「共謀罪」書簡の国連特別報告者 日本政府の抗議に反論(東京新聞より) | 労働組合ってなにするところ?

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2008年3月から2011年3月まで、労働組合専従として活動しました。
現在は現場に戻って医療労働者の端くれとして働きつつ、労働組合の活動も行なっています。

あまり知られていない労働組合の真の姿(!?)を伝えていきたいと思います。

まず、「8時間働いたら帰る、暮らせるワークルールをつくろう」の署名へのご協力をお願い致します。

 

https://www.change.org/p/8%E6%99%82%E9%96%93%E5%83%8D%E3%81%84%E3%81%9F%E3%82%89%E5%B8%B0%E3%82%8B-%E6%9A%AE%E3%82%89%E3%81%9B%E3%82%8B%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%92%E3%81%A4%E3%81%8F%E3%82%8D%E3%81%86

 

 

続いて、避難不可能な状況下での原発災害を防ぐために、川内原発の運転停止を求める署名への賛同を呼び掛けます。

 

https://www.change.org/p/%E5%B7%9D%E5%86%85%E5%8E%9F%E7%99%BA%E3%82%92%E6%AD%A2%E3%82%81%E3%81%A6%E3%81%8F%E3%81%A0%E3%81%95%E3%81%84?source_location=discover_feed
 

 

そして、戦争法を早急に廃止することを求め、沖縄をはじめとする全国での基地強化・日米軍事一体化の策動を許さず、医療と介護をはじめとする社会保障切り捨て政策に反対し、労働者をはじめとする99%の人たちのいのちと生活と働く権利を守るために行動し、政治をはじめとするあらゆる分野で憲法が活きる社会となることを目指し、声を上げ続けることを提起します。

 

 

本日は、仕事で衆議院議員会館に行っていたのですが、お昼ご飯を食べようとしたら食堂に長蛇の列ができていて、会館内のコンビニで何か買おうとしたらそこもすごい列で、いつもは空いている喫茶室も満席で、大変なことになっていました。(結局、喫茶室で席が空くのを待ってお昼ご飯を食べられましたが……)

タイミングが早過ぎるので共謀罪法案の強行採決だけが理由ではないとは思いますが、元々予定があって行くかどうか迷っていた人が、強行採決で行かなきゃという気になって、参加者が増えたということかもしれませんね。埼玉県の国会行動の参加者も103人と多かったです。

 

さて、タイトルの件ですが、国連人権委員会から任命されているプライバシー権についての国連特別報告者、ジョセフ・ケナタッチ氏が共謀罪法案に対する懸念を書簡で表明したところ、菅官房長官が「不適切だ」との抗議を行なったという件に関する続報が東京新聞に掲載されていましたので、引用してご紹介したいと思います。引用部分は青で表記します。

 

 

「共謀罪」書簡の国連特別報告者 日本政府の抗議に反論

東京新聞  2017年5月23日朝刊

http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201705/CK2017052302000119.html

 

 【ロンドン=小嶋麻友美】安倍晋三首相宛ての公開書簡で、「共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法改正案に懸念を表明した国連のプライバシー権に関する特別報告者ジョセフ・ケナタッチ氏は二十二日、菅義偉(すがよしひで)官房長官が同日の記者会見で抗議したと明らかにした日本政府の対応を「中身のないただの怒り」と批判し、プライバシーが侵害される恐れに配慮した措置を整える必要性をあらためて強調した。電子メールで本紙の取材に答えた。

 ケナタッチ氏によると、「強い抗議」は十九日午後、国連人権高等弁務官事務所を訪れた在ジュネーブ日本政府代表部の職員が申し入れ、その後、約一ページ余りの文書を受け取った。しかし、内容は本質的な反論になっておらず「プライバシーや他の欠陥など、私が多々挙げた懸念に一つも言及がなかった」と指摘した。

 抗議文で日本側が、国際組織犯罪防止条約の締結に法案が必要だと述べた点について、ケナタッチ氏は「プライバシーを守る適当な措置を取らないまま、法案を通過させる説明にはならない」と強く批判。法学者であるケナタッチ氏自身、日本のプライバシー権の性質や歴史について三十年にわたって研究を続けてきたとし、「日本政府はいったん立ち止まって熟考し、必要な保護措置を導入することで、世界に名だたる民主主義国家として行動する時だ」と訴えた。

 ケナタッチ氏は日本政府に引き続き、法案の公式な英訳文とともに説明を求めている。菅官房長官は二十二日、ケナタッチ氏の書簡に「不適切だ」と反論していた。

 

(中略)

 

<国連特別報告者> 国連人権理事会から任命され、特定の国やテーマ別に人権侵害の状況を調査したり、監視したりする。子どもの人身売買や、表現の自由に関する人権状況などの報告者がいる。政府や組織などから独立した専門家で、調査結果は理事会に報告する。

 

 

また、表の形でケナタッチ氏と日本政府の主張がまとめられていますので、それらも引用します。

 

ケナタッチ国連特別報告者

・「計画」「準備行為」の文言が抽象的で恣意的に適用されかねない

・対象犯罪が幅広く、テロリズムや組織犯罪と無関係のものを含む

・令状主義の強化など、プライバシー保護の適切な仕組みがない

 

日本政府

・条約締結に必要な国内法整備。「恣意的な運用」は全く当たらない

・特別報告者は個人の資格で、国連の立場を反映していない

・政府が直接説明する機会もなく、公開書簡の形で一方的に発出

(菅官房長官の記者会見より)

 

 

ケナタッチ氏の指摘は、多少表現の仕方は違ったとしても、これまで共謀罪法案に反対してきた野党や法律の専門家の指摘と同様のものだと思います。

そして、菅官房長官の「条約締結に必要な国内法整備」という言い訳は、既に国会審議で否定されているものです。パレルモ条約はそもそもテロ対策の条約ではなく、マフィアなどの組織的経済犯罪を対象としたものですし、条約締結のためには国内法の原則に沿って対応すればよいということになっており、条約締結のために新たに共謀罪を新設したのは、締結国187国のうちたった2国だということが明らかにされています。また、たとえ「条約締結に必要な国内法整備」という目的があるにしても、だからと言って「恣意的な運用」がされないということを保障するものではありません。ケナタッチ氏の2つめの指摘も含めて、懸念されている法案の曖昧さをそのままにしていては、「恣意的な運用」の危険性を払拭することはできません。

また、特別報告者の役割を軽視する発言に至っては、国際的に失礼な態度をさらしていると言っても過言ではないもので、日本国民として恥ずかしい限りです。国連に任命されて人権侵害をなくすために活動している特別報告者に人権侵害の懸念を示されたということは、民主主義国として恥ずべきことであり、その懸念に対してきちんとした説明ができないということは、日本が国として未熟だということを露呈していると思います。

政府が直接説明する機会もなく、公開書簡の形で一方的に発出」という反論に至っては、では、国連人権委員会に呼びつけられて説明を迫られた方がましだったということですかと問い詰めたくなります。その方が余程大事だと思うのですが……

 

とは言え、日本が国連機関の指摘を軽視するのは今に始まったことではなく、国際労働機関の労働政策に対する勧告は無視していますし、女性差別撤廃委員会からの指摘に対して誠実な対応をしていない状態も続いています。最近では、核兵器禁止条約交渉会議の議場で不参加を表明して退出するという、被爆国にあるまじき対応もありました。

日本が国際社会において名誉ある立場を占めたいと願うのであれば、国連の諸機関からの指摘には誠実に対応すべきです。このままでは、日本は国連の目指す方向に逆らう非民主主義国家、人権侵害国家としての烙印を押されかねないと思います。