誓約に違反したとして、アメリカとNATOを非難しており、アメリカは「たとえ1センチでもNATOをロシア国境に近づけることはない」と約束したにもかかわらず、ロシアの歴史を無視してそれを破っていると指摘しました。そして、バイデンがNATO加盟の扉を開いておくことに固執したことも、戦争を助長した要因の一つだと指摘しました。
プーチンが軍事脅迫を行なったことは外交を生み出し、プーチンを嫌っていたマクフォール元駐ロ米大使でさえ「大きな取り引き」を呼びかけていたそうです。しかし今、私たちはより大規模で長期的な戦争の危機に直面していると指摘しました。
ロシア侵攻により、ウクライナがソ連の核兵器を放棄しなければ侵略されなかったはずだという考え方が生まれているそうです。また、NATOの結束が再び活性化しており、スウェーデンとフィンランドがNATOに接近しつつあり、ノルウェーにはあ新たな軍事基地ができ、東欧にはさらに米軍とNATO軍が配置されると指摘しました。アメリカの帝国主義的傲慢さは異常なものであり、バイデン大統領がロシアのウクライナ侵攻を予測する一方で、ブリンケン国務長官はクアッドを強化し、中国海軍が米第7艦隊を出し抜くことがないように動いたそうです。サリバン国家安全保障問題補佐官が全てのアメリカ人にウクライナ脱出を促している間に、ホワイトハウスは包括的な帝国主義的インド太平洋安全保障戦略を発表したそうです。この安全保障戦略は、「アメリカはインド太平洋の大国である」との脅し文句から始まり、この戦略に基づいてアメリアは新しいクアッド同盟と台湾への軍事関与を強化し、インド太平洋地域の同盟国との軍事的相互運用性の向上を目指しているそうです。また、NPT違反のオーストラリアへの原子力潜水艦提供の約束を再確認したそうです。バイデンは、オバマの「アジア太平洋基軸」戦略に基づいて、アメリカの覇権のさらなる強化を進めていると指摘しました。
とりわけ危険なのが、バイデンと日本政府が「1つの中国」政策を攻撃し、台湾を軍事的に防衛し、完全にアメリカの勢力圏内に入れることを約束していることだと指摘しました。一方、中国は、台湾を中国に再統一すると主張しているそうです。米中の戦闘機は戦艦が台湾の領海や領空で行なう挑発的な軍事「演習」は、事故や誤算につながり、破滅的な戦争を引き起こす危険があると指摘しました。
アメリカ、中国、日本の3国は、核兵器と気候の危機への対処に集中せねばならないにも関わらず、反対に軍事費を増やしており、日本の場合は既に膨大な軍事予算を2倍にすると公言していると指摘しました。そして、核保有5ヵ国は共同声明で「核戦争に勝者はない、決して戦ってはならない」と言いながら、自国兵器を近代化しており、プーチンはウクライナ侵攻を進めるために核兵器使用という脅迫を行なっています。バイデン大統領が行なった核の「先制不使用」ドクトリンへの支持発言は、バイデンが「核態勢見直し」でアメリカの核兵器依存を減らすかもしれないという希望を生みましたが、そうはならないようだということでした。今、ウクライナ戦争との絡みから、「核態勢見直し」はトランプの先制使用戦争遂行の威嚇の強化にほとんど変更がなさそうです。
新しい冷戦は、戦争や制御不能に拡大しかねない挑発的軍事作戦により、そして気候危機への対処を阻むことによって、人類の生存を脅かしていると指摘しました。日本原水協を含め広範な日本の平和運動は、世界を危機の瀬戸際から引き戻すうえで決定的な役割を果たすことのできる立場にあり、日本は軍事対立ではなく外交に力を入れることで、緊張緩和に重要な役割を果たすことができると述べました。そして、平和のために活動することを呼びかけました。
二人目として、ドイツ宥和会のマリオン・キュプカーさんが発言しました。キュプカーさんは、この重要な集会で発言の機会をいただいたことにお礼を述べました。ドイツに配備されている米国の核兵器に対する市民の抗議行動が、2022年にウィーンで開かれる核兵器禁止条約第1回締約国会議にドイツ政府がオブザーバー参加するとの決定につながったそうです。ドイツの新政権を代表するのは、緑の党の党首でもある新しい女性外務大臣のアナレーナ・ベアボックであり、彼女はノルウェー代表とともに、NATO加盟国として初めて、正式オブザーバーとして締約国会議に参加するそうです。
