まず、台風と水害の被害に遭われた皆さんにお見舞い申し上げます。
2019年は、正念場の年です。
憲法9条を中心とする憲法改悪を断念させ、沖縄の辺野古新基地建設をストップさせ、「自己責任論」を背景に進行し続ける社会保障切り下げに歯止めをかけ、特定秘密保護法・戦争法・共謀罪法などの悪法の廃止を求め、「働き方改革」一括法に含まれている毒を制し、よい部分を生かし、労働者をはじめとする99%の人たちのいのちと健康と働く権利を守るために行動し、憲法が活きる社会となることを目指し、声を上げ続けることを提起します。
11月3日、「安倍改憲発議阻止! 辺野古新基地建設やめろ! 東北アジアに平和と友好! 11・3憲法集会in国会正門前」に参加してきました。
以下、その概要をまとめます。
オープニングコンサートでは、「We shall overcome」、「朝露」、「島唄」が歌われました。
シュプレヒコールのリードは菱山南帆子さんでした。「戦争反対」、「9条壊すな」、「改憲発議絶対反対」、「表現の自由侵害するな」、「日韓友好」、「加害の歴史を忘れるな」、「性暴力を許さない」、「辺野古新基地建設反対」、「民意を無視する政府はいらない」、「安倍政権をみんなで倒そう」、「市民と野党は共闘するぞ」、「みんなの力で政治を変えよう」、「あきらめないぞ」などがコールされました。
主催者あいさつは、憲法共同センターの小田川義和さんが行ないました。小田川さんは、今日は激励の国会議員、韓国からの連帯の方々が来ていると述べました。臨時国会では、改憲を4項目を持ち込ませないべきだと述べました。安倍首相は、憲法は「新時代の国造りの理想」を書くものだと言い、改憲派で布陣を敷きましたが、改憲の議論をするのは国会議員の責任ではないと指摘しました。憲法の具体化に政府が仕事をしているのか点検するのが国会の役割だと述べました。沖縄でのパラシュート降下訓練を行なわせないためには、日米地位協定を抜本見直しすべきだと述べました。参院選の結果でも、世論調査でも、国民は改憲に否定的であり、改憲論議をさせないようにするべきだと指摘しました。大学入試への民間英語試験導入の延期は、営利企業まかせでは公平は達成できないということを示しており、水道なども同様だと指摘しました。民間英語試験導入は中止、撤回すべきであり、声を上げれば政治は変わると述べました。萩生田文科相の「身の丈」発言は、機会の平等の否定だと指摘しました。消費税を増税する一方、富裕層の税金はまけ続けており、格差を深刻にする安倍政権は打倒すべきだと述べました。2人の大臣が辞任したことは、安倍政権の腐敗を表しており、公職選挙法違反くらいと許してはならないと述べました。民主主義を取り戻し、腐敗政治を許さないことを呼びかけました。
続いて、国会議員のあいさつが行なわれました。
社民党の福島みずほ参議院議員は、11月3日は文化の日であり、憲法公布の日だと述べました。私たちは、300万人の日本人と、2000万人のアジアの人たちの犠牲のうえに憲法は手にしたのであり、憲法を生かすため努力すべきだと指摘しました。沖縄の憲法復帰の努力も指摘しました。憲法のわからない安倍政権は変えなければならず、憲法は私たちとアジアの人たちとの約束であり、国会の内外で頑張り合おうと述べました。中東への自衛隊の派遣については、「調査・研究」でなぜ派兵ができるのか、でたらめもいい加減にすべきだと述べました。満州事変のように、ずるずると戦争に突入することを止めなければならないと述べました。野党は安保関連法廃止法案を提出したり、防衛予算の膨張を止めようとしてりしているそうです。憲法を生かすことをやっていくべきであり、この国で憲法は生かされているかと問いかけました。映画「主戦場」の上映は、一旦中止になったがそれを覆して上映されることになったそうです。英語民間試験の導入は延期されました。これからも日本国憲法を生かして頑張ると述べました。
日本共産党の穀田恵二衆議院議員は、「安倍政治を許さない」のプラカードを持って来たと述べました。これを毎月3日に掲げる行動が続けられており、今日も行なわれたそうです。第一に、安倍さんの改憲への執念をしっかり見て、軽く見てはならないと述べました。内閣は憲法を変える布陣であり、10月11日の衆院予算委員会では、9条への自衛隊明記など4つの項目は自分が言ったのではなく、自分は9条改憲が基本だと述べたそうです。各地改憲集会も行なわれており、それに我々も応じ、全国で集会を開き、3000万署名と達成すべきだと述べました。「身の丈」発言、報道の自由の危機など、闘いを合流させ、市民と野党の共同で安倍政権を打倒しようと述べました。参議院選挙では、1人区すべてで統一候補を立て、10区で勝利し、29区で共闘効果が発揮されたそうです。埼玉県、岩手県の知事選挙で勝利し、次は高知県だと述べました。一歩一歩追い詰めていこうと述べました。