キュプカーさんが所属しているのは「核兵器廃絶、一緒に始めよう!」という名のドイツの全国組織であり、70以上の平和団体で構成されており、ドイツのオブザーバー参加のために長年抗議行動やロビー活動を行なって来たそうです。ドイツICANを含むキャンペーン「ビューヒェルはいたるところにある。今こそ核兵器をなくそう」とともに、キュプカーさんたちはNATOの危険な核抑止政策や、ビューヒェルドイツ空軍基地に配備されたアメリカの核兵器について、広範囲な政治議論を巻き起こしたそうです。2020年夏、著名な社会民主党の国会委員団リーダーのロルフ・ミュッツェニヒは、キュプカーさんたちへの支持を表明したそうです。力を合わせてドイツ政府に圧力をかけ、ビューヒェル基地からアメリカ核爆弾約20発を撤去させることを目指しているそうです。最終的な要求は、ドイツが核兵器禁止条約に批准し、核軍備の近代化計画をやめ、ドイツを非核化することだそうです。ドイツ政府に対する圧力は、ICANの都市・議員アピールと平和首長会議のおかげで強まっているそうです。最終的に、ドイツの核兵器禁止条約加盟が実現できるかもしれないと述べました。現在までに、180人の連邦議会議員を含む662人の国会議員がアピールに署名しているそうです。アピールは、「国会議員として、私たちは、各州がこの画期的な条約に署名し、批准することをめざして働くことを誓う。なぜなら、核兵器廃絶は高度で世界的な公益であり、すべての国民の安全と幸福の促進にとって不可欠な一歩であるからだ」と述べているそうです。合計すると137都市が、核兵器禁止条約支持のアピール、あるいは連邦政府への条約加盟の呼びかけに加わっており、これらの都市の人口は、ドイツの総人口の3分の1を占めるそうです。ドイツの731人以上の首長が、政府に核兵器禁止条約の署名・批准を呼びかけている平和首長会議に参加しているそうです。
平和キャンペーン評議会も政府の今後の動きを監視し、核兵器システムの「近代化」計画を追跡調査し、各議員に核兵器禁止条約の批准を求める議員アピールに署名するよう要請し、議員らがそれに反することをした場合は国民に警告を発しているそうです。この問題への国民の関心は高く、80~90%の国民がドイツからのアメリカの核兵器撤去と核兵器禁止条約の批准を望んでいるそうです。他組織との共同も発展させ、広い基盤を持つ組織とも共同していると述べました。
この共同の努力が教えているのは、合意した共通の目標に向かって力を合わせれば、私たちの力は各段に強まるということだと述べました。ロビー活動と並行して、核兵器のある基地で毎年抗議行動を行なっているそうです。毎年数十の団体がビューヒェルに集まり、「戦争はここから始まる」と抗議行動を行なっているそうです。多くのグループは、ロビー活動や教育活動のほかに、非暴力直接行動を通じて、大量破壊の計画と準備を禁止する国際法の順守を求めるべきだと考えているそうです。いくつかの基地「突入」行動は裁判にまで発展し、50件近くの裁判が行なわれているそうです。これまでのところ憲法裁判所は控訴人のうち1人の聴聞さえも拒否しているそうです。国際法はドイツの法律より優位にあるにもかかわらず、下級裁判所は何度も、国際法を認める、あるいは適用するのを拒否しているそうです。2021年5月、憲法裁判所は「訴えを受理することはできない」と述べるにとどまり、訴え棄却の理由すら明らかにしなかったそうです。そこで、キュプカーさんたちは、フランスのストラスブールにある欧州人権裁判所に訴えを起こしたそうです。
昨年9月5日、ビューヒェル空軍基地に沿って800人が2キロの「人間の鎖」をつくったそうです。全国の運動が最終的に功を奏し、ドイツ新政権が来る締約国会議に正式なオブザーバーを送ることにつながったと思うと述べました。そして、自分たちの主張が各国指導者に届き、核兵器廃絶の緊急な必要性について理解を深める役に立つことを期待していると述べました。
三人目として、韓国の韓神大学統一平和政策研究院上級研究員のイ・ジュンキュさんが発言しました。
イさんは、今年1月に北朝鮮は計7回のミサイル発射実験を行なったと述べました。北朝鮮は2019年年末の朝鮮労働党中央委員会全体会議で、「新しい戦略兵器」に言及し、2021年朝鮮労働党党大会では、「核武力の増強」、「核技術の高度化」を明言したそうです。以上のような軍事政策は、国内向けや交渉用ではなく、自らの目標の下で進んでいるとみられると指摘しました。金正恩政権は、アメリカとの敵対関係と東北アジアや世界の不確実な安全保障環境が続くと判断し、「核武力増強」を選択していると思うと述べました。朝鮮半島の平和プロセスが停滞し、北朝鮮の言ってきた「正面突破」、「核武力増強」、「国防力強化」が可視化していると指摘しました。
バイデン政権は「調整された実用的なアプローチ」という対北朝鮮政策を打ち出し、対話の扉は開かれているというメッセージを送り続けていますが、北朝鮮が「敵対政策」と規定した韓米合同軍事訓練、対北朝鮮制裁に対する何らかの措置は提示せず、しかも昨年12月には北朝鮮に対して追加制裁を発表したそうです。「終戦宣言」がなされる可能性はゼロに近いと指摘しました。しかも韓国は大統領選挙を控えており、韓国の新政権が北朝鮮問題に本格的に取り組むには時間がかかると指摘しました。
イさんは、朝鮮半島平和プロセスの急激な進展と膠着を振り返って、次のような課題を導き出しました。
第一に、朝鮮半島の非核化は、平和体制構築の過程とともに、段階的に進めていかざるをえないということです。平和体制の構築とは、停戦状態を終わらせるための平和会談と平和協定、平和と共存の南北関係と米朝関係を作り出すことだと指摘しました。6者会談の成果だった2015年「9.19共同声明」、そして2018年「板門店宣言」と「平壌共同宣言」、そして新しい米朝関係、朝鮮半島の平和体制と完全な非核化が盛り込まれた同年の「シンガポール共同声明」にも、その答えが明記されていると述べました。
第二に、北朝鮮の言う「敵対政策」、つまり、韓米合同軍事演習と制裁の見直しです。北朝鮮に対する一連の制裁は、南北合意の実行をも妨げ、膠着した平和プロセスの打開策を見つけることも不可能にしていると指摘しました。人的交流、鉄道と道路の連結、開城工業地区の再開をも制約するのが妥当なのか、何よりも制裁が朝鮮半島の平和に貢献しているのか、冷静に見直すべきではないかと述べました。
第三に、安全保障のジレンマです。核抑止の対決構造と南北の軍備競争です。北朝鮮の核武装に対して、韓国と日本は「核の傘」を中心とするアメリカの拡大抑止強化を続けていると指摘しました。韓国は、北朝鮮の核軍備への対応という名の下で最先端兵器を導入し、日本では安全保障政策が改悪され、敵基地攻撃能力保有論までが出ていると述べました。また、それらに対して北朝鮮は軍事力を強化するという悪循環を断ち切るには、平和プロセスを再稼働するかないと指摘しました。そして、その第一歩は「板門店宣言」に盛り込まれた軍備管理と軍縮に立脚し、同年平壌で結ばれた南北軍事合意に戻って、信頼醸成措置を実行していくことだと指摘しました。
その悪循環の構造は逆説的に、非核化と平和のプロセスが進展すれば、朝鮮半島が反核、軍縮、平和の震源地になり、強国間の権力闘争の政治に翻弄されている東アジア国際秩序に地殻変動を呼び起こすことができることを示していると述べました。
2017年の危機を転換し、劇的に開かれた平和局面は終わり、当分北朝鮮の低強度徴発とそれらに対する韓国、アメリカ、日本の応酬が交わされる情勢が続くだろうと予想しました。バイデン政権は現状管理に戻ろうとしているかもしれませんが、朝鮮半島問題において現状悪化はあっても現状維持はなく、北朝鮮に状況悪化を招きかねない挑発を控えることを強く要求し、アメリカと韓国など関係国へ北朝鮮との交渉や交渉を可能にする環境づくりに積極的に取り組むよう働きかける運動と連帯が求められていると述べました。
最後に、このような情勢だからこそ、核兵器を禁止し「核兵器廃絶をいつかのあいまいな目標ではなく、すべての国が積極艇に努力して達成すべき基準として確立した」核兵器禁止条約を中心とする反核平和の連帯をもう一度固めることを強調したいと述べました。
続いて、コーディネーターの土田弥生さんが質問をしました。
マリオン・キュプカーさんに対しては、「NO NATO」の活動もされていると思うが、ウクライナ問題をどう考えているかと質問しました。キュプカーさんは、ドイツで「NO NATO」の組織も代表しており、ロシアのウクライナ侵攻には大きな声をあげていると答えました。NATOは事態を悪化させていると抗議し、ウクライナとロシアは平和の協議へ入ることを求めていると述べました。各地で抗議行動を行なっており、平和的解決が必要だと述べました。