立憲民主党の逢坂誠二衆議院議員は、多くの皆さんの思いが集まっていると述べました。安倍政権は7年となるが、最初、「経済の安倍」と言っていたが全く達成されておらず、大企業はお金をため込む一方、庶民は疲弊していると指摘しました。二つ目は「外交の安倍」だったが、成果が上がったかというと、ロシア、中国、韓国と、どれをとっても落第点だと指摘しました。やったことは、特定秘密保護法の強行成立、安保法制、共謀罪など、公約に書いていないのに強行採決などで、権力を守る政治しかやっていないと述べました。民主主義の危機であり、民主主義には権力が持っている情報へのアクセスが必要だが、安倍政権は隠ぺい、廃棄、ねつ造を行ない、くもりだらけだから公開できないのだと指摘しました。入試に民間英語試験を導入することを決めたプロセスも明らかになっていないそうです。子どもたちのためではなく、大手業者のためだと指摘しました。もう一つ、立憲主義の危機だと述べました。憲法が権力を縛るのが立憲主義ですが、これが危機に瀕しており、これほどの危機を感じたことはないと述べました。一人一人が声を上げるしかなく、皆さんの力で安倍政権を打倒しようと述べました。
続いて、韓国からの代表がスピーチしました。
安倍糾弾市民行動のパク・ソグンさんは、安倍糾弾市民行動は600団体で構成されおり、その代表を務めていると述べました。昨年10月30日、韓国大法院が日本企業の徴用工への賠償責任を認める判決を出し、その内容は日韓併合は違法であって無効であり、請求権条約では解決できないとするものだったそうです。これは反人道的犯罪行為に時効はないという、国際法の考えに沿ったものだと述べました。韓国大法院の判決に対し、日本は条約違反だとして報復を行ないましたが、条約は時代遅れであり、新しい関係をつくっていくべきだと述べました。侵略戦争の真の反省をし、新しい関係は平和の連帯でつくられるべきだと述べました。安倍政権は歴史を無視し、古い日韓関係のままにしておこうとしていると指摘しました。しかし、それは実現できないことであり、韓国は法治国家なので、最高裁判決をどう無効とするというのかと問いかけました。安倍政権は軍事大国化を進めようとしているが、米朝会談が進み、平和に向かうことを否定する犯罪行為だと指摘しました。安倍政権は大法院判決を尊重し、姿勢を変えるべきであり、平和憲法改悪を止め、日韓関係を正常化し、平和なアジアのために役割を果たすべきであると述べました。GSOMIAの終了通告については、韓国政府が元に戻す動きを見せたが、GSOMIAは日韓の軍事同盟の出発点となり得るものであり、アジアの軍事対立を強くするものなので、新しい日韓関係にはあり得ないと指摘しました。韓国市民は日本の平和市民とともにGSOMIAを葬り去るまで頑張ると述べました。米国は辺野古新基地建設を止め、米兵を家族のもとへ戻すべきだと述べました。日韓市民の連帯で、GSOMIAを止めさせ、辺野古新基地建設阻止をと呼びかけました。
東アジア平和会議のイ・ブヨンさんは、平和憲法を守るために集まった皆さんにあいさつを申し上げると述べました。日本の平和憲法は世界で最も立派な憲法であり、人類共同の公共資産とも言えると指摘しました。韓国の知識人も、2015年に憲法9条をノーベル平和賞に推薦したそうです。朝鮮半島では北朝鮮の核開発で常に戦争の脅威が続いていますが、安倍政権が狙うように平和憲法が廃棄されれば東アジアの戦争の危機になると指摘しました。日韓市民が連帯し、東アジアでの軍事対立の阻止をと呼びかけました。朝鮮半島の非核化と憲法を守ることは偉大な平和運動だと述べました。日韓関係は、両国首脳が対話の門を開き、東アジアの平和を進展するために安倍政権の敵対政策を転換すべきだと指摘しました。韓国の知識人が10月10日に声明を発表し、東アジアの平和のために、日本が核の被害者であることを受け入れて役割を果たすべきだと要求しているそうです。そして、韓日両国民を苦しめている輸出規制を止めるべきだと指摘しました。日本の市民の憲法を守る闘いは偉大な平和運動であり、韓国市民の支持と連帯を伝えると述べ、皆さんの勝利を確信していると述べました。