イ・ジュンキュさんに対しては、ウクライナの事態のアジアへの影響について、日韓はどうすべきだと考えるかと質問しました。イさんは、日韓の運動の第一の課題は、ウクライナへのロシアの侵攻に声を上げるべきだが、ロシアの影響はあると答えました。朝鮮半島の非核化を進めるうえで、核大国が核を放棄した国を攻撃したことに大きな影響があり、韓国では「平和には力が必要」というアメリカの核兵器へ依存する議論が起こっていると述べました。非常に危険であり、日本も岸田首相が打撃論を主張しており、そうしたことを乗り越える必要があると指摘しました。
ジョセフ・ガーソンさんへは、核兵器があるからエスカレートするのであり、アメリカで核をなくさせるためにどうしようとしているかと質問しました。ガーソンさんは、休戦し、外交をと求めると述べました。同時に、この30年続いていた事態が終わった理解しなければならないと述べました。アメリカと同盟国が手をつないで、戦争はやめなければならないと、気候危機に対して力を合わせなければならないと言うべきだと指摘しました。核態勢見直しで、人々は核増強の危機に気が付いており、今起こっていること、そして核兵器禁止条約について知らせるべきだと述べました。そして、平和運動の団結、統一が重要だと述べました。
次に、全国の活動の交流が行なわれました。
高校生平和ゼミナールの学生たちは、核兵器禁止条約への批准を求めて声を上げようと署名活動を行なっており、日本は役割を果たしていないと指摘しました。1万3,000発の核兵器のうち、4,000発がすぐに撃てる状態にあり、被害に遭うのは若者だと述べました。東京の平和ゼミナールは、オンライン学習で被爆者の話を聴き、原宿、吉祥寺、八王子で署名活動を行なったそうです。声をかけても通り過ぎる人たちにどう興味を持ってもらうかが課題だそうです。埼玉のPeace Wingは、「原爆ドームと杉山ヒロ子さん」の映画上映を行なったそうです。沖縄平和ゼミナールは、沖縄は核と無縁ではなく、今もいつ持ち込まれるかわからないと指摘し、本当の平和の傘は核兵器禁止条約だとして270筆の署名を集めたそうです。高校生平和ゼミナールは、1万筆の署名を集めて外務省を訪問したいと考えており、核抑止と向き合うことが成長につながり、核兵器禁止条約の認知度を高めたいと述べました。
新日本婦人の会茨城県本部の吉田さんは、2021年1月22日の核兵器禁止条約の発効を受け、核兵器は違法化されたと署名宣伝を行なっていると述べました。茨城県本部では目標の40%を達成しているそうです。平和のつどい、平和の鐘つきなどに取り組み、オンライン世界大会は166人が視聴したそうです。高校生の絵展を、水戸、つくばみらい、霞ケ浦、日立支部で開催したそうです。常総市では、市のホールで原爆展を行ない、市職員も含めて72人が来場したそうです。竜ケ崎支部では、2月25日から1週間の原爆展を開いているそうです。牛久支部は、平和部会をつくり、班から活動しているそうです。とにかくやってみようと、年金支給日にポストインや署名活動を行なったそうです。改憲を許さない署名もともに取り組んでいると述べました。
埼玉土建一般労組の田村さんは、コロナ禍で大きな影響を受け、組合で助成金申請などを支援しているそうです。本日は代表20名が参加し、午前中は埼玉県原水協の伊藤理事長による学習会を行なったと述べました。毎年、世界大会に50人、ビキニデーに15人の代表を送り出しており、昨日は第五福竜丸展示館の方の講演を行ない、39人参加したそうです。2021年の世界大会は53人が参加し、午後はDVD視聴をおこなったそうです。署名は現在2万1,000筆に到達しており、参議院選挙前に大きな世論をつくっていきたいと述べました。
締めくくりに、「We shall overcome」の合唱が行なわれました。
第2部では、パネル討論「核兵器禁止・廃絶をリードする日本へ」が行なわれました。
まず、コーディネーターの日本原水協の前川史郎さんが、ロシアがウクライナを攻撃したことに対して、国連憲章違反であり、抗議するとともに直ちに停戦と撤退を求めると述べました。ロシアは核兵器による威嚇を行なっており、これは核兵器禁止条約違反であり、5大国声明にも反すると指摘しました。日本政府は核兵器禁止条約に反対していますが、「こんな時こそ力が必要」という議論に戻してはならず、日本を変えるにはどうすればいいか討論していきたいと述べました。
パネリストの一人目は、日本被団協事務局次長の和田征子さんでした。
和田さんは、今、世界中が核の恐怖を感じていると述べました。岸田首相は「核兵器禁止条約は出口」と述べましたが、しかし、入り口がわかっていないと指摘しました。被爆者は日本からもアメリカからも10年間放置され、ビキニ事件をきっかけに原水爆禁止運動が起こり、1956年に長崎で日本被団協が結成されたと述べました。被爆者は13万人ですが、いなくなる日も遠くないと指摘しました。核兵器で平和は訪れず、核兵器が使われればコロナ禍よりも被害が生じると述べました。1945年に21万人が亡くなったが、それとは比べものにならないほどの犠牲が出ると指摘しました。各党の国会議員へアンケート調査を行ないましたが、被爆の実相を知らない記述が多く見られたそうです。アメリカに同調する日本政府は、核兵器禁止条約とは「アプローチが異なる」と述べています。アメリカの核の先制不使用にも反対しています。胎内被爆者、2世、黒い雨被害者には十分な補償が行なわれていません。被爆者は放置されてきたという事実を知ってほしいと述べました。世界中の人々が捨て置かれる前に、被爆者の聞く責任が日本政府にはあると指摘し、これからも被爆者は語り続けると述べました。
上智大学の中野晃一教授は、市民連合として立憲野党と政策合意し、衆院選では改憲勢力が優位だったが、引き続き声を上げていくと述べました。岸田首相へは一定の期待があるが、安倍元首相に反論できず、あまり期待できないと指摘しました。独自色を出せば安倍元首相らと全面衝突することになるからです。このまま参院選へ行くのは極めて危険であり、投票率がさらに下がる見込みだと述べました。改憲派が3分の2以上を占めると大変なことになるので、負けられない選挙だと述べました。ロシアのウクライナ侵攻については、安倍元首相が核共有を主張していると指摘しました。
日本共産党衆議院議員の笠井亮さんは、ビキニ被災68年、日本政府が被爆国にふさわしくあることが求められていると述べました。ウクライナでは市民の犠牲が続いており、草の根から声を上げ、力を合わせようと述べました。ロシアの核の威嚇は断じて許されず、軍事衝突が核戦争につながりかねないと指摘しました。核兵器禁止条約の意義が高まっており、こんな時に日本が力の論理を主張するのを許してはならないと述べました。日本こそ核廃絶の先頭に立つべきだが、日本は敵基地攻撃能力を検討していると指摘しました。東アジアの平和外交こそが重要だと述べました。ビキニ事件では3,000万人の署名が集まったそうです。立場を越えて核兵器禁止条約への参加をとの声が広がっており、今度は日本が核廃絶の先頭に立つべきだと、被爆二世として国連に声を届けたいと述べました。若い世代は気候正義、ジェンダー平等に関心があり、一緒に声を上げようと呼びかけました。
プロダイバーで環境活動家の武本匡弘さんは、約40数年海を見てきたと述べました。以前は生物多様性の海が各地で見られましたが、2000年頃からサンゴの白化が始まり、危機的なのは沖縄だと述べました。それでも八重山、石垣島には8年前までサンゴがありましたが、現在は白化しているそうです。2024年、白化が常態化する危機感があり、原因は気候変動だと述べました。海面上昇で島が沈んでいき、サンゴがなくなると魚もいなくなり、50年間で9割の魚がいなくなったそうです。太平洋の島々の人々は大国に振り回されてきたと指摘しました。軍事行動は全て環境破壊であり、演習の段階にも二酸化炭素を発生させていると述べました。象徴的なのはエニウェトクのルニットドームだと述べました。北は北海道、南は九州、沖縄で講演し、環境と平和を守る活動はセットだと話しているそうです。連帯し、声を上げ続けようと呼びかけました。
「KNOW NUKES TOKYO」共同代表の中村涼香さんは、ロシアのウクライナ侵攻は核の抑止力が機能していないことを示していると述べました。手遅れになる前に声を上げるべきであり、日本は核廃絶をけん引する立場だと指摘しました。34人の国会議員しか核兵器禁止条約に賛成していませんが、国民の7割は核兵器禁止条約を批准するべきと考えているそうです。「KNOW NUKES TOKYO」では議員訪問を行なっており、多くの議員は安全保障などの視点で考えているが、最も重要なのは核の非人道性だと指摘しました。明日(3月1日)はビキニ水爆実験で多くの人が被害を受けた日であり、世界が連帯していかなければならない時だと述べました。誰一人として被爆者になってはならず、核兵器のない世界を一刻も早く実演するためにできる限りのことをしていきたいと述べました。