ここで、カンパの呼びかけが行なわれ、韓国でつくられた「ノーアベソング」と「真実は沈まない」を合唱しました。
次に、連帯のスピーチが行なわれました。
作家の北原みのりさんは、今年3月、性暴力の無罪判決が続き、4月11日にデモを行ない、恐怖を感じている人に寄り添いたいと、花を持って集まったと述べました。デモは、全国26ヶ所で、毎月11日に行なわれるようになったそうです。これまで、被害者は話せないと思われてきましたが、あなたを信じるという声、弱者が切り捨てられる社会を変えたいという声が起こっていると述べました。少女像撤去のために10億円を払うのは間違っており、韓国では「正義と記憶財団」がつくられ、被害者が求めているのは正義と記憶だと述べました。今の政府は不正義にあふれていると指摘しました。韓国の若者、Z世代と呼ばれる20~30代の人たちは人権意識が高く、それは若い頃からフェミニズムを学んできたからだそうです。強く、やさしい民主主義をと述べました。日本は歴史を忘れているが、こんな社会は嫌だと、つながっていきましょうと呼びかけました。
3・1朝鮮独立運動100周年キャンペーンの矢野秀喜さんは、1990年代から徴用工の裁判支援を行なっていると述べました。韓国代表のメッセージの中で、大法院判決について語られましたが、日本がそれに応答する責任があると指摘しました。判決から1年経ちましたが、被害者の人権は回復しておらず、それは安倍首相が国際法違反だ、解決隅だ、是正しろと求めているからだと指摘しました。この国のメディアは安倍首相の主張の受け売りをしており、正しいのか検証すべきだと述べました。安倍政権の論点の一つは、「法的強制による徴用ではない」ということだが、真実は日本の戦時動員の被害者であり、彼らの話を聴けばそれが事実だとわかり、日本の裁判所も認めていると指摘しました。総動員体制の下、朝鮮半島から80万人の労働者がつれてこられたそうです。論点のもう一つは、「国際法違反」というもので、それによって一言も謝罪をしていませんが、村山談話で公式謝罪をしたはずであり、彼らは被害者だと述べました。今、日本で横行している議論は被害者に言及していないものであり、被害者に誠実に向き合うべきだと指摘しました。
オール沖縄会議事務局長の山本隆司さんは、先月、2週間前、玉城知事がアメリカ政府と直接交渉をしたと述べました。今月後半は県議団がアメリカに要請に行く予定であり、県民団体も何度も訪米しているそうです。安倍政権が何もやらないからだそうです。10月には、アジアアメリカ系労働者運動の人たちが沖縄を訪れたそうです。彼らは各自治体で辺野古新基地建設反対の決議を上げるよう運動しているそうです。来年は大統領予備選挙があり、トランプ大統領とともに安倍首相も倒さなければならないと述べました。彼らは、普天間基地、辺野古を視察し、3つの小学校を訪問してショックを受けていたそうです。アメリカの基地は民家から50km離れているそうですが、普天間基地は民家から5mもないそうです。これは命の問題、人権、人道上の問題だと述べていたそうです。辺野古には、航空法の制限にかかる建物もあり、大量の土砂が投入されていますが、まだ埋立ては5%未満で、大浦湾には手をつけていないそうです。建設費は2.5兆円必要だと言われているそうです。74年間非暴力で抵抗してきたが、日米両国民が無関心なのが辛いと述べました。この困難を克服して、安倍政権を倒そうと呼びかけました。
弁護士の杉浦ひとみさんは、安保法制違憲訴訟の現状について述べました。安保法制が2015年9月15日に強行採決され、現在は25の裁判が行なわれ、終盤を迎えているそうです。東京地裁では11月7日に国賠訴訟の判決が予定されており、裁判官はエリート裁判官に代えられたそうです。地方では、専門家証人への尋問が行なわれており、6月13日の前橋地裁では、元内閣法制局長官の宮崎氏が、行政が憲法に合っているのか判断するのが内閣法制局であり、従来、政府は集団的自衛権は許されないという判断で、それを改めるなら憲法改定の手続きを取るべきとしており、容認は明らかに違憲だと述べたそうです。そして、ただ判断するだけでなく、政府も国会も憲法の下で集団的自衛権行使を否定してきたと述べたそうです。しかし、安保法制が通ったのは、内閣法制局長官の首を挿げ替えたからだそうです。10月31日、横浜地裁では、半田滋さんが南スーダンのリアルな実態などを証言したそうです。東京では、清末愛砂さんの尋問が行なわれたそうです。民意の支持のない法律は存続すべきではなく、政府が「忖度せよ」と言っても司法は忖度できないことに向き合っているはずだと述べました。今食い止めなければならず、11月7日の判決へ向けて署名を3万筆集めたそうです。3月13日には差し止め訴訟の判決があり、ぜひ法廷に足を運んで傍聴し、署名にも協力し、裁判官に訴えるために一致団結しようと呼びかけました。
安保関連法に反対する学者の会の千葉真さんは、今日は東京芸大と明治大学の教員団体も参加していると述べました。近年の問題は軍拡の動きであり、6兆円もの軍事費は世界で8番目だと指摘しました。世界も私たちも、自衛隊は軍隊ではないかと考えていると述べました。12月には中期防衛計画がまとめられ、防衛費は5年間で10兆円となる見込みだそうです。9条は軍縮を求めており、防衛費は災害援助隊にあてるべきであり、教育費など、たくさん使うべきところがあると述べました。3兆円であっても、カナダやオーストラリアと同じくらいで、世界で14番目くらいだそうです。光は闇に負けない、真や嘘に負けないと信じたいと述べました。真実が通らない政治は悪く、政府にも、世界にも、国民にも、真実を伝えていく仕事が与えられていると述べました。なぜ安倍政権の支持がなかなか下がらないのかというと、東欧から来て万葉集などを研究している学者が言うには、アメリカのトランプ、ロシアのプーチン、中国の習と比べると、安倍さんはかわいく見えてしまうからだとのことでした。1950~60年代、「原発は平和エネルギー」という方向になった時、反対の声を上げた原子物理学者は、原発は広島・長崎の原爆と変わらないものであり、日本は武器ではなく、文化で闘って世界を平和にすべきだと述べたそうです。文化の様々な領域で平和のメッセージを発信し、日本の平和の文化は豊かになったのだから、世界に発信し続けるべきだと呼びかけました。
日本労働弁護団の今泉弁護士は、日本労働弁護団は全国1700人、労働事件の専門家の集まりであり、憲法改悪反対の意見書を上げ、憲法改悪は労働者を犠牲にするものだからと主張したそうです。自衛隊員も労働者であり、日本を守りたいという思いの自衛隊員を海外に送り、日本の防衛と関係ないところで命を危険にさらすのは、国家的な求人詐欺だと指摘しました。2015年、自衛隊対象の電話相談を行なったところ、家族からの様々な声が集まったそうです。多くの人が不安を感じているが、当事者は声をあげられないと指摘しました。1割の自衛隊員が、PTSDやうつ病になっているそうです。安倍首相は「自衛隊員がかわいそうだから9条に書き込む」などと言いますが、よくもそんなことが言えますねと述べました。今、免許が取れるからとか、大学に行けるからなどの理由で入隊する若者が増えているそうです。お金がないなら、諦めるか自衛隊に行けという国になっていると指摘しました。多くの労働者が動員されてしまう恐れがあり、その法律は既にできていると述べました。まだまだ国に憲法は根付いておらず、労働者を守るために頑張ると述べました。そして、その最大の阻害要因である安倍政権を退陣させようと呼びかけました。
次に、高田健さんによる行動提起が行なわれました。今回の参加は1万人だと報告されました。国会は、来週から予算委員会であり、腐敗が次々と出ている中で、しっかり野党を応援し、責任追及をと述べました。憲法審査会については、改憲案提出を許さない闘いをと述べました。中東への自衛隊派兵問題は、年末から来年春までの予定で、NSCが強行しようとしているそうです。官邸前での行動など、阻止の闘いが呼びかけられました。韓国の市民運動とはしっかり団結し、安倍政権の嫌韓あおりを許さない闘いを呼びかけました。ツイッターなどで行動が呼びかけられたら駆け付けてほしいと述べました。11月19日には、衆院第2議員会館前で19日行動があるそうです。必ず安倍政権を打倒し、地域でも一緒に草の根の運動を起こしていきましょうと呼びかけました。そして、来年には新しい署名を提起すると述べました。
最後にシュプレヒコールを行ない、集会は終了しました。
以上で報告を終わります。