続いて、質疑応答が行なわれました。
武本さんへ、汚染水による海の変化はあるかとの質問がされました。武本さんは、汚染水の海洋放出には大反対していると述べました。汚染水の影響がわからないため止めてほしいと言っている、海はゴミ箱ではないと述べました。わからないものを海へ捨てるというとんでもないことは止めるべきであり、ロンゲラップ島の人たちが汚染された魚を食べて口がしびれるなどのことが起こっていると述べました。
笠井さんへ、安倍元首相はプーチン氏と友好的ならば声を上げるべきではないかとの質問がされました。笠井さんはその通りであり、今まさに侵略をやめろと言うのが本当の友人だと述べました。「核共有」だけでなく、「プーチンは領土的野心ではない」と言っているが、行動を擁護する発言であり、力の論理を信奉していると指摘しました。敵基地攻撃能力や核共有は戦後の国際秩序を否定するものであり、今こそ国連憲章守れ、憲法守れの声を上げるべきだと述べました。
中村さんへ、活動のきっかけは何かという質問がされました。中村さんは、長崎生まれで被爆三世であり、大学に入って被爆地とそうでないところの違いに危機感を持ったことがきっかけだと答えました。そして、同じ思いの人とともに団体を立ち上げたそうです。
最後に、まとめの発言が行なわれました。
中村さんは、政治家との対話を長崎の国会議員から始めましたが、7名中1名しか核兵器禁止条約に賛同していなかったと述べました。多少の恐怖はあったが、対話する中で被爆の向こうに国際関係などを見ているとわかったそうです。長崎の人たちの苦しみを第一に考えるべきではと伝えましたが、なかなかかみ合わなかったそうです。しかし、対話することで国民が真剣に考えていることを伝えることができたそうです。政治は変えられると信じて活動していきたいと述べました。
武本さんは、太平洋だけでなく、私たちの身近でも変化が起きており、伊豆半島に熱帯魚が生息するようになっていたり、磯焼けの状況が広がり、関東ではひじきが獲れなくなっていると述べました。気候変動は目の前に迫っているが、日本人はあまり実体験を持っておらず、若い人たちが「気候正義」という言葉で突きつけていると指摘しました。若い人たちががんばっている姿を希望だと言う人がいるが、若者は絶望を思っていると述べました。残念ながら日本では「気候正義」が知られておらず、危機感を感じていると述べました。
笠井さんは、人類的な課題は核のない世界と気候危機の取り組みだと述べました。ロシアのウクライナ侵略は19世紀のようで、とんでもない話だと述べました。21世紀の私たちは新しい国際秩序をつくるためにがんばってきたのであり、力を合わせて、命、平和を守り、発展していくべきだと指摘しました。こんな覇権主義のロシアの暴挙は必ず失敗に終わると確信していると述べました。かつて、80~90年代、民青同盟の代表でヨーロッパへ行き、覇権主義と闘ってきたと述べました。ソ連の解体から、覇権主義は絶対に失敗に終わると確信しており、力を合わせて世界中で侵略止めよと声を上げているのを徹底していくべきだと述べました。それぞれの場所で取り組まれると思うが私たちは国会でがんばりたいとのべました。
中野さんは、ロシアのウクライナ侵攻は「力の論理」であり、強者の論理、核保有国としてのごり押しだと述べました。しかし、ウクライナだけでなく、ロシアでも日本でも戦争反対の声が上がっていると述べました。安倍氏のような暴論もあり、参院選が鍵であり、日本は軍備を強化しなければならないというキャンペーンが行なわれるだろうと指摘しました。私たちの取り組みをいっそう広くしていかなければならないと述べました。
和田さんは、全てのことがつながっていると感じると述べました。NPTに合わせて原爆展を準備しており、その中に原発の「汚染水」という言葉があるから認められないと外務省に言われ、「処理水」に変更するということがあったそうです。国会議員が被爆のことをよくわかっていない、知らない人が多いので、議連をつくって被爆者を呼んで話を聴いていただきたいと述べました。核に頼らなければ力も信頼も得られない政府では困るのであり、未来のある日本、世界にしていかなければならないと述べました。政府の意向、自分たちの都合のいいことだけではなくて、メディアは正しい情報を伝えてほしいと述べました。
以上で報告を終わります